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第25回 空室対策の実務4【企画】

2011.01.24
  • 全国賃貸住宅新聞

    2人世帯には3畳程度のDENが人気

    ハードとソフトの企画

    空室対策シリーズの4回目は、「企画編」です。企画とは、物件や賃貸経営に対する企画提案で、一番肝になる部分です。
    企画は「ハード」と「ソフト」の大きく二つに分かれます。「ハード」は、建物本体に関わることで、「ソフト」は、貸し方であるとかの「運用/オペレーション」の差別化にあたります。今回はまず基礎的なことから解説しましょう。

    まずは、「間取り」です。何が一番大事かって、「間取り」が一番大事です。「間取り」には、「部屋数」、「専有面積」、「使い勝手(生活導線)」、「各部屋の大きさのバランス」、「収納力」等々のいろんな情報が入っています。

    昔からよくある間取りは、「2DK」です。50年前に日本住宅公団が発明した「ダイニングキッチン(和製英語)」が導入された「2DK」はもともと「51C型」と言われる規格で、建築を学ぶ人なら一度は学習するものです。
    永らく日本の賃貸市場で先導役として走ってきましたが、そろそろその役目を終わろうとしています。現在、「2DK」は「1LDK」にリニューアルされていますね。38~43㎡程度の専有面積なら、「マスターベッドルーム+リビングダイニング」という構成になります。2DKのダイニングキッチンは、6畳くらいしかなく、それでは満足に食事もできませんし、ただの配膳テーブルがあるコーナーにすぎないということになってしまい、中途半端でもったいないのです。
    それより今求められているのは、大型液晶テレビ+AV機器、PCコーナー、ソファなどが置ける大きなリビングコーナーです。ベッドルームは文字通り「ベッド」だけ置ければよく、ダブルベッドが置ける4畳半程度にして、その分、リビングルームを大きくしたほうが受けるでしょう。一般的な2DKは、

    洋間6畳+洋間6畳+DK6畳+収納1.5畳 ですが、それを

    洋間4.5畳+LDK13.5畳+収納3畳

    にするのです。カップルでも単身者ででも対応できる間取りですね。収納力も大事ですので倍にしたいですね。ほとんどの入居者が「収納が圧倒的に足らない」と嘆いています。
    その他、「2K」とか「3DK」など、陳腐化した間取りは世の中にたくさんあります。2Kタイプは「スタジオ(広めの1K)」に、3DKは「2LDK」に変更すべきです。「2LDK」もよくある

    洋間6畳+洋間6畳+LDK10畳 というものより、

    洋間6畳+DEN3畳+LDK13畳

    としたほうが、人気が出ることでしょう。それは、2LDKタイプを欲する賃貸需要者層が「カップル」、つまり「二人入居」が中心で、子供がいてもせいぜい乳幼児や就学時前であることが多いからです。
    ふた部屋目が大きい必要はなく、「DEN(書斎・小さい私室)」で十分だし、最近はPCが自宅にない家はないでしょうから、「DEN」のニーズも高まっています。2部屋目を小さくした分、LDKが大きくなったほうが入居者にとってはありがたいでしょう。よく8畳しかない部屋を「リビングダイニング」と表示されていることがありますが、8畳では、「ダイニングテーブル」と「ソファ」は置けません。虚偽表示ですね。私が以前手がけた物件では賃料約2割増に成功し、成約しました。築40年、42㎡のワンルームを1LDK(3.7畳+14畳)にリニューアルしたもので、賃料が10万5000円から12万5000円になりました。

    SOHOタイプ42㎡の1Rを1LDKにリノベした例▲

    「間取り」の次に重要なのは、「外観・エントランス・外構」です。アメリカでは「カーブ・アピール」といって、「カーブ(舗道)からみた第一印象」というような意味でしょう。
    間取りも大事ですが、パッと、最初に建物を見たときの印象でほとんどの人は、入居することを決めているような気もします。いつも、もっと色使いを工夫したらどうかと思います。 「カラー」は何色を塗ろうが特にコストに変化はありません。必要なのはセンスだけです。特に、東京はコンサバ(保守的)ですね。地方のほうが大胆な色を多用しています。

    また、外観・外壁もさることながら、「エントランスのあり方」、「各戸の玄関ドアまでのストーリー」が重要です。前面道路から敷地境界線をまたいで、グリーンやガーデンライトでアレンジされたエントランスアプローチを歩み、エントランスドアを開け(オートロックがベター)、風除室に入り、操作盤にタッチし、広めの空間が確保されていて、ポップアートなどが飾られているエントランスホール(ホワイエ)に入って、エレベーターホールに進み、エレベーターから降りて廊下を歩き、自分の部屋の玄関ドアに行き着くまで、のストーリーです。専有部分以外のスペースを共用できる楽しさは、一戸建てにはありません。集合住宅ならではのものです。ここを充実したいものです。

    ここで、言っておかなければいけないことは、「センスはお金で買え」ということです。どっかで見たあのアイデアがいいなあ、よし自分でやってみよう、という方が世の中には多いのですが、「やっちゃったマンション」、「デザイナーズもどきマンション」、「ちょっと違うんだよなあアパート」が出来上がることになります。街を歩いていると「気持はわかるけど、惜しいねえ」という建物が結構あります。
    これは、別名「専門家であるデザイナーのフィーをケチったマンション」とも言えます。フィーは惜しまないほうがいいと思いますよ。

    「設備・仕様」に関しては、「エアコン」、「ウオシュレット」は必須。ウオシュレットは他人が使ったものは嫌だという意見もありますが、退去時にクリーニングをすればいいのですからあったほうがいいでしょう。「各室インターネット配線」も無線LANよりはいまのところ、速度が速いのでありがたい。ファミリータイプには「追いだき機能付きバス」がほしいところでしょう。できれば、「バスカン(浴室乾燥機)」もあればいいですね。「収納(トランクルーム)」をどこかに別途つくるのもいいとおもいます。

    安価で最近効果が高いものとして、「室内洗濯物干し(ワイヤのものもあり)」、「モニター付きインターホン」があります。室内で洗濯物を干すことはよくありますし、室内干し用の洗剤もコンビニで売っているくらいです。「モニター付きインターホン」は特に女性の防犯グッズとして人気です。
    セキュリティー対策の種類としては、「オートロック」、「防犯カメラ」、「センサーライト」、「玉砂利」、「上位キー」、「セキュリティー会社との契約による防犯システム」などがありますが、コストとの相談になるでしょう。しかし、入居者にとって「セキュリティ」は関心が高い項目です。

    あと、前回も少し触れましたが「モデルルーム化」、または「家具付きで貸す」という手があります。賃貸でも「モデルルーム」を造るのです。解約の度に家具を配置するのも大変ですし、家具のリース代と引っ越し代分をペイできる何かが必要ですが、確実に効果があります。
    分譲マンションの販売において、家具を配置せず、モデルルームがなかったらどうなるでしょう。たぶん売れ行きは悲惨なものになるでしょう。入居者が家具を使いたいと言ったら、リース代の分を家賃に上乗せして、そのまま貸せばいいのです。
    次回は、空室対策その5、ソフトコンテンツについて解説しましょう。

    (筆:藤澤雅義/全国賃貸住宅新聞2011.01.24掲載)

    • 藤澤 雅義(Mark藤澤)
      オーナーズエージェント および アートアベニュー 代表取締役社長
      プロフィール:

      オーナーズエージェント株式会社 代表取締役社長であると同時に、
      賃貸管理会社 株式会社アートアベニューの代表取締役社長を務める。

      しかし、本人は「社長!」と呼ばれるのがあまり好きでないとのことで、
      社内での呼ばれ方は「マーク」または「マークさん」。

      あたらしいものが好きで、良いと思ったものは積極的にどんどん取り入れる一方、
      日本の伝統に基づくものも大好きで、落語(特に立川志の輔一門)や相撲(特に豊ノ島・時津風部屋)を応援している。

      「現場」で運用の実務にあたっているものが、一番不動産のことを理解し、
      的確な投資分析及びオーナーの収益に貢献をすることができ、
      また、仲介手数料収入に依存する仲介業者ではなく、安定収入のあるPM会社こそが、
      クライアントの側にたって本当のアドバイスができる、が持論。

      著作に、
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      ・『「収益改善」&「リニューアル企画」マニュアル』(総合ユニコム)(購入
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