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第6回 入居者ニーズを知る

2009.06.22
  • 全国賃貸住宅新聞

    「間取」は地域の需要を細かく分析

    入居者の部屋選び10のポイント

    今までの連載原稿の中で、私は「プロパティマネジメントとは、『提案』することだ」、そのためには、「企画力」が大事だ。「企画力」があれば、「物件の力」を上げることができる、と申してまいりました。
    そして、「企画力」を高めるためには、まず「市場調査/エリアマーケティングリサーチ」が重要だということを前回お話しました。
    今回は、次に「入居者ニーズ」についてお話したいと思います。

    入居者は「何をポイントに部屋を決めるのか」をしっかり考えてみましょう。
    この内容について、私はよく研修でグループディスカッションをしていただくことが多いのですが、皆さんも会社内で意見を言い合ってみたらいかがでしょう。どういうことで部屋が決まっていくのか? 第1位から第10位まで、順位を付けてみるといいかと思います。
    これらがあまり出てこないようだとちょっと問題ですね。

    こんなところが、部屋決定ポイントの上位10項目だと思います。次点が、「物件名」、「ペット可」といったところでしょうか。
    ここで一番大事なのがやはり「間取り」だと思いますね。2の「家賃等契約条件」は、これは市場が最終的に決めることですね。相場というものがありますから。

    3の「立地・環境・利便性」は、土地を購入して投資をするということでしたら十分検討して決めなくてはいけませんが、土地を既にお持ちの方が不動産投資を検討する場合には、もうこれも決まっていることです。

    4の「外観・物件の格」は、これは大変重要です。建物の外観や外構工事のグレードが「物件の格」に作用しています。
    敢えて「格」という言葉を使っていますが、物件には「風格」の有るものと、無いものとがありますね。それは、何も立派な総タイル張りの6階建てのマンションだから有るというものではなくて、2階建てのアパートでも風格が有るものは有るのです。ここをどう作るかが問題ですね。

    そして、特に強調したいのが、「デザイン」です。私は外装、内装を問わず、今後賃貸住宅(賃貸だけではなく)において「デザイン」が「進化」していくだろうと思っています。
    衣食住のうち「衣」も「食」も一般の平均的な個人のレベルにおいて、日本は世界の中でトップクラスだとよく言われます。「お洒落な」ものを着て、「旨いもの」を食べることへのこだわりは、確かに日本人はあるほうだと思うのです。
    あと残る「住」に関して無頓着であるはずもありませんし、既に「デザイナーズマンション」なる言葉も定着しているような状況です。「良いデザイン」にお金を払う風潮がますます広まると思います。

    5の「駐車場の確保」については、これは最近つとに重要度が増していますね。都心であれば別ですが、地方になれば「鉄道の駅からの距離」という尺度はほとんど関係なくて、ファミリータイプなら1.5台分(150%)の駐車場が確保できているか、2台分(200%)あるかどうか、ということになります。

    6の「遮音性」は、最近の入居者はかなり気にしているのではないでしょうか。軽量鉄骨造のアパートより鉄筋コンクリート造のマンションのほうが、予算さえあれば誰でも住みたいと答えるでしょう。
    それは、マンションのほうが他人の音がしない、また上下左右の他の入居者に気兼ねをして住まなくていいからです。投資利回りからみて、鉄筋コンクリート造では合わない場合には、木造や鉄骨造で作ります。そういう場合に、所謂「重ね建て」、つまり、1階の部屋の上に部屋があるというタイプを作るかどうか、これを判断しなくてはなりません。
    できることなら私は作りたくありません。鉄筋コンクリート造なら当然いいのですが、遮音性が低い構造であれば、できればメゾネットタイプにして、上下の生活音を気にしないで済むものにしたいところです。そのエリアの将来性との兼ね合いで判断するしかありませんが、築10年になったときに、空室が決まらないのではまずいからです。

    7の「設備・仕様」は年々「贅沢」になってきていますよね。
    これは時代が違ってきているのですから、当然です。自宅で生まれたときから「ウォシュレット」を使っていた人が、大学進学や就職で一人暮らしを始めたときに、それが無くてもいいかというと、それはあった方がいいと当たり前に言うのです。
    エアコンは必須ですし、追い炊き機能付き風呂、1Kタイプでも独立洗面台、モニター付きインターフォン、オートロック等々です。

    最後のほうは、8の「セキュリティ(防犯)」に関連するものでしたね。このポイント10項目で最近一番にニーズが高まっているのがこの「セキュリティ」であろうと思います。
    物騒な事件や分けのわからない人が増えています。1階の部屋の人気がないですね。いい年の男性でも1階は嫌だと言います。防犯上で効果があるのが、一番は「防犯カメラ」、あとは「センサーライト(人感センサー)」、「玉砂利」(これは、敷地に敷くと泥棒が歩くと音がします)といったところです。
    モニター付きインターフォンもあると入居者は安心しますね。最近では、廉価なホームセキュリティシステムも登場しています。オートロックは無いよりはあったほうが当然良くてグレード感はありますが、防犯効果がさほどあるわけではないでしょう。

    10の「管理の良さ」ですが、分譲マンションでも「マンションは管理で選べ」と言われるくらいですから、賃貸であっても普段の定期清掃やメンテナンス状況で変わってくるでしょう。案内されたときに、エントランスや共用廊下が汚かったりしたら、申し込みをしないでしょう。

    一つでも「はずれ」あれば空室化の恐れ

    これら10項目の中で最重要は「間取り」です。
    「間取り」には、単に「2LDK」や「1LDK」ということだけではなく、広さ、つまり「専有面積」、「部屋数」、「使い勝手」といった要素が入っています。
    この部分には大いにこだわって欲しいと思います。前回の「エリア・マーケティング手法」の回で学んだように、このエリアであればどの広さ、間取りを供給するのが一番いいのか、また、たとえば同じ「2LDK」であってもリビングを何畳の広さにするのか、ベッドルームを何畳にするのか、6畳なのか、8畳なのか、 ひとつひとつに意味があるのです。
    何か、他物件との差別化はできないのか、も是非考えて欲しいものですね。 10項目の中で、3以外はすべて「企画」次第と言えるでしょう。これらの企画の仕方ひとつで、家賃そのものも変わるものですし、稼働率(空室率)も違います。特に築10年、20年経ったときの差が激しいと言えるでしょう。

    また、10項目の内のひとつでも決定的に「はずれ」があれば、その物件は決まらない、ということになります。
    欠点のある物件は決まりません。これら10項目のうちひとつでも合致しないものがあれば、だめなのです。

    (筆:藤澤雅義/全国賃貸住宅新聞2009.6.22掲載)

    • 藤澤 雅義(Mark藤澤)
      オーナーズエージェント および アートアベニュー 代表取締役社長
      プロフィール:

      オーナーズエージェント株式会社 代表取締役社長であると同時に、
      賃貸管理会社 株式会社アートアベニューの代表取締役社長を務める。

      しかし、本人は「社長!」と呼ばれるのがあまり好きでないとのことで、
      社内での呼ばれ方は「マーク」または「マークさん」。

      あたらしいものが好きで、良いと思ったものは積極的にどんどん取り入れる一方、
      日本の伝統に基づくものも大好きで、落語(特に立川志の輔一門)や相撲(特に豊ノ島・時津風部屋)を応援している。

      「現場」で運用の実務にあたっているものが、一番不動産のことを理解し、
      的確な投資分析及びオーナーの収益に貢献をすることができ、
      また、仲介手数料収入に依存する仲介業者ではなく、安定収入のあるPM会社こそが、
      クライアントの側にたって本当のアドバイスができる、が持論。

      著作に、
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