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第38回 管理会社の成長戦略

2012.02.27
  • 全国賃貸住宅新聞

    主要業務を効率化し「会社のブランド力」強化に注力

    今回は「管理会社の成長戦略」についてお話したいとおもいます。
    まず、管理会社の基幹業務には4つあります。表1にありますように、1.リーシング、2.現場管理、3.賃料等集送金、4.新規管理受託営業、です。

    1「リーシング」

    一番大事な業務と言っていいでしょう。入居者を「決めてナンボ」です。そして、「仲介」でなかなか収益が挙げられなくなっている現在、仲介店舗の在り方が問われています。仲介単独では赤字体質であり、よって管理物件を増やす必要があり、かつ来店客の減少もあり、その結果「他社物件」を決めている場合ではない、という状況がうまれています。「自社の物件を自社で決める」という傾向が高まっています。管理会社からみれば、他社の仲介店舗に頼っていたりする(自社決め率が低い)と、今後は厳しいと言わざるを得ません。よって、これからの時代に合わせた新たな仲介戦略を取らなければいけないでしょう。それは、決して従来型の仲介店舗を駅前に出店する、というようなことではない気がします。当然インターネットを駆使した戦略になると思いますが、まだまだこの部分は研究する必要がありますし、いろいろな手法があるのではないかと感じています。また、管理戸数が増えれば、全部の物件を自社で決めるわけにもいきませんが、「自社決め率」を意識することは大変重要です。

    2「現場管理」

    入居者からのクレーム対応、退去リフォーム精算、メンテナンス対応などの業務ですが、ここでは多くの管理会社において、業務の効率化を図る必要がある場合が多いものです。文字どおり、「現場対応」の多い部署なのですが、はっきりさせなければいけないことは、「社員」がする仕事と、「ベンダー(業者)」もしくは、「パート(アルバイト)」がする仕事を分ける、ということです。前回の連載でも書きましたが、「社員」という肩書の人が、ある意味、誰でもできるような仕事をしていてはいけません。たとえば、日常かかってくる入居者からのクレーム対応の電話を社員が受けていては、コストにあいません。他にそれを代行する組織があるのですから、積極的にアウトソーシングすべきです。「社員」は、もっと付加価値の高い、つまり売上の挙がる仕事に注力すべきなのです。もちろん、真面目に現場の仕事に取り組むことは良いことなのですが、それはあなた(社員)でなくてもいいのではないのですか?と言いたいわけです。あなたはもっと大事な仕事ができる人材なのではないのですか?ということです。

    3「賃料等集送金」

    よく経理部門が担当することが多いようです。数字(お金)を扱うという意味においては、会社の会計部門と、よく似ているのですが、基本的には違う部門といえます。会社が小さいうちは一緒にやってもいいと思いますが、賃貸管理ソフトウエアを運用して、データ管理をするという業務と、会社の経理・会計部門とは分けて考えたほうがいいでしょう。オーナーへの賃料送金に伴う「送金明細(支払い賃料明細)」の作成は、管理業務をよく理解している人が最終的に確認し作るのが理想でしょう。

    4「新規管理受託営業」

    1のリーシングと同じように管理会社にとってもっとも重要な部門です。そして、その営業成績は、会社の差別化された業務内容が反映されます。
    どのようなリーシング戦略があるのか、現場管理能力があるのか、管理会社としての運営能力の違いがあるのかで、オーナーは管理運営を任すかどうかを判断するからです。営業担当がオーナーと面談して、会社の特徴と優位性をいかに説得力をもってプレゼンできるかが重要なのです。それは、他社にはない特徴や差別化、つまりそれは「その会社のブランド力」と言っていいでしょう。他にはない「ブランド」を構築したいものです。

    表2の「管理会社の成長戦略」をご覧ください。私は、成長戦略は大きく3つのカテゴリーに分けられると思っています。それは、A「組織の改革」、B「会社のブランド化」、C「リーシング力強化」です。「組織の改革」ですが、管理会社は多様な業務を同時に行っています。4つの基幹業務は、言ってみれば4つの業種(会社)を経営しているようなものです。業務フローがうまく機能せず、かつ目の前の仕事に追われて、肝心な管理受託物件の運営改善の対策まで手が回っていないという会社が多いのではないでしょうか?改革が必要な会社は多いです。キーワードは、「業務の非兼務化」、「アウトソーシング促進」、「提案専門の部署の構築」です。

     Bの「会社のブランド化」は、先にいいましたように、どう他社と差別化するかということです。1の「差別化戦略」の例を表3に出してみました。「空室対策力」「リニューアル提案力」「独自の集客力」「低コストでリニューアルができる」「定期借家権で運用している」「転貸借方式で管理している」「滞納保証・空室保証ができる」「コールセンターがあり、レポートが発行される」等々の差別化に取り組んではいかがでしょうか?表4のSWOT分析を行って、自社の「強み」を冷静に検証して、その強みを活かすような差別化をされるのが近道かと思います。

    Cの「リーシング力強化」は、Ⅰ集客力、Ⅱ物件力と二つに定義しました。Ⅰの「集客力」は、仲介営業力のことです。Ⅱの「物件力」は、物件の力そのもののことです。はたして、人が部屋を決めるとき、「人に背中を押されて決める」のか、「物件の力があれば、黙って決まる」のか、我々の永遠の課題だとおもいますが、また、その両方が正しいのでしょうが、その両方を強化する必要があるのでしょう。人口減時代の賃貸経営のサポートをする我々は、まだまだやらなきゃいけないことが多いですね。

    (筆:藤澤雅義/全国賃貸住宅新聞2012.02.27掲載)

    • 藤澤 雅義(Mark藤澤)
      オーナーズエージェント および アートアベニュー 代表取締役社長
      プロフィール:

      オーナーズエージェント株式会社 代表取締役社長であると同時に、
      賃貸管理会社 株式会社アートアベニューの代表取締役社長を務める。

      しかし、本人は「社長!」と呼ばれるのがあまり好きでないとのことで、
      社内での呼ばれ方は「マーク」または「マークさん」。

      あたらしいものが好きで、良いと思ったものは積極的にどんどん取り入れる一方、
      日本の伝統に基づくものも大好きで、落語(特に立川志の輔一門)や相撲(特に豊ノ島・時津風部屋)を応援している。

      「現場」で運用の実務にあたっているものが、一番不動産のことを理解し、
      的確な投資分析及びオーナーの収益に貢献をすることができ、
      また、仲介手数料収入に依存する仲介業者ではなく、安定収入のあるPM会社こそが、
      クライアントの側にたって本当のアドバイスができる、が持論。

      著作に、
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