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第1回 不動産・建築業界の融合

2009.01.26
  • 全国賃貸住宅新聞

    運営・企画に強いPM会社へ

    不況下でも稼働率変動なし

    今回から、この誌上で連載をさせていただくことになりました藤澤です。
    よろしくお願いします。

    簡単に自己紹介いたしますと、私は東京圏をエリアとするPM会社と、全国の主に建築・不動産会社を対象とする業務支援・コンサル会社を経営しております。独立して13期目に入りました。大学卒業後、一時ハウスメーカーに属したこともありましたが、基本的にずっと不動産の賃貸業界でビジネスをしてきました。ここ数年は、日本におけるCPM®(米国不動産経営管理士)の普及のお手伝いなどもしております。

    さて、いうまでもなく、現在我々不動産・建築業界は大変な逆風の中にいます。
    現実には、まだまだ淘汰の波がやってきそうです。こういう時代を迎えてつくづく思うことは、「真の実力」をつけていないと恐いなあ、ということです。
    また、商売は真面目にコツコツやるしかないな、と思います。そして、私は20数年、主に「賃貸管理」の業界で生きてきましたが、「賃貸管理」って、一応不動産業界なんでしょうけれども、所謂「不動産業」ではないような気がします。一応「不動産」を扱ってはいるが、何か違う職種のような気がしてなりません。

    事実、会社は、この不況時に特に大きな影響は受けておりません。東京圏の2300戸強の管理物件(居住系が中心)はここ1年くらい、97%以上で稼動しておりますし、昨年11月期に1%強稼働率が下がって、あれ、と思いましたが、12月期には回復しました。この春の繁忙期を見てみないとまだなんとも言えませんが、他の不動産業種に比べれば極めて安定していると言えるでしょう。

    賃貸住宅やビル等の収益物件をビジネスにしている方はたくさんいらっしゃいます。主に、アパート・マンション・ビルを建てる「建築会社」の方と、それを募集・管理する「不動産管理会社」の方、利回り物件として売買仲介する「不動産仲介会社」の方に分かれるかと思います。
    私がいつも思うのは、もう少しお互いに、相手の領域のことを学んだらいいのになあ、歩み寄ったらいいのになあ、ということです。
    建築会社は単に「建てる人」になってしまっていて、「真の賃貸経営」を知りません。
    不動産会社は、完成後が自分の出番と割り切ってしまっていて、建築企画段階であまり口を出しません。
    「賃貸の現場」を知るものとして、アドバイスすることはいくらでもあると思うのですが・・・。

    投資家の目的は建物ではない

    建築会社の方は、収益物件を建てることの意味をもう一度確認していただきたいと思います。
    建築会社にしてみれば、一般個人の住宅を建てる、店舗、体育館、学校、図書館などを建てることと、アパート・マンションを建てることは、同じ「建物を建てる」という意味において一緒の感覚です。

    しかし、収益物件はクライアントが「その建物そのものを目的にしていない」、ということにおいて、他のものとまったく意味が違うということを意識してほしいのです。収益物件の場合は、目的はその建物そのものではなくて、その建物から上がる「キャシュフローが目的」なのです。クライアントは「建物」を買っているのではなくて、「賃貸経営」を買っているのです。ですから、建築会社の方は「賃貸経営」、すなわち「プロパティマネジメント/PM」を語らなければ受注はおぼつかないのです。

    もっと、「賃貸の現場」を知るべきです。できれば、自社で「プロパティマネジメント事業部」を創設し、直接、所謂「管理」をすべきです。「仲介」そのものはしなくて結構ですから、物件の「経営代行」をすべきです。そうすれば、「運営力」と「企画力」がついて、営業に大変役立つと思います。

    不動産会社の方には、冒頭書きましたように「企画」が大変重要だということは、実際には現場で肌で感じていらっしゃると思います。アパート・マンション経営で、大事なことは「企画」と「運営」のふたつです。良い「企画」をして入居者にウケル物件をつくり、良い「運営」をする、この「企画」と「運営」は、いわば車の「両輪」です。ただ、この業界では、「賃貸管理」、「プロパティマネジメント」というと、この「運営」のことばかりを取り上げるきらいがあります。もちろん、「運営」の中身である「リーシング(仲介)」は無論、「クレーム対処」、「メンテナンス対応」、「家賃の集金送金業務(滞納処理を含む)」等、は大変重要な業務です。しかし、現場の人間として「本音」を言わせていただくと、「運営」より「企画」のほうが大事!なのです。

    「いくら頑張っても、決まらない物件は決まらない」ということなのです。入居者にそっぽを向かれるようなアパート・マンションを作ってしまったら、たとえば今の若い人にはまったく人気のない「バス・トイレが一緒」(3点ユニットバス)のワンルームを作ってしまったら、リーシングチームが一生懸命努力をして、何回も物件を案内しようが、それこそ家賃を下げようが、「決まらないものは決まらない」のです。

    「運営力」より「企画力」

    これを数値で表してみましょう。下記の式は「稼動ベースの空室率」を表しています。
    まず(1)の式は、10戸の賃貸マンションを経営しているとすると、最大で年間で計120戸分の賃料が入る計算になります。年間の解約率が20%として、10戸中2戸の部屋で退去が発生します。解約ごとに空室損失期間が仮に2ヶ月とすると、「稼動ベースの空室率」は3.3%ということになります。

    そして、次に(2)は、仮に市況が悪くなったか、物件の力が弱まったかで、空室期間が2ヶ月から3ヶ月に延びてしまったという事例です。これは、我々PMの現場の人間に言わせていただくと、かなりの「事件」です。仮に、全管理物件の空室期間が全て2ヶ月から3ヶ月間になってしまったら、募集物件がいつもの「1.5倍」になるということを意味していますので、そうそうあることではありません。

    リーシング担当としては、空室期間が3ヶ月目に入ったら社長である私から「課題物件を早く決めなさい!」と朝礼で言われてしまいますから、プレッシャーがかかります。リーシング担当は、「3ヶ月目に入る物件をいかに決めるか」、日夜努力していると言って過言ではないでしょう。決まる物件はだまって普通に決まりますから。

    そして、もし(2)のようになってしまったとしても、空室率の上昇は、たった「1.7%弱」というレベルです。

    それに比べて、例えば、80,000円で募集する計画で企画した物件が完成したはいいけれど、なかなか決まらないので、仕方なく4,000円下げて76,000円で決めた、などということは、日常茶飯事ですね。また、築5年がたって「新築マジック」が効かなくなってきたなあ、家賃下げよう、というものよくある話です。

    簡単に「5%」も下落してしまうのです。逆に、相場より「5%」高く、84,000円で決まったということも、あり得ることです。事実、弊社が企画プロデュースをする物件は「最低10%から最大30%」も賃料がアップしています。

    このように、「企画」がアパート・マンション経営に与える影響には大変大きいものがあるのです。
    もっと「企画」にこだわるべきです。

    (筆:藤澤雅義/全国賃貸住宅新聞2009.1.26掲載)

    • 藤澤 雅義(Mark藤澤)
      オーナーズエージェント および アートアベニュー 代表取締役社長
      プロフィール:

      オーナーズエージェント株式会社 代表取締役社長であると同時に、
      賃貸管理会社 株式会社アートアベニューの代表取締役社長を務める。

      しかし、本人は「社長!」と呼ばれるのがあまり好きでないとのことで、
      社内での呼ばれ方は「マーク」または「マークさん」。

      あたらしいものが好きで、良いと思ったものは積極的にどんどん取り入れる一方、
      日本の伝統に基づくものも大好きで、落語(特に立川志の輔一門)や相撲(特に豊ノ島・時津風部屋)を応援している。

      「現場」で運用の実務にあたっているものが、一番不動産のことを理解し、
      的確な投資分析及びオーナーの収益に貢献をすることができ、
      また、仲介手数料収入に依存する仲介業者ではなく、安定収入のあるPM会社こそが、
      クライアントの側にたって本当のアドバイスができる、が持論。

      著作に、
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      ・『「収益改善」&「リニューアル企画」マニュアル』(総合ユニコム)(購入
      ・『200万円からはじめるマンション投資術』(主婦の友社発行)(Amazonで購入

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