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第7回 真のPMとは?

2009.07.27
  • 全国賃貸住宅新聞

    物件づくりの企画こそPMの要諦

    「空室」をいかに決められるか

    この連載は、「プロパティマネジメント/PM」について語ることがテーマなのですが、「PM」とは、一般的な定義としては、「オーナーの持つ不動産の収益の最大化を図り、結果、その価値の最大化を図ること」であります。
    それは具体的には「空室」を「いかに決めるか」であり、また「いかに高く決めるか」、そして、「いかに長くいてもらえるか(テナントリテンションと言います)」ということであると思います。そのためにはさて「何をするか」、が問題です。

    まず、PM会社の入居者募集の戦略を立てるのもいいでしょう。広告展開の見直しや広告物そのものの改訂、また空室の見せ方・案内の仕方等々、やることはいくらだってあります。
    また特に、管理物件が増えてくると、一部の空室の長くなりがちの物件に対し、スタッフが「この物件は仕方がないなあ」と、空室が何ヶ月も発生することが当たり前のようになってしまうことがあります。
    いつもそうなってしまうので、それに慣れてしまうのですね。これは、PM会社の組織としての問題点といえます。定期的なミーティングで、チェックする機能が必要です。

    また、長くいてもらうために「入居者へのサービス」を充実させることも大事です。
    クレームが発生したら、すみやかに対応しなければなりません。対応の悪い物件(PM会社)の入居者の解約率は高くなるものです。

    「物件の力」高める提案力で勝負

    これらの、PM会社としての「運営」上のスキルというものは大変重要です。「PM」というと、このことだけを指すような風潮もあるくらいです。
    しかし、実は、もっと根本的なものがあります。それは、「物件の力」そのものです。これが弱ければ、いくらPM会社が頑張っても「決まらないものは決まらない」のです。身も蓋もなくて、申し訳ないのですが…。
    たとえば、所謂「3点ユニットバス」つまり、バスとトイレが一緒になっているタイプのワンルーム、バブルの頃によく作られましたが、今これを募集しろといわれても、なかなか難しい…。

    よって、プロパティマネージャーには「物件の力」を向上させるスキルが求められていて、それが実は一番大事ではないか、というのが私の意見です。
    アパート・マンション経営では「企画」と「運営」が大事です。しかし、実は「運営」より「企画」のほうが大事ではないか、というのが本音です。
    私は、「PMとは『提案』することだ」といつも言っていますが、すなわち、特に「企画」面における「提案力」というものが求められているのです。
    そして、賃貸住宅運営の「現場」にいるプロパティマネージャーこそが、入居者ニーズを一番に肌で感じていて「どう企画したらいいか」を理解しているのではないか、と思うのです。

    部屋探しをしている人は、リクルートの調査によると平均7つの部屋を見るそうです。申し込みを入れるのは、七分の一の確率なのですね。
    申し込みを入れなかったあと6つの部屋は何がその人にとって合わなかったのでしょうか?
    そして、申し込みを入れた部屋は何が決め手になったのでしょうか?
    それらを一番よくわかっているのは、リーシング担当のプロパティマネージャーではないでしょうか。かくいう私も大学卒業後、ひょんなことからこの不動産業界に入ることになり、最初に担当した仕事がこの「入居者仲介」です。1年足らずの経験でしたが、ここで部屋探しをしている人と直接触れ合って話しができたことが、私にとって最大の財産だと思っています。
    ぜひ、賃貸の現場にいる方が自信を持って「企画提案」をオーナー側にしてもらいたいと思います! ちょっとしたリニューアルの提案から、大型賃貸マンションの新築企画まで、「現場」を知る我々がまず先頭に立ってやるべき仕事であると思っています。

    私は建築会社に在籍したこともあるのですが、基本的に建築会社というのは、あくまで「建てる人」であって、「どう建てたらいいか」というのは、ご存知ないことが多いのですね。
    賃貸の経験を過去にしていて、建築業を立ち上げた社長さんというのは、これはなかなか面白い人気のアパートを作られたりするのですが、これは稀なケースであります。賃貸を経験してから建築会社に入ったものですから、なんと言いますか、こんな賃貸住宅をよくまあ自信満々で売っているなあ、と最初びっくりしたものです。
    その「入居者ニーズとのギャップ」、「現場感覚の無さ」に驚きました。建築会社の方は、もっと「賃貸の現場」を理解して企画するといいでしょう。
    では、どうすればいいか?
    やはり、「市場調査」の徹底でしょうね。

    初めの一歩はマーケティングから

    では、次に具体的な事例をお話しましょう。
    この物件は、弊社が目黒区でプロデュースした案件で、この春に完成1ヶ月前に14戸全室に申し込みが入ったものです。
    30平米の1Kタイプ、鉄筋コンクリート造2階建て、オートロック防犯カメラ付き、という物件です。流石にロケーションがいいということもありますが、家賃も高く取れましたし、今どき珍しく礼金も2ヶ月取得できました。
    前々回にお話ししましたように、まず徹底的な市場調査から始めて、その結果の分析から作られた低層賃貸マンションです。

    我々はどんなときにもまず「市場調査」から始めます。 周辺の他物件を2500戸調べ、またこのエリアの入居者ニーズを調査した結果、部屋を探している人のうち27%が30平米程度のシングルタイプを探しており、では実際このエリアにはそのような物件はどのくらいあるかというと、3%程度しかなかったのです。
    この需給ギャップに注目し、それをターゲットにする、そして意外に女性が多く入居するであろうという提案プランができました。エリア内の2500戸を調べ上げ、入居者ニーズを把握した結果ですので、自信満々の提案です。

    ここで言いたいのは、このクライアントは、以前から知っている方だとはいえ、既に数社のゼネコンのプレゼンを受け、最後に我々が提案したということです。足繁く通って云々~、という営業は一切しておりません。
    しかし、市場調査を行い、たった1回それを説明しただけで弊社の建築プロデュースに任せるという判断をしていただきました。それくらい、市場調査の内容と分析結果に納得されたのです。

    はたして、我々がデザイン力のある設計士を選定し、入札の結果一番安いコストを提示した建築会社に発注して、トータルにプロデュースした結果、先ほど言いましたように、家賃も周辺相場より高く、また14戸中8戸が女性の申し込みという予想通りの結果となりました。

    (筆:藤澤雅義/全国賃貸住宅新聞2009.7.27掲載)

    • 藤澤 雅義(Mark藤澤)
      オーナーズエージェント および アートアベニュー 代表取締役社長
      プロフィール:

      オーナーズエージェント株式会社 代表取締役社長であると同時に、
      賃貸管理会社 株式会社アートアベニューの代表取締役社長を務める。

      しかし、本人は「社長!」と呼ばれるのがあまり好きでないとのことで、
      社内での呼ばれ方は「マーク」または「マークさん」。

      あたらしいものが好きで、良いと思ったものは積極的にどんどん取り入れる一方、
      日本の伝統に基づくものも大好きで、落語(特に立川志の輔一門)や相撲(特に豊ノ島・時津風部屋)を応援している。

      「現場」で運用の実務にあたっているものが、一番不動産のことを理解し、
      的確な投資分析及びオーナーの収益に貢献をすることができ、
      また、仲介手数料収入に依存する仲介業者ではなく、安定収入のあるPM会社こそが、
      クライアントの側にたって本当のアドバイスができる、が持論。

      著作に、
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