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賃貸住宅のシロアリ被害。賃借人に過失があれば補修費用は請求できるか?

2022.05.17
  • 相談デスク

    戸建て賃貸でシロアリ被害、補修費用はどうする?

    原因は借主がまいた庭一面の「ウッドチップ」か

    住宅の床下や壁の中に巣くい、建材を食い荒らすシロアリ。今回、賃貸管理会社から寄せられた相談は戸建て賃貸のシロアリ被害でした。基礎コンクリートのひび割れから侵入し、被害範囲は床下の木材から柱まで。担当者が言うには、原因として、借主が管理会社に無断で庭一面にまいたウッドチップがシロアリを誘引した可能性があるそうです。

    管理会社としては、それを理由に補修費用を借主に負担させたいそうですが、果たして請求は可能なのでしょうか。

    相談ダイジェスト

    • 戸建て賃貸でシロアリ被害を発見
    • 借主が庭の広範囲に設置したウッドチップがシロアリを誘引した可能性がある
    • この場合、被害箇所の補修費用は借主負担となるか
    • シロアリ被害を抑えるにはどのような対策があるか

    専門家の回答

    原則、オーナー負担。被害原因の証明は困難

    結論から言うと、シロアリの駆除費用や被害部分の修繕費用はオーナー負担が原則です。

    オーナーには、賃貸したお部屋を住居として使用収益できるように配慮する義務があります。シロアリ被害で借主の住環境が脅かされているとなれば、オーナーの責任で対策を講じる必要があるのです。

    また、管理会社はウッドチップが被害原因だと疑っていますが、今回起きたシロアリ被害との因果関係を証明するのは難しい話です。築年が経っていることの多い戸建て賃貸には、シロアリを呼び込むリスクは他にもあるでしょう。ウッドチップがなければシロアリは来なかったとは言えません。

    もちろん、業者による調査で「原因は確実にウッドチップ」と断定できるのであれば話は別ですが、そうしたケースは少ないもの。借主負担が当然という姿勢で臨むのは無理がありそうです。

    状況次第で一部「借主負担」の余地も…

    ただし、シロアリ被害について借主側にも落ち度があると言える場合、借主に応分の負担を求めることはできる可能性があります。

    例えば今回のように、花壇どころか「庭一面にウッドチップを設置するような大規模施工を管理会社に連絡・相談もなく実施した」場合は、借主にも落ち度があったと言えるかもしれません。

    ほかにも「DIYで防虫加工をしていない木材を大量に使った」「借主が報告し忘れた水漏れ箇所からシロアリ被害が見つかった」などの場合も借主の過失を問えそうです。

     

    とはいえ、いくら借主に落ち度があっても、やはりシロアリ被害の原因が100%借主にあると言えない以上、費用全額の負担を迫ることは難しいでしょう。

    そのため、費用負担の協議では、借主に「一部費用を負担してほしい」とお願いベースでの交渉から始めのが無難です。

    業者による原因調査の前に、あらかじめ被害原因のひとつに借主の過失が考えられること・過失が認められれば一部費用負担をお願いすることを伝えておけば、借主との交渉もスムーズになるかと思います。

    敷地内の木製品には要注意、早期の対策を!

    ところで、今回のケースでウッドチップがどこまでシロアリ被害の原因となったかは分かりませんが、土壌に接する木製品がシロアリを誘引する危険性は十分に考えられます。

    シロアリの好物は何と言っても「木材」です。

    とりわけ、湿気を含んで柔らかくなったり、地面に食い込んでいる木材は格好のエサ・住処となってしまいます。物件の敷地内や周辺に古くなった木製品や木杭、廃材などがある場合は可能な限り撤去した方がいいでしょう。

    そのほか、シロアリ被害を抑えるためには被害の早期発見・早期予防が欠かせません。すぐにできる対策として以下のようなことを試してみてください。

    基礎や土台のコンクリート、床下の確認

    シロアリ被害を早期に発見するには、基礎や土台のコンクリート、床下を確認するのが一番です。

    というのも、地中を移動するシロアリは多くの場合、建物下部から食い荒らしていきます。点検口などから基礎部分を目視点検し、シロアリ被害の有無を定期的に確認しましょう。

    その際、被害の目印となるのが「蟻道」です。蟻道とは、土や木屑にシロアリが排泄物・分泌物を練り合わせてつくるもので、シロアリの通り道となります。もし、壁や木材などに線状の蟻道が這うように伸びていたなら赤信号。すでにシロアリ被害が始まっていますので、速やかに駆除していきましょう。

    シロアリ駆除業者に調査依頼

    一般にシロアリ防除処理の保証期間は5年、実際の効果も10年程度と言われています。築年数の古い物件は、念のため一度調査を入れてみるのも手です。

    幸い、シロアリ被害が見つからなくても、次の防除処理の時期を決めたり、湿気が溜まってシロアリを誘引しやすい箇所を特定できたりするかもしれません。シロアリ被害は起きないのが一番ですので、業者による定期的な予防施工をオーナーに勧めてみてもいいでしょう。

     

    シロアリは日本全国の地面の中に分布しており、活動期間は1年中。

    ひとたび被害が起きるとオーナーに余計な出費を強いることになります。オーナーの資産を守り、安定した賃貸経営を実現するためにも、確実なシロアリ対策を進めていきましょう。

    ※この事例は2022年5月のものです。ご紹介した考え方は一例であり、トラブル解決のプロセスは案件ごとに異なる旨、ご承知おきください。

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