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第36回「コンセプトマンション」という選択

2012.01.02
  • 全国賃貸住宅新聞

    スタジオつきで家賃は相場の2割高

    前々回の連載で、「住む」+「住む楽しさ」、「住む」+「住む必然」という付加価値が付いた賃貸住宅が時代の要請ではないか、ということを書きました。入居者同士がコミュティーを形成し、「一緒に暮らす」という楽しさを持った「シェアハウス」が現在大変人気ですが、それをさらに進めて、「特定の趣味・志向を持った人が暮らす」賃貸住宅、すなわち「コンセプトマンション」という発想がこれからもっと支持されるようになるのではないかと思います。

    またオーナーとしての収益性も結構高いのではないでしょうか。
    「コンセプトマンション」には2種類あって、単に、「特定の趣味・志向を持った人が暮らす」賃貸住宅と、「特定の趣味・志向を持った人たちとコミュニティーを形成する」ものとがあります。
    前者は、(株)ソナーレさんが20年以上前からやっておられる「音大生マンション」がそれにあたるかと思います。

    時間や騒音を気にせずピアノが弾ける

    音大生が専有室内に各自グランドピアノを置き、時間の許す限り練習できるというコンセプトはソナーレさんの専売特許のようなものです。今年は震災以降多少影響が出ているようですが、通常は97%~98%の高稼働率を維持しているそうです。

    また、クルマ好きをターゲットにした「ガレージハウス」も人気です。
    下の写真は、(株)小川組さんが作られたものですが、フェラーリやポルシェをこよなく愛する方々に受けています。何も高級車でなくとも、愛車を青空駐車場に置いておくのは嫌だという方も多いことでしょう。

    家の中にいても愛車を眺められる

    青空駐車場から屋内専用ガレージへ

    その他「バイカーズマンション」や、「バイシクルアパートメント」もバイクや高級自転車が好きな人たちに人気です。

    福岡の井尻というところに、貞國秀幸氏がプロデュースした「スタジオアパートメントKICHI」があります。
    これは後者の「趣味が同じ者同士で交流する」賃貸マンションであり、「アーティストマンション」です。各自の専有部分とは別に1階に大小のスタジオがいくつもあり、自由に入居者が個人でも入居者同士でも練習をすることがきます。
    ふっと良いメロディが頭に浮かんだときに、館内の仲間に「ちょっとセッションしない?」と声をかけ、曲を完成させることができる、そんな芸当ができる賃貸住宅なのです。

    ドラムも音を気にせず叩ける環境

    賃料は周辺に比べ2割程度は高く設定できているようです。定期的に館内でライブも行っており、入居者以外の地域住民とも交流し、地域活性を担っているのがすごいところです。

    気軽に集まり、セッション開始

    「バーディマンション」は当社の登録商標で、「ゴルフ好きのためのマンション」です。
    現在企画中なのですが、建物内もしくは敷地内に「練習レンジ」と「コミュニティラウンジ」を設けます。入居者はいつでも好きなときに、無料で、好きなだけ「練習レンジ」でクラブを振ることができます。週に2回も練習場に行けば月に1万数千円がかかりますから、賃料が1割くらい上がっても問題ないでしょう。

    「練習レンジ」のイメージ

    「コミュニティラウンジ」のイメージ

    また、「コミュニティラウンジ」には「パター練習場」があってやはり自由に練習できますし、「バーカウンター」では何か料理をしてつまみながら飲んでもいいし、「大型液晶TV」で、プロのスイングを皆で研究するということもできます。
    入居者同士で、ゴルフ談議に花を咲かせることができるというわけです。いわば「1年中ゴルフ合宿をしている」ような賃貸住宅なのです。
    ラウンドする時のメンバー探しも楽ですね。たぶん、入居者同士仲良くなって「一生のつきあい」をする仲間ができていくのではないでしょうか。
    どうです? 楽しそうでしょう?
    同じ趣味を持った人たちと、その話題がいくらでもできるというのはとても魅力的だと思います。

    これらの「コンセプトマンション」について、「マニアック過ぎる企画アイデアではないか」と思われた方も多いと思います。
    しかし、「パイ」は狭くても「その人たち」にとっては「たまらないマンション」になるのです。
    一般の賃貸住宅市場はざっくりと言えば、10,000人の入居希望者に対して、12,000戸の供給をして、2,000戸の空室を抱えているというのが現実です。
    そこでこの10,000人の中でゴルフ好きの人はゴルフ白書によると11%の1,100人しかいませんが、その1,100人に対して「バーディマンション」を仮に20戸提供すれば、それは取り合いになるのではないかと思うのです。

    「コンセプトマンション」はこのように集客力が高く、また「入居者の保持・解約の抑止(テナント・リテンション)」に大いにつながると思っています。ゴルフがうまくなりたいと思っているうちは、よほどのことがない限り退去するという発想にはならないでしょう。

    (筆:藤澤雅義/全国賃貸住宅新聞2012.01.02掲載)

    • 藤澤 雅義(Mark藤澤)
      オーナーズエージェント および アートアベニュー 代表取締役社長
      プロフィール:

      オーナーズエージェント株式会社 代表取締役社長であると同時に、
      賃貸管理会社 株式会社アートアベニューの代表取締役社長を務める。

      しかし、本人は「社長!」と呼ばれるのがあまり好きでないとのことで、
      社内での呼ばれ方は「マーク」または「マークさん」。

      あたらしいものが好きで、良いと思ったものは積極的にどんどん取り入れる一方、
      日本の伝統に基づくものも大好きで、落語(特に立川志の輔一門)や相撲(特に豊ノ島・時津風部屋)を応援している。

      「現場」で運用の実務にあたっているものが、一番不動産のことを理解し、
      的確な投資分析及びオーナーの収益に貢献をすることができ、
      また、仲介手数料収入に依存する仲介業者ではなく、安定収入のあるPM会社こそが、
      クライアントの側にたって本当のアドバイスができる、が持論。

      著作に、
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      ・『「収益改善」&「リニューアル企画」マニュアル』(総合ユニコム)(購入
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