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第37回 管理会社の業務改革戦略

2012.01.23
  • 全国賃貸住宅新聞

    「アウトソーシング」で得意分野に集中する

    今回は「アウトソーシング」することの意義について述べたいと思います。1年少し前の連載で、500戸をスタッフ3人で運営したとして(募集、集金、退去・クレーム・メンテナンス対応の基幹業務を行う)、地方では500万円、首都圏だと1,000万円の営業利益を得ることができる、と書きました。3,000戸の管理だと3,000万円(首都圏だと6,000万円)になります!
    たしかに理論上はそうなるのですが、なかなか実際には実現していない会社が多いと思います。その主な理由は、「仕事の優先順位がはっきりしていない」、つまり「業務フローの確立」がなされていないからだと思われます。
    賃貸管理業務は、【図1】にあるような業務体系になっていますが、賃貸仲介や売買仲介などに比べて、業務の種類が大変多いのが特徴です。よって、「全ての業務を完ぺきに社内でこなす」という発想を捨てて、「アウトソーシング(業務の外部委託)できる部分は、他者に任せて得意分野を伸ばす、また大事な部分に注力する」という発想が必要です。

     一般的に「アウトソーシング」というと、「コストダウン」のためにやるというイメージが強いかと思います。また、「社内のスタッフでは対応できない専門的な業務や、高度なスキルを他者から導入する」という目的もあるでしょう。では自社でできることなら自社内でやったほうがいいのでしょうか?

    最近、わが社であった日常的な例をお話ししますと、ある日私の新刊本の原稿をある出版社に届けて、ゲラ校正分をもらって帰ってくるというタスクが発生しました。私はバイク便に頼んでいいよと新人女性社員に命じたのですが、彼女は気を利かせて、バイク便代の4,000円がもったいないから、自分で行ってきます、と言ったのです。これは一見「いい話」であり、コスト意識の高い、また自己犠牲の精神がある社員だと言えます。
    しかし、私はこう言いました。「行って帰って大体1時間半くらいだよね。あなたが自分は1時間半で4,000円稼げない人間だと思うなら行っていいよ。そう思わないならばバイク便に頼みな」と。すかさず彼女は、バイク便に頼みます、と言いました。そう言わなければ今頃クビですね(冗談)。

    4,000円で他にやってくれる人がいるのに、それをするということは、自分は4,000円程度かそれ以下の付加価値しか生むことができないということになります。
    また、アウトソーサー(アウトソーシングを受託する会社)は、専門的なものに特化して、そればっかりやっていますからコストも安くなっていますし、スキルも高いものになっています。原稿等のものを送り届けるという仕事は、われわれからすればたいした仕事ではないとつい思ってしまいますが、アウトソーサーの人たちはそれに誇りを持って一所懸命に対処しています。つまり「仕事に向かう精神」も違います。

    「社員」という肩書の人は、パートやベンダー(業者)がやれることをやってはいけないのです。そんなことをやっている時間があれば、他のライバル会社にはできないようなもっと「オリジナリティーのある得意分野を伸ばし」て、われわれのクライアントが一番切望している「空室対策」や、管理会社なのですから「管理物件取得」を推進すべきではないでしょうか。そして、それこそが、より大きな利益を生む源泉なのです。

    この「競合他社にないオリジナリティーのある得意分野をつくることや伸ばすこと」、その「スキルやノウハウ」のことを「コア・コンピタンス」といいます。いろんなことを幅広くたくさんやるより、「選択と集中」を行い、「市場での自社ならではの価値」を創造したほうが会社はうまくいくことでしょう。
    第一、社内の「内部資源(インソース)」は限られています。内部資源とは「人」、「モノ」、「金」、「情報」といったものになりますが、それを満遍なく投入するより、集中したほうが効果は高いのです。この「コア・コンピタンス」は会社によって違います。各社ごとに会社独自の特徴とおかれた環境に違いがあるからです。
    この「コア・コンピタンス」を見つける方法に、「SWOT(スオット)分析」があります。これは、「自社の強み(Storength)」、「自社の弱み(Weekness)」、「自社の直面する機会(Opportunity)」、「脅威(Threat)」の4つを分析することで自社の「コア・コンピタンス」を見つける作業なのです。【図2】にあるように、自社の分析を冷静に行うことによって、何が問題で、何に注力すべきかがはっきりしてきます。こうした作業を通じて、注力すべきスキル・ノウハウや領域をはっきりさせ、アウトソーシングすべきところをはっきりさせることができます。

    では、賃貸不動産の管理会社として、一般的にアウトソーシングできるものには何があるでしょうか。

    【表1】にあるように多岐にわたります。その他一般的な会社にあてはまることを入れればまだまだあるのです。このように、自社の管理業務をいま一度見直してみてはいかがでしょう。 (筆:藤澤雅義/全国賃貸住宅新聞2012.01.23掲載)

    • 藤澤 雅義(Mark藤澤)
      オーナーズエージェント および アートアベニュー 代表取締役社長
      プロフィール:

      オーナーズエージェント株式会社 代表取締役社長であると同時に、
      賃貸管理会社 株式会社アートアベニューの代表取締役社長を務める。

      しかし、本人は「社長!」と呼ばれるのがあまり好きでないとのことで、
      社内での呼ばれ方は「マーク」または「マークさん」。

      あたらしいものが好きで、良いと思ったものは積極的にどんどん取り入れる一方、
      日本の伝統に基づくものも大好きで、落語(特に立川志の輔一門)や相撲(特に豊ノ島・時津風部屋)を応援している。

      「現場」で運用の実務にあたっているものが、一番不動産のことを理解し、
      的確な投資分析及びオーナーの収益に貢献をすることができ、
      また、仲介手数料収入に依存する仲介業者ではなく、安定収入のあるPM会社こそが、
      クライアントの側にたって本当のアドバイスができる、が持論。

      著作に、
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