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住宅用火災警報器の電池交換。「絶対にやらない!」と拒絶するオーナーを説得するには?

2021.03.11
  • 相談デスク

    「相談デスク」

    このコーナーはベーシックサポート会員様から実際に当社へご相談いただいた内容を、解決策の一例として公開していく企画です。

    火災警報器の電池交換、誰がする?

    火事が多い季節というと、冬。
    そんなイメージがありますが、意外にも「春」こそ最も火事が多発していること、管理会社の皆さまはご存じでしょうか。

    特に冬の乾燥した空気を残しつつ、春の強風が吹き荒れる3月は要注意です。

     

    さて、火事の多い時期だからこそ、管理物件の火事対策——とりわけ「住宅用火災警報器」のメンテナンスには気を配りたいところ。

    その火災警報器ですが、もしも電池切れの警報音が鳴ったとき、「いったい誰が電池を交換するのか」決まっていないと、話がややこしい方向へと進むことも…。

    今回寄せられた相談も、オーナーと入居者が住宅用火災警報器の電池交換をめぐって対立。責任を押し付け合ったまま、管理会社を間に挟んで膠着状態に陥ってしまいました

    相談ダイジェスト

    • 住宅用火災警報器の電池交換を誰が負担するかでオーナーと入居者が揉めている
    • オーナーも入居者も「絶対にやらない」と一歩も引かない様子
    • 住宅用火災警報器の電池交換は誰がすべきなのかと相談
    • 両者の説得が難しい場合、管理会社が負担した方がいいのか?

    専門家の回答

    火災警報器の管理は「全員」が義務を負う。

    すっかりこじれてしまった今回の問題。お互いに「NO」をぶつけ合うオーナーと入居者の言い分をまとめてみると、次のようになります。

    表1.それぞれの言い分

    《オーナー》

    • 火災警報器はそもそも残置物
    • 管理受託の際に火災警報器に関する取り決めがなかった

    《入居者》

    • 賃貸借契約を結ぶときに説明がなかった
    • 初めから付いていた火災警報器の電池を交換する義理はない

    双方の言い分は確かに納得できるものがあります。寝耳に水の出来事で、面倒なことを押し付けられてしまったと腹を立てたくもなるでしょう。

    しかし、ほかの問題ならいざ知らず、火災警報器の設置に関することはオーナーも入居者も、そして管理会社も全員が当事者となります。

     

    根拠となるのは2004年の消防法改正です。同法で、戸建住宅や共同住宅について火災警報器の設置が義務付けられ、住宅の「所有者、管理者または占有者」が設置義務者に定められたのです。

    つまり、反発しているオーナー(所有者)も入居者(占有者)も、間に立たされている管理会社(管理者)も、全員が責任の一端を担っていることになります。

    誰かに設置してほしいと誰もが思っている状況ですが、実際は「誰もが設置しなければならない当事者」と言えるのです。

    オーナー負担で賠償リスクの回避を目指す

    では、そんな状況下で火災が起こり、入居者が逃げ遅れて亡くなったとしたら、その数千万・数億円という損害は、いったい誰が負うことになるでしょうか?

    法律では、確かに入居者(占有者)にも設置義務があるとされていますが、「その義務を果たさなかった入居者が悪い」「ぜんぶ入居者の自己責任だ」という結論になるでしょうか?

     

    おそらく、そうはならないでしょう。

    なにせ、占有者と同様に設置義務を負う所有者・管理者も、火災警報器が機能しない事実を知りながら何も対策を取れていません。両者がこの責任を問われる可能性は充分あるでしょう。

    なかでも、所有者はその社会的責任を問われる可能性が高いと言えます。賃貸住宅を所有している以上、お部屋を貸している入居者の安全を守るのも貸主の役割だからです。

    また、そもそも火災が起きれば所有者のダメージも甚大です。

    火災警報器についての過失を追及されて保険金も満額は下りず、入居者が亡くなったことで損害賠償金も請求され、あまつさえ土地・建物は事故物件に…。

    たった1000円程度の電池交換をしたくないからと、人生を台無しにしかねないリスクをわざわざ負うのはあまりにナンセンスです。

    管理会社としては、オーナーが不利な状況にあることをまず伝え、賠償リスクを避けるのが賢明だということを根気よく説明していくことが大切です。

    高額な賠償金の代わりだと思えば、電池代なんてずいぶんと安いものです。入居者はもちろん、自身の財産を守るためにも、お守りとして電池代の負担をお願いしてみましょう。

    管理会社が融通を利かせた方がいいときも

    とはいえ、オーナーも入居者も意固地になって解決の糸口が見えない場合や、オーナーとの関係を壊したくない場合は、管理会社が交換費用を肩代わりすることも視野に入れた方がいいかもしれません。

    特に今回のケースでは、火災警報器の確認をしていなかった管理会社側にもスキがあったと言えます(仕方ありませんが)。

    また、上で述べたように、火災警報器の設置義務は管理会社も負っています。つまり、管理会社も訴訟となれば損害賠償責任を問われる恐れがあるということです。

    火事はいつ起こるとも知れません。問題が長期化するようでしたら、問題を早く片付けてリスクヘッジを図った方が賢明かもしれません。

    ただし、火災警報器の設置は、結局のところ所有者であるオーナーの負担が自然な流れであり、一般的です。今回は管理会社が負担するとしても、次回以降はオーナーに負担してもらえるよう交渉をがんばりましょう。

    可能なら本体交換を

    ところで、火災警報器の電池寿命は10年程度ですが、じつは警報器本体の耐用年数も10~15年程度とされています。

    電池交換をしたものの、肝心の本体が不具合を起こして作動しなかったのでは元も子もありません。可能なら電池交換ではなく、本体ごと交換した方がいいでしょう。

    幸いにも警報器の価格は2,000円前後で電池代とさほど変わりません。

    大事なのは、火災警報器を設置していることではなく、万が一火事が起きた際に警報器が正常に作動し、入居者の命が守られることです。

    問題の本質をオーナーにしっかりと伝え、クレーム対応ではなく適切な火事対策をしてもらうようお願いしたいものです。

    ※この事例は2021年3月のものです。ご紹介した考え方は一例であり、トラブル解決のプロセスは案件ごとに異なる旨、ご承知おきください。

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