全国賃貸住宅新聞

公開日:2009年2月23日

第2回 管理会社のビジネスモデル 1

第2回 管理会社のビジネスモデル 1
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不況下でも収益維持するPM会社

業界の不調尻目に収益アップ

不動産業界の中で、「賃貸仲介及び管理業」というと、「売買仲介」や「建て売りやマンション販売等デベロップメント」よりひとつランクが下のような扱いを、以前は受けていたような気がします。

しかし、いまやまったくその立場は逆転したと言ってもいいのではないでしょうか? どこもが突然の「不況」に喘いでいます。ことは深刻です。それに比べ、「賃貸管理ビジネス」に携わっている人々は、「へえ、不動産不況なんだあ~、そ~なんだあ」という具合です。「確かに、部屋探しのお客さんは若干減ったけれども、その分解約も減ったから管理料収入はちょっと増えたかな?」程度の話です。

現在、不況時に強い「不動産管理ビジネス」に注目が集まっています。
そして、従来の「賃貸管理」から「PM/プロパティマネジメント」に業務内容が「昇格」することによって、意外に収益性が高いことに気づきはじめています。

2/3が自主管理。高い潜在ニーズ。

ともかく、全国に居住系の民間賃貸不動産の戸数が、1300万戸あると言われていますが、そのうち、35%くらいが、「不動産管理会社」に「管理」を委託していると言われています。
しかし、この「管理」の定義が曖昧です。オーナーから、賃料収入の5%とかの「管理料」を取得していないものまで、「管理戸数」に入れている場合もあるようです。また、他社と共同で仲介しているものまでもカウントしていることも多いようです。これでは他社と数字がダブってしまいます。オーナーが「管理料(マネジメント・フィー)」を払っている物件の割合は35%より低い可能性があります。

また、逆に言うと、まだ3分の2もの物件が「管理委託」されず、オーナー自身により「自主管理」されていることになるわけで、まだまだこの「賃貸管理ビジネス」のキャパシティ(余裕)はありますし、「成熟していない業界」でもあると思いますので、チャンスがあると考えていいでしょう。
では、まず基礎的なことから、「賃貸管理」の実際の種類から簡単に解説しましょう。

一般的な管理システムの種類

(1)空室保証
空室保証を「売り」にする管理スタイルです。通常、いわゆる「一括借り上げ」することによって、空室時であっても一定の賃料をオーナーに支払うシステムで行なうことが多いようです。

(2)滞納保証
空室時の保証はしないが、滞納時の賃料保証まではする管理スタイルです。最近では、その滞納リスクを「滞納保証会社」に転嫁することも多いですね。

(3)集金管理
空室保証も滞納保証もせず、そのリスクはオーナーが取るスタイルです。しかし、家賃の集金はして、滞納時の督促は「ある程度」するというものです。

(1)~(3)はリスクの取り方に違いがあります。
しかし、共通して行なう主な業務として、下記のものがあります。

a.リーシング(入居者仲介)
b.更新・再契約業務
c.クレーム・トラブル対処(ハード・ソフト)
d.メンテナンス(定期点検及び清掃・巡回)
e.退去時の内装リフォーム工事とその負担査定
f.出納業務(契約金授受・家賃集金と送金・滞納督促・敷金精算等)
g.レポーティング(支払い明細書等の作成)

管理料をいただこう

(1)~(3)の管理システムは少なくとも、「管理料」をオーナーからいただいているスタイルになると思います。しかし、(1)~(3)以外にも「管理」のスタイルがあるのが実態です。

(4)一般管理
「一般」管理などと呼ばれているもので、これは、「管理料」をもらっていないものを指すことが多いようです。「管理料」を払うつもりの無いオーナーに対して、「管理料」はいいですから、とにかく「専任」でずっと仲介させてください、f.g.を除いたa~eの「管理業務」もしますから、などと言って契約するのです。

所謂、「サービス管理」というものです。これをやりだすと、管理会社は悪いほうに転換します。
タダで「管理業務」をしていかなくてはいけないのですから、その分の人件費が出てしまい、契約すればするほど「負の財産」が増えるのです。一見、「管理戸数」は増えたようですが、収支は赤字になるはずです。そうでなければ「いい加減な管理」をしていることになり、どっちみちオーナーからの評価は落ちます。

この点は、管理料をいただく「習慣」が根付いている会社にとってはなんてことはないのですが、管理料をいただく習慣が無い会社に、いただくビジネスモデルを導入することは意外に、至難の業です。管理料を下さい、と言ったら、オーナーに逃げられるのではないかという恐怖をいだくのです。

これを払拭するためには、まず、その会社で先のa~gのような業務内容を細かくひとつひとつ書き出して、自分たちが実際、どのような業務をしているのかを確認してください。
そうすれば、たくさんのことをやっていることに気づくはずです。そして、どのようなノウハウを持っているのかも検証してください。それを体系的にまとめて、しっかりとプレゼン用の「パンフレット」と「管理契約書」に落とし込んでください(意外に管理内容のパンフレットを持っていない不動産会社が多いのには驚きます!)。
オーナーにお会いしたときに、それをお見せしながら、「これらの内容の管理をします。我々にはこれらのノウハウがあります。そして、このリスクを負担します!」と言えばいいのです。そういうプレゼンをしたら結構な割合で「管理料」を払っていただけるのではないかなあ、と私などは思います。

管理料を払わないのなら、全て自分でやって、自分でリスクを取らなくてはならないのです。オーナーにしてみれば、賃料の5%や6%くらい保険と思えば安いものだと思います。結局、オーナーから管理料をいただけない会社というのは、自社でやっている「管理内容」を「明確化」できていないのだと思います。

「仲介」より「管理」

主な管理業務のa~gの中で、a.リーシング(入居者仲介)について再度お話したいのですが、日本の管理業そのものが「仲介」の延長線で発展してきた経緯があるものですから、管理業のメインはやはり「入居者仲介」、という意識が不動産会社に強いのですね。
もちろん、オーナーの最大関心事は、「決めてくれるか」にあるので、「リーシング」は一番重要であることは間違いないのですが、必ずしも「自社」で仲介しなくてはならないわけではないのです。「他社」の力を借りたほうが「より早く、高く」決めるのであれば、そうすべきです。あくまで「仲介」にスタンスを置くのか、「管理」に置くのか、決断をすべきです。私は、結論は極めて明確であると考えています。

答えは「管理」です。なぜなら「仲介」は儲からないからです。
儲かっている会社は店舗がいくつかあるので、「仲介」で儲かっているように見えますが、内実は「管理」で儲かっているのです。

(筆:藤澤雅義/全国賃貸住宅新聞2009.2.23掲載)


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