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第23回 空室対策の実務2【ビジネスモデルの検証】

2010.11.22
  • 全国賃貸住宅新聞

    管理物件における「自社決定率」を把握

    会社の体制を7パターンに分類

    空室対策シリーズの2回目は、「リーシング」です。
    入居者募集のやり方を検証したいと思いますが、まずは、その会社の「リーシング体制の把握と検証」から始めるべきだと思います。
    自分の会社では、入居者仲介をどこが行っているのか?自社仲介店があるのなら、その店では自社管理物件をどのくらい決めているのか? また、他社管理物件をどのくらいの割合で決めているのか? 等々の数字を冷静に分析すべきでしょう。

    この連載では最近「仲介のあり方」を問う原稿をよく書いております。ネットで誰でも簡単に無料で、「詳細に」賃貸物件を探すことができる時代になってきて、そういった中ではたして「仲介業」というものが成立するのか?を考えるべきです。
    今後「仲介」に軸足を置いた経営をするのか、あくまで「賃貸管理/プロパティマネジメント」に軸足を置いて仲介をするのかで、まったく方向性が違ってきます。これらの計数管理をすることで、自社の今後のあるべき姿、進むべき道を判断する、いいきっかけになるとおもいます。

    実際、私が全国の管理会社さんをコンサルティングする中で、「管理物件の自社決め率は何%くらいですか?」「仲介店舗の自社管理物件仲介率は何%ですか?」と質問してもパッとすぐ答えられる会社さんは、実はほとんどありません。
    また、実際とは反対の数字が最初に返ってくることもよくあります。これはとても大事な数字ですので、すぐに分析しましょう。空室対策の現場の実務的なテクニックもさることながら、自社の管理物件をどのような体制で募集するのか、という姿勢をはっきりさせることは空室対策のまず第一歩ではないかと思っています。

    表にあるように、Ⅰには自社管理物件の契約件数の総数(月間および年間)を入れます。
    そのうち、Aの他業者に決めてもらっているものと、Bの自社仲介店舗で決めているものとに分類します。
    Ⅰに対するBの割合が、自社管理物件における「自社決め率」となります。

    Ⅱは、自社仲介店の契約件数の総数を入れます。
    そのうち、Bは自社で決めた自社管理物件の数となり、Cは他社の管理物件を仲介した数になります。
    ここで、自社仲介店では、自社管理物件をどのくらいの割合で決めているかがわかります。

    各社によって、それぞれ営業エリアの特徴や会社の体制の違いがあって、この数字はまちまちだと思います。大きく7つのパターンに分けてみましたので、その体制の違いを見ていきましょう。

    まず、パターン①は、「自己完結型」です。
    管理物件はほとんどすべて自社仲介で決めるし、他社の管理物件にも興味がない、とするあり方です。これはある意味プロパティマネジメント/PMに徹した形で仲介をしているといえるでしょう。仲介はしているし、仲介手数料売り上げもあるけれど、本質的にはPMの延長線上に仲介が位置しています。賃貸仲介業ではなく、PM会社なんだという意識が感じられます。ひとつの理想形ですね。

    パターン②は、自社管理物件は自分のところで、キチンと決められる、他社に頼る必要なない。そして、仲介営業力が強いので、他社の物件も決められる余裕があるという会社です。
    これは一見すばらしいですが、逆に発展途上にある会社ともいえるでしょう。仲介力があるのなら、それを武器にもっと管理受託営業に精を出すべきでしょう。そうして、管理物件をもっと増やして、Bの数値である、自社で自社管理物件を決めるという部分を増やすべきです。

    パターン③は、仲介を一切しない、仲介は他社にしてもらってPM会社に徹し切って、オーナーの代理人になり切るという姿勢です。これはビジネスモデルがはっきりしていてブレがないといえます。
    この体制は少数派ですし、今のところ大都市圏が中心です。 地方では、ある程度仲介店舗を持っていないとオーナーに対してアピールができないので仲介店舗は必須だと思っている方が多いようです。でも数値を調べてみると、実態は管理物件の決め率が自社より他社の仲介のほうが結構多かったということもあったりします。
    また、仲介店舗を構えるとそれなりにコストがかかります。おそらく、仲介店舗単体だと「赤字」のはずです。仲介はもうかりません。 また、仲介営業マンの「営業の姿勢」に大いに問題があります。カウンターに座っていれば仕事をしていると勘違いしている人や経営者が多いようですね。

    パターン④は、他社管理物件の仲介はしっかりやっていて、力があるのに、自社管理物件を決めていないという「分裂型」です。
    意外にこのパターンはあります。PM部門と仲介部門がまるで別々の会社のように存在しています。部門間の仕事が相互的に機能していません。仲介営業マンはうちの管理物件はあんまりいい物件がないので、決める気がしない、売り上げも上がらないと思っています。経営者もとりあえず全体では売り上げが上がっているから良いか、と実態を把握しないままでいます。

    パターン⑤は、「中途半端型」です。他社に過半数を決めてもらっていますので、それほど仲介力がないか、もともと力を入れていないともいえます。エリア的にその割合で良い場所かもしれません。
    しかし、他社管理物件もそこそこ決めています。はたして、他社の物件を決めている場合でしょうか? もっと、自社物件に力を入れるべきではないでしょうか? 他社管理物件の仲介は一切やらない、と決断することもありだと思います。うちはあくまでPM会社なんだ、仲介業が主ではないのだ、とビジネスモデルをはっきりさせるのです。

    また、パターン⑥もそうですが、他社業者に結構決めてもらっている実態があるのですから、それらの対業者営業をしっかりとやるべきです。実際は他社決め率が高いのに、他社への営業は月1回ファクスをして、ちょっと訪問するだけという会社も中にはあります。

    パターン⑦は、「仲介依存型」で、管理会社の意識が低い会社です。これからの「仲介手数料0」時代を見据えて、早くビジネスモデル転換をしないと淘汰(とうた)されてしまう会社といえるでしょう。

    今日の原稿は、「空室対策の実務」というよりは、「管理会社のビジネスモデルの検証」といった趣になってしまいましたね(笑)。
    次回は、現場の話をします。

    (筆:藤澤雅義/全国賃貸住宅新聞2010.11.22掲載)

    • 藤澤 雅義(Mark藤澤)
      オーナーズエージェント および アートアベニュー 代表取締役社長
      プロフィール:

      オーナーズエージェント株式会社 代表取締役社長であると同時に、
      賃貸管理会社 株式会社アートアベニューの代表取締役社長を務める。

      しかし、本人は「社長!」と呼ばれるのがあまり好きでないとのことで、
      社内での呼ばれ方は「マーク」または「マークさん」。

      あたらしいものが好きで、良いと思ったものは積極的にどんどん取り入れる一方、
      日本の伝統に基づくものも大好きで、落語(特に立川志の輔一門)や相撲(特に豊ノ島・時津風部屋)を応援している。

      「現場」で運用の実務にあたっているものが、一番不動産のことを理解し、
      的確な投資分析及びオーナーの収益に貢献をすることができ、
      また、仲介手数料収入に依存する仲介業者ではなく、安定収入のあるPM会社こそが、
      クライアントの側にたって本当のアドバイスができる、が持論。

      著作に、
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