相談デスク

公開日:2022年2月8日

大雪注意報が発出。賃貸住宅の除雪は管理会社の責任で行なうべき?

大雪注意報が発出。賃貸住宅の除雪は管理会社の責任で行なうべき?
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普段雪の降らない地域で大雪。除雪は誰の責任?

いざ大雪となったときの対処法

普段雪の降らない地域では、いざ積雪となったときどう対応すればいいのか、管理会社といえども分からないものですよね。ちょっとした積雪なら天気が回復して解けてしまうのを待てばいいのですが、大雪注意報が出されたとなれば話は別。除雪に向けて早急な対応が必要なケースも出てきます。

今回、管理会社から寄せられた相談は、「大雪のとき、雪かきは管理会社がしなければならないのか?」という内容でした。

関東以西でも数年に一度は大雪の日があるものです。もし天気予報で大雪注意報が出されたとき、管理会社はどんなことに注意すればいいのでしょうか。

【相談ダイジェスト】

  • 天気予報で「警報級の大雪」になる恐れがあると発表があった
  • 普段雪の降らない地域なので積雪時の対応方法が分からないと相談
  • 雪かきは管理会社がしなければならないのか?
  • もし落雪で事故が起きた場合、オーナーが責任を問われるのか?

専門家の回答

小規模な雪かきは入居者にて実施するのが妥当

雪かきは誰がしなければならないのか、という相談ですが、地域や管理会社によって違いはあるものの、基本的には入居者が負担するべきことになります。

判断材料となるのは、入居者の「善管注意義務」です。

入居者は賃貸住宅を借りる者(そしていつか持ち主に返す者)として、お部屋や建物を「善良なる管理者の注意」をもって壊さないように・傷つけないように管理する義務が課されています。そしてその義務は、同時に、お部屋が汚れたらシミや腐食が発生しないよう掃除をする、台風が来たら室内が濡れたり傷ついたりしないよう雨戸やシャッターを閉める、といったような、生活するうえでの必要最低限の修繕・保存を負担することも意味しています。

 

積雪の場合も同様で、身のまわりに小規模な雪かきが必要な場所ができてしまったときは、入居者が善良な管理者として保存行為(除雪)を行なうことが求められます。特に、お部屋から敷地外に出るまでの動線上や、駐車場・駐輪場の入り口や通路など、自分が借りているものを使用するために必要な範囲の除雪については、入居者自身の判断による対応が求められるのです。

 

とはいえ、普段雪の降らない地域では、除雪に慣れない入居者に任せきりにしたところで、除雪がスムーズに進む可能性はあまり高くないでしょう。それぞれの部屋の住人が、除雪を「他の部屋任せ」にしてしまうせいで、積もった雪がいつまでもなくならない、なんて話は珍しくありません。放置された積雪や不十分な除雪による通路・階段の凍結が原因で、事故やトラブルが発生する恐れもあります。

入居者から除雪の要請があったとしても、大雪という突発的なイベントは「日常的な物件管理」に含まれない以上、管理会社として必ずしも応える義務はありません。しかし、除雪がされないことで事故が起こる等のリスクがあるのであれば、できる限り速やかに物件巡回を行ない、除雪状況が芳しくない物件については雪かきを手伝うなどの対応も必要でしょう。

積雪箇所の中には、建物や駐輪場の屋根の上など入居者個人での除雪が難しいところもあります。そうした箇所のみ管理会社側で対応し、それ以外は入居者にお願いするといった役割分担をしていきましょう。

雪国の賃貸借契約書には借主負担が明記

ちなみに、雪国のアパート・マンションでは、賃貸借契約書に「降雪時の除雪は借主負担とする」という条項が含まれているのが普通です。

雪が四六時中降り続ける土地では、当然ながら管理会社の除雪対応だけでは追いつきません。除雪業者を手配した場合も、多数の物件を順番に回っていきますので、待っている間にも雪はどんどん積もっていきます。入居者それぞれが共用部の除雪をしなければ、そもそも生活が立ち行かないわけです。

また、管理会社によっては、雪かきスコップやスノーダンプ、氷を打ち砕くためのツルハシなどを入居者に貸し出すところもあるようです。除雪対応に困ったら、経験豊かな雪国の方法を参考にしてみるのもいいですね。

落雪トラブルは誰の責任?

では、もしアパート・マンションからの落雪により人や物が傷ついてしまった場合、責任は誰が負うことになるのでしょうか。あくまで原則の話となりますが、落雪が予想できるものであった場合、基本的には所有者であるオーナーの責任となる可能性が高いと言えます。

というのも、落雪が起きたのは屋根という工作物が原因となるからです。工作物の安全性は所有者または占有者が確保する必要がありますので、工作物による落雪被害の責任もまた所有者・占有者が責任を負うべき、という話になるのです。

災害や天変地異によるものでない限り、降雪時の落雪は屋根の構造や管理方法である程度は予防できるものです。それが予防できず、結果的に人や物を傷つけたとなると、責任の所在はどうしてもオーナー(または管理会社)にあると言わざるを得ないでしょう。

管理会社としては、落雪トラブルでオーナーが責任を問われる事態は何とか避けたいところです。費用面などオーナーと相談する必要がありますが、業者を手配して屋根の雪おろしを実施したり、落雪が予想できる範囲に三角コーンを置いて立ち入り禁止にしたりといった対策を実施してみてもいいでしょう。

ただし、こうした対策の実施が間に合わないほどの想定外・急激な降雪だった場合には、通常の災害と同様に免責となる場合もあります。状況に応じた判断が必要です。

 

落雪トラブルは建物の屋根からが多いですが、中には駐輪場の屋根や、エントランスゲートからといったケースも見受けられます。できる範囲で入居者に雪かきをしてもらう一方で、除雪が難しい箇所は管理会社での自発的な対応も視野に入れつつ対応を検討し、降雪時にも慌てない管理体制を敷いていきたいものです。

※この事例は2022年2月のものです。ご紹介した考え方は一例であり、トラブル解決のプロセスは案件ごとに異なる旨、ご承知おきください。

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