「物件名の変更」で空室対策。管理会社が気を付けたいことは?
世の中には実にさまざまな物件名がありますが、空室対策の現場から見ると、物件名が入居率に及ぼす影響はなかなか侮れないものがあります。
オーナーが自分の物件にお気に入りの名前を付けたい気持ちも分かりますが、とはいえ「何でもあり」は高リスク。命名をオーナー任せにしたことが、後々の賃貸経営に悪影響を及ぼすことになるかもしれません。
さて、今回の相談は「オーナーチェンジに伴い、空室対策として物件名の変更を提案したい」というものでした。そこでこの記事では、基本となる物件名の変更手続きと、物件名を付ける際の注意点についてご紹介します。
【相談ダイジェスト】
- オーナーチェンジに伴い、空室対策として物件名の変更を提案したい
- 物件名を変更する際の手続き・注意点について知りたいと相談
- 物件名を変更する際はどんな手続きを踏めばいい?
- 物件の命名ではどのようなことに気を付ければいい?
専門家の回答
入居者への事前通知・仲介会社への通知も抜かりなく
物件名を変更するのであれば、当然ながら関係各所へ変更の旨を知らせる必要が出てきます。行政機関(区役所・市役所)をはじめ、郵便局や、電気・ガス・水道には必ず連絡をするようにしましょう。可能であればゼンリン(地図)やNTT(タウンページ)にも連絡をしたいところです。
ちなみに、行政機関は電話で変更できる場合もあれば、窓口に出向かなければならない場合もあります。事前に管轄の区役所・市役所に聞いてみてください。
そして何より重要なのが、入居者・賃借人への連絡です。
物件名が変われば当然に、住所変更など煩わしい手続きや余計な費用が発生してしまいます。こちらの空室対策に入居者らを付き合わせてしまうことになりますので、やはり相応の丁寧な対応が必要でしょう。変更が決まった段階で早めに通知するのはもちろんですが、変更後、感謝の気持ちを込めて手紙やお礼の品をお送りするのもいいかもしれませんね。
また、変更後は地場の仲介会社にも通知をしておきましょう。
連絡もなく物件名が変わると、仲介会社は少なからず困惑しますし、物件名についての問い合わせも増えてしまいます。新しい募集図面を仲介に持参したり、業者間流通サイトの備考欄に名前が変わったことを記載しておくことで余計な混乱を起こさないように注意したいものです。
意外と大事な物件名。良い命名で物件イメージUPへ!
では、実際に物件名を変更するにあたってどのような点に注意をすべきでしょうか。
物件名は、入居者が抱く物件イメージに大なり小なり影響を与えています。そのため、入居者に避けられるような物件名にしてしまうと、「名前のせいで入居率が下がってしまった」なんてことになりかねません。
物件名を付けるにあたり、次のような名前には気を付けた方がいいでしょう。
(表2.気を付けたい物件名)
仮に「オーナーズエージェント西新宿OAスマイルタワー都庁駅前」(27字)なんてものがあったとして、皆さまが入居者だったらどうでしょうか。
正直なところ、うんざりするほど長いですよね(笑)生活していれば住所を書く機会は多々ありますし、電話口で伝える場面も出てくるもの。毎回「面倒だなぁ」と思われる物件というのも問題です。
ほかにも、「読みにくい名前」や「陳腐で古臭い名前」、口にするのが「恥ずかしくなる名前」も入居者の物件イメージに悪影響を与えてしまいます。そうした名前は極力避け、時代に合った素敵な名前を付けてもらえるよう、オーナーに提案したいものです。
素敵な物件名をつけるヒントをご紹介
そして、最大の難関「素敵な物件名」の付け方です。
名付けのセンスは人それぞれ。ターゲットによっても受ける印象は変わるため、一概に「これがベスト」とは言えませんが、弊社では意味よりも「語感」を大事にした方がいいと考えています。
意味にこだわるばかりに、言葉を無理やりくっ付けたような変な名前になるより、プラスイメージを感じられる名前の方が入居者にとってはずっと良いはずです。
そして、語感の良い名前選びで便利なのがさまざまな外国語への翻訳です。
たとえば「赤」をシンボルカラーにした物件なら、赤色を意味するイタリア語の「イルロッソ」、フランス語の「ルージュ」、オランダ語の「ロード」などの後ろに地名を付けると、なかなか様になる名前になりますし、少なくとも敬遠はされないでしょう。
外国語読みは、今ではGoogle翻訳などで簡単に調べられます。弊社のWebサイトでも、命名のヒントとして「物件ネーミング集」を公開していますので、ぜひ参考になさってください。
また、弊社の兄弟会社で賃貸管理会社アートアベニューでは、物件名を変更する際は管理会社と相談することをルール化しています。入居付けに多少なりとも影響する物件名ですから、管理受託の際にそうした取り決めをすることで、物件名で損をする事態を未然に防いでいるわけです。
いつの時代も通用する物件名はなかなかないものです。
今は主流の物件名も20年後、30年後は古臭い印象を持たれてしまうかもしれません。
だからこそ、管理会社は物件名を見直すことを忘れず、時代に合った命名ができるよう、物件名を変更する際はぜひ意識してオーナーに働きかけてみてください。
ちなみに、物件名の変更は物件全体の印象をがらりと変えるチャンスです。築古なら全体のリノベーション提案をしてもいいですし、館銘板だけでもデザインの良いものに交換できるようオーナーを説得してみたいものですね。
※この事例は2021年8月のものです。ご紹介した考え方は一例であり、トラブル解決のプロセスは案件ごとに異なる旨、ご承知おきください。
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