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第4回 管理会社のビジネスモデル 3【計数管理の重要性】

2009.04.27
  • 全国賃貸住宅新聞

    申し込み、キャンセル、審査落ち数も管理

    業務の流れをキチンと数値化

    管理会社にとって重要なことのひとつに、「計数管理」をすることがあります。
    管理ビジネスは確かに「細かい」数字の積み重ねなので、どこでどう売り上げが上がっているのか、また、業務の流れや実績がどう変化しているか、キチンと数値管理しなくてはなりません。そうしないと、いつのまにか、良くない方向にいってしまっていることにしばらく気づかなかったりするのです。
    「仲介売り上げ」はシンプルなので、把握しやすいですが、「管理ビジネス」は奥が深いのです。
    把握してもらいたい数値を以下にまとめてみました。

    予算と実績を管理し状況把握

    売り上げ項目は、「管理料収入」、「募集管理料・礼金収入(広告費等)」、「更新・再契約料(事務手数料)」、借り上げ空室保証をしている場合には「免責収入」、「リフォーム請負の粗利益」、「保険代理店収入」、そして、「コンサルティング売り上げ」などがあります。
    そして、これらの項目は既存管理物件と新規管理受託物件、また、弊社では「シングルタイプ」と「ファミリータイプ」の別とで分けています。
    「新規」の中には、「新築物件」と「中古管理替え物件」の区別もあります。「仲介売り上げ」だって、いろいろな項目別に分けることも可能でしょうが、「管理業」の場合には、カテゴリーが結構細分化されることになります。

    これを、毎月「予実管理」します。「予算(売り上げ見込みをたてること)」と「実績」を管理するのです。「年間の予実」と「月間の予実」の両方です。毎月の予算、では、来月の「予算(売り上げ見込み)」をたて、結果の「実績」との比較を項目別にします。
    これは、あまり大きく差が開くのはよくありません。予想を下回るのならともかく、予想以上に売り上げが伸びたらそれはいいことのように思えますが、それでもだめなのです。自分の会社の営業状況をここに上げた項目で毎月数値管理していくなかで、その傾向と分析を行なっていくと、それほど大きくはぶれないものです。自分の会社の営業状況を的確に把握できているか、ということなのです。

    弊社は月初に会社全体で月度の営業会議をしていますが、それは、1ヶ月の実績を「数値化」してそれを皆で分析する会議となっています。
    営業会議というと、ともすれば、どの部署が、また誰それの売り上げが良かった、悪かったと結果発表するだけのイメージがありますが、そのことにはあまり意味がないように思います。
    どうしてこの数字になったのか、それにはどういう意味があるのか、を分析して来月、来年に繋げるという行為を連続して行なうことに意味があると思うのです。意外にこれらの「予実管理」をはじめとする売り上げの詳しい数値管理をやっていないところは多いですね。

    「申込件数」以外に「キャンセル件数」、「審査落ち件数」もしっかり管理する理由があります。キャンセル件数がもし多くなってきたら、それは、部屋探しのお客さんの意思があまり固くない状況で、仲介業者さんが弊社に申込を入れている可能性があります。
    所謂「仮止め」を多くされてしまっているということですね。いったん申込が入ると、もうその物件は決まってしまって無くなってしまったと仲介業者さんも思ってしまうので、キャンセルになってまた新たに募集を開始すると、その間に時間の空白が生まれてしまうのです。
    「審査落ち件数」は、これはいつものペースよりこの件数が多くなってしまったら、審査をする部署が厳しく審査をし始めている可能性があります。審査をする部署というのは、リスクを回避するために、なるべく内容の良い入居者だけに絞りたいという意識が働きます。
    それが顕著になってくると、仲介業者さんに嫌われますね。逆に仲介業者さんが、弊社の審査体制を甘くみて「内容の悪い入居者」で申し込んでくるのを防げなくなっても駄目ですね。これらの傾向は、毎月数値管理をしていると見えてくるものです。

    私は、今後、「仲介手数料売り上げ」に依存するビジネスモデルはうまくいかなくなると思っています。
    「仲介手数料半額や無料」というのももう珍しくなくなってきましたし、業者さんの数もたくさんあります。
    それよりも、「仲介」はやめて、所謂「元付け」に徹する、つまり「管理会社に徹する」ビジネスモデルのほうが収益は安定するのではないでしょうか?

    提案力の有無で得られる収益に差

    賃貸ビジネスは売買仲介などに比べて、1件の扱い高が「小さい」ので、何かレベルの低い仕事のように思われるかもしれませんが、ガッカリすることはありません。
    たとえば、家賃が6万円の物件であれば、単に6万円のリーシング(仲介)をしたということではないのです。20戸の物件だとして、仮にそのエリアのキャップレイト(期待利回り)が8%だとしたら、

    (6万×20戸×12ヶ月)÷8%=1億8,000万

    つまり、1億8,000万円もする物件の運用を任されているのです。
    もし、1000戸の物件を管理している会社で、平均家賃が6万円なら、

    (6万×1,000戸×12ヶ月)÷8%=90億円

    つまり、90億円の資産を預かっていて、その運用を任されている、ということなのです。とても扱い高が「大きい」ですね。誇りをもって仕事をしたいものです。

    これが私の考える「プロパティマネジメント」の定義です。一般に言われているものと多少違いますね。
    よく世間で言われる「運営/オペレーションをしっかりやった」ら、「PM」でしょうか? 中には、アセットマネージャーにレポートをたくさん書いたら「PM」、と勘違いされている向きもあります。
    私は「真のPM」とは「提案」することに他ならない、と思っています。マネジメントをしている物件に対して、いかに「企画」する力があるか否かが、「PM」であるかどうかの分水嶺になると思っています。
    なぜなら、それほど「物件の企画」すなわち、「物件の力」そのものによって、得られる収益に大きな差がでるからです。

    「管理業」で安定収入を稼ぎ、「企画力」を発揮して、新たな「付加価値売り上げ」を上げたり、「差別化」するのが理想的です。

    (筆:藤澤雅義/全国賃貸住宅新聞2009.4.27掲載)

    • 藤澤 雅義(Mark藤澤)
      オーナーズエージェント および アートアベニュー 代表取締役社長
      プロフィール:

      オーナーズエージェント株式会社 代表取締役社長であると同時に、
      賃貸管理会社 株式会社アートアベニューの代表取締役社長を務める。

      しかし、本人は「社長!」と呼ばれるのがあまり好きでないとのことで、
      社内での呼ばれ方は「マーク」または「マークさん」。

      あたらしいものが好きで、良いと思ったものは積極的にどんどん取り入れる一方、
      日本の伝統に基づくものも大好きで、落語(特に立川志の輔一門)や相撲(特に豊ノ島・時津風部屋)を応援している。

      「現場」で運用の実務にあたっているものが、一番不動産のことを理解し、
      的確な投資分析及びオーナーの収益に貢献をすることができ、
      また、仲介手数料収入に依存する仲介業者ではなく、安定収入のあるPM会社こそが、
      クライアントの側にたって本当のアドバイスができる、が持論。

      著作に、
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      ・『「収益改善」&「リニューアル企画」マニュアル』(総合ユニコム)(購入
      ・『200万円からはじめるマンション投資術』(主婦の友社発行)(Amazonで購入

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