全国賃貸住宅新聞

公開日:2010年3月26日

第15回 管理会社を管理する 2【計数管理2】

第15回 管理会社を管理する 2【計数管理2】
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各仲介店の成約率を把握し取引業を見直す

空室対策で自社のマネジメント強化

前号に引き続き、管理会社が計数管理すべき基本的な内容について述べていきたいと思います。下の表をご参照ください。

(4)の「仲介ランキング表」は、自社仲介店舗があるところは自社を含めて、どの仲介会社・店舗が良く入居者を決めてくれるかを見ることができます。担当営業マン別でも知りたいところです。
当然、よく決めてくれるところには、たまには接待でもしたほうが良いでしょう。個人的には新宿思い出横丁にあるモツの串焼き屋がお勧めです(笑)。

正直言って最近は、昔と違って(ちょっと歳を取りましたか…)仲介営業マンの腕が落ちていると実感します。
昔は「口八丁手八丁」でお客さんを口説く!といったクロージングがあったものですが、今の若い営業マンは、どこか変にスマートですね。よって、自社の物件をしっかり決めてくれる営業マンは大事にしたいものです。

また、「自社決め率」、「他社決め率」という言葉もあります。管理物件のうち、自社仲介店で全体の何割を決めているか、他社仲介店にどのくらい決めてもらっているか、という指標です。
前回言いましたように、他社決め率が高いのに、他社に対する営業活動のフローが確立されていない管理会社もあるのです。
物件毎に、どの業者・担当が決めてくれたかも記録を取りましょう。決めてくれた経験があるのですから、その物件のクロージングのトークを持ち合わせているはずです。解約が出たら真っ先にその担当に知らせるべきでしょう。

(5)の「管理戸数と稼働率表」も大事です。
管理システム別・契約形態別の管理戸数とシェア(率)と空室率(稼動率)、シングルタイプ・ファミリータイプ別、事務所・店舗別に必要です。成約賃料計(サブリースをやっている場合には、評価<査定>賃料計も)から平均賃料も出ますし、平均専有面積も必要です。
また、それらの「母数」が正確にわからないと、(1)の「リーシング基本情報」の中で述べた募集件数・契約数・解約数等を分子にすることによる、「率」がわかりません。

この「率」という概念は大変重要です。
これらの指標なくして、経営の戦略は立てられません。もちろん、オーナーへの提案もままなりません。
実際に、オーナーへの数々の提案をする際には、自社の管理状況の詳しいデータを持っていくことが大変説得力を増すことになります。イメージがわきにくい、またあまり詳しくない首都圏全体や県全体のデータを提示するより、今うちの会社の管理物件ではこんなことになっているんです、といったほうがオーナーも実感として理解しやすいし、市況をわかってもらえます。
また、敢えていうと、これからは管理戸数ではなく、「管理物件の稼働率を問われる時代」ではないでしょうか?
「あそこに任せると空室率を少なく運営してもらえるよ」と言われることのほうが大事なのです。

(6)の「VIPオーナーランキング」は、これは、差別するわけではないですが、1戸だけの管理受託のクライアントと100戸預けて下さっているクライアントでは、それは、対応が違って当たり前だろうという話です。
当社のVIPオーナーだ、という意識をスタッフが持つことは重要だと思うのです。

(7)の「賃料滞納者一覧」を基に敏速に賃料督促をしなければなりません。
2ヶ月目~3ヶ月目にはいったら、内容証明の送達や訴訟の対象(単なる賃料請求か、明け渡し請求か)に当たるかどうかの判断をすべきです。

 

サブリースの差額賃料を把握

(8)の「物件別管理料収入一覧」によって、物件ごとの収益性を見ることができます。
特に、サブリースをしている場合には、受け取り住宅家賃と支払い住宅家賃(借上げ賃料)の差額賃料が「管理料相当分」に当たるので、それも把握する必要があります。

(9)の「各種営業実績」は、弊社では月曜朝礼で毎週1時間、月次会議は丸1日かけて発表されます。
私は最低1週間という単位で、実績を各部署が発表しあうという習慣が必要だと思っています。1週間の動きをまとめて発表する、そういう「リズム」が必要ではないでしょうか。
これは、特に、数字の上がっていない部署や人を糾弾する場所では決してありません。成績は良かったり悪かったりするものです。ただ、計数を確認することで、その傾向を読み取り、分析し、対策を立てるためにあるのです。

(10)は、「年間の予算と実績」の管理です。
弊社では、月次試算表とは別に、キャッシュフローベースで、また売上総利益ベース(粗利)ベースで科目ごとに表しています。
原価率の高い売上科目とそうでないものを一緒に並べてもよくわからないからです。
管理会社の予算は、ありがたいもので、弊社なども期初にたてたものが期末に下方修正されるということがあまりありません。
また、弊社では、今期1年間で頑張って新たに取得した案件からの粗利が、全体に占める割合は1割強です。
つまり粗利の9割弱は昨年までの契約案件から発生する収益です。これは安定している商売ですよね。

 

計数管理による運営の見直し

以上、前回と今回で10種類の計数管理の仕組みを述べてきました。はたして「計数管理」とはいったい何なのでしょうか?

不動産の管理運営には様々な情報があふれています。
我々は、これらの情報をきちんと集めることによって、まず(1)「現在の不動産賃貸市況」と、(2)「管理運営の実態・問題点」の把握をすることができます。
その内容を分析・検討した結果、(a)業務分担や担当する人員、また業務内容やフローの改善、(b)空室対策の検討と提案、が実施できるのです。

これらを今風に言うと「ビジネスインテリジェンス」と言うらしいです。
ビジネスインテリジェンスとは、「企業内外にある膨大なデータから有用な情報を引き出して、企業の意思決定に活用する」ことで、「一部の限られた人間ではなく、全社員がデータを活用して敏速に意思決定を行う点が、これまでのデータ分析システムとは大きく異なる」ことだそうです。(次号に続く)

(筆:藤澤雅義/全国賃貸住宅新聞2010.3.22掲載)


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