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第8回 「リニューアル提案」について(1)

2009.08.24
  • 全国賃貸住宅新聞

    収支に合うリニューアルを家主に提示

    ハード面の改良は「物件力」の強化

    「賃貸の現場」の視点で「企画」をするということにおいて、「新築」も「リニューアル」も同じスキルが必要になります。特に、「リニューアル」は我々プロパティマネージャーの身近にある手法です。

    昨今、オーナーも不景気感から、なかなか新築でアパート・マンションを建てようという気にはなりません。建築会社も最近では「リニューアル事業」に力をいれています。
    また、セミナーを開催する際、演題を「賃貸マンションの建て方」などとするより、「リニューアル手法の伝授」とか「空室対策10カ条」などとするほうが集客もいいですね。
    「建て方セミナー」では、オーナーさん達も「新築を建てさせられるのかな?」と身構えてしまいます。「リニューアル」の話であれば、今持っているアパートの空室対策として勉強しておこうという気になり、来場されるのです。

    特に、今のこの不況下で新たに賃貸住宅を建てようとする方は、既にアパート経営をされている方で、当然その「おいしさ」を知っている方になります。今までアパート経営をしてこなかったのに、この不況下に「よし、いまがチャンスだ」とはなかなかならないですよね。
    よって、いずれにせよ既にアパートを持っている方へのリニューアル提案ができなければ駄目なのです。私は建築会社の方には「50万円の内装リニューアルの提案工事と、1億円の新築提案を一緒のレベルで考えてください。なぜなら、オーナーにとって『空室対策』という意味においては、まったく同じことなのです」とよく言っています。50万と1億とでは同じわけがないのですが、しかし、そういう発想になれないようでは、今後は生き残れないでしょう。

    大変、厳しい言い方になりますが、もう従来の営業手法では、新築案件が受注できる時代ではなくなってしまったのです。一言で言えば、「空室を決めるアイデアを持っている建築会社でなければ、建てる気にはならない」というのが、施主の本音でしょう。

    我々プロパティマネージャーにとって、この「空室を決めるアイデア」は当然大変重要なテーマです。「プロパティマネジメントとは提案することだ」と再三言っておりますが、その「提案」の肝となるのが、この「リニューアル提案」ではないかと思います。

    新たな投資で更なる収入発生

    では、「リニューアル提案」をどのようにすればいいでしょうか?
    たとえば、エアコンの設置の数万円の提案から4000万円もかかる大規模な改修工事の提案まで、範囲は広いものです。そして、オーナーは数万円であろうと、新たな出費を嫌がることが多いのです。
    「エアコンを付けてください、今時エアコン設置は常識ですよ」とお話ししても、「お宅はそのほうが仲介し易いだろうけど、お金を出すのは私だよ」と言って取り合ってくださらないことも多々ありますね。

    こういうとき、数万円であってもやはり「収支」が問題だと思うのです。「収支」が合えば「投資」をするはずです。
    仮に、エアコン設置に8万円かかるとしましょう。これをリースもしくはローンを組むとすると、毎月の支払いは約1500円です。
    コストは年間で18000円です。ということは、エアコンを設置することで年間18000円以上の家賃収入アップが見込めれば、余分なキャッシュフローが生まれることになり、オーナーは得をします。この8万円の投資をすべきだということになります。では、いったいエアコンを付けたらいくら家賃のアップが見込めるのでしょうか?

    私が幹事をしております「21C.住環境研究会」という業者の勉強会があるのですが、3年に1回、首都圏でリクルートさんにもご支援いただいて「入居者ニーズアンケート調査」を実施しております。
    それによると一人暮らし世帯では、前回2006年の調査では、3,533円という結果が出ています。
    「エアコンがあるかないかで賃料がいくら変わると思うか、自分が払っても良いと思う額を具体的にご記入ください」という設問に対する答えの平均値がこの金額です。
    (10年前の96年調査時は5,065円でした。これは、10年経った今のほうがエアコンが「当たり前」になったと推測できます)

    毎月2,000円も新たなキャッシュフローが生まれるのであれば、オーナーさんもエアコンを設置することを了承するのではないでしょうか?
    3,533円も家賃が上がらないといわれるかもしれません。地方なら特に大体首都圏の7割くらいには割り引く必要があります。
    また賃料はまったく上げないとしても、エアコンを設置したことで、空室期間が通常3ヶ月のところを2ヶ月で決まったらのなら、たとえば家賃が8万円だったら、もうエアコン設置8万円分を回収した、ということになります。

    4,000万円のリニューアル工事ならどうでしょう?
    4,000万円をたとえば自己資金無しで全額ローンを組むと、金利3%で15年ローンなら月間28万円の返済、年間332万円の返済になります。4,000万の工事を施して、たとえば6万円の家賃の10戸の空室が全部決まったら、

    という具合に、大幅な新たなキャッシュフローに恵まれます。これなら、オーナーもやる気になるのではないでしょうか?

    あとは、4,000万のリニューアル工事をしたら本当に720万の収入増になるのか、という点で説得力があるかどうかがカギになります。市場調査の結果などから推測するのがいいですが、実務的には一番わかりやすいのが、「借り上げる」ことです。
    つまり「空室保証」ですね。オーナーは、築年数の経った古い物件であればあるほど、その物件が生まれ変わってまた新たな入居者がやってくることが信じられないことが多いのです。
    「うちのマンションはもう古いから」と言って、半分あきらめているような状態です。あきらめてはいけません。これからがアパート・マンション経営の醍醐味を味わう時です!

    ちなみに、このリニューアル工事のときの「利回り計算」の仕方についても述べておきましょう。新築で1億円をかけてマンションを作って、家賃収入が年間1,000万円なら、利回りは、

    1,000万円÷1億円=10%

    となります。
    これが、リニューアルだと、既に2,000万円くらいの年間収入を得ていたりするわけです。それが、この事例のように2,720万円になったとします。今までの賃料よりアップした金額が720万円です。
    よって、この4,000万円の投資で得られた利回りは、

    720万÷4,000万円=18%

    ということになります。
    このように、「今よりアップした家賃収入」が「分子」にくることに注意しましょう。

    (筆:藤澤雅義/全国賃貸住宅新聞2009.8.24掲載)

    • 藤澤 雅義(Mark藤澤)
      オーナーズエージェント および アートアベニュー 代表取締役社長
      プロフィール:

      オーナーズエージェント株式会社 代表取締役社長であると同時に、
      賃貸管理会社 株式会社アートアベニューの代表取締役社長を務める。

      しかし、本人は「社長!」と呼ばれるのがあまり好きでないとのことで、
      社内での呼ばれ方は「マーク」または「マークさん」。

      あたらしいものが好きで、良いと思ったものは積極的にどんどん取り入れる一方、
      日本の伝統に基づくものも大好きで、落語(特に立川志の輔一門)や相撲(特に豊ノ島・時津風部屋)を応援している。

      「現場」で運用の実務にあたっているものが、一番不動産のことを理解し、
      的確な投資分析及びオーナーの収益に貢献をすることができ、
      また、仲介手数料収入に依存する仲介業者ではなく、安定収入のあるPM会社こそが、
      クライアントの側にたって本当のアドバイスができる、が持論。

      著作に、
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      ・『「収益改善」&「リニューアル企画」マニュアル』(総合ユニコム)(購入
      ・『200万円からはじめるマンション投資術』(主婦の友社発行)(Amazonで購入

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