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第39回 仲介とは何か?「物件力」で「仲介力」を上回る!

2012.03.26
  • 全国賃貸住宅新聞

    物件の情報充実で「人」に頼らない仲介目指す

    営業マンがいないと部屋を決断できないのか

    最近、ずっと考えていることがあります。「はたして、人は営業マンに背中を押されないと物件を決められないものなのか?」ということです。仲介の現場の人やうちの会社の若いスタッフなどに聞くと、だいたい「7~8割の人は自分では決められないと思います」と答えます。本当にそうなのでしょうか? 正直、私はまだその答えを見つけられずにいます。今回の連載は、「読者の皆さんに問う」、という形で進めさせていただきます(笑)

     部屋を探したいと思ったら、最終的には不動産業者を訪問します。そこで、希望の条件を言って、営業マンからあなたにはこういう物件がいいのでは、というような会話のキャッチボールがあって、ではこれこれに絞って内見しましょう、となって現地に行って、最終的に営業マンにやはり「相談」しないと決められないものなのでしょうか? たとえば極端な話、ネット上で十分に物件を調べた結果2つか3つに絞って、不動産業者に電話して、現地においてある鍵の出し方を教えてもらって、自分だけで「内見」して、「ネット上で見たとおりです。納得しました」となって、自分で決めるというようなことは起こらないのでしょうか。背中を押すようなトークはなしに。確かに、そのようなことができる賢く判断力のある人は全体のせいぜい2割なのかもしれません。しかし、そのようなことが起こる確率をもっと上げられないものかなあ、と思うのです。最終的に、不動産会社の人とまったく「会話」をしないで決める、ということはないでしょうが、インターネットというとても便利なシステムがあるのですから、これをもっと最大限に使って、効率良く仲介ができないものでしょうか? そして、もっと効率良く「集客」できないものでしょうか?

     「賃貸仲介」という業態は、私は基本的に赤字体質ではないかと思っています。それほどたいした営業能力を要求されているものではない(現場の方ごめんなさい)と思うのですよ、営業といってもお客さんを「待っている」形態ですし、エリアや物件のことをそれほど知っていなくても、人との距離感が普通につかめて、相手がなにを考えているかがわかるセンスがあれば、クロージングできますよね。売買仲介と違ってそれほど専門的な知識も必要ありませんし、そもそも宅建主任者の資格すら持っていない人が多いですよね。しかし、「社員」を雇えば結構な人件費がかかりますし、集客するための仕組みや店舗の経費、広告費等も結構かかります。「営業マン(女性も)」という「人」に頼っておこなっている以上は、「人」に左右されます。つまり「いつも成績のいい営業マン」がやめると途端に全体の売り上げが落ちる、というようなこともあり安定しません。

    社員にこだわらないクロージングの提案

    まず、「社員」でないと、クロージングできないのでしょうか? 「パートの主婦」とかでは駄目なのでしょうか? 最近の連載で言っているように、「社員」という肩書の方は、他の誰かでもできるような仕事をしてはいけないと思うのです。もっと付加価値(売り上げ)を産まなくてはなりません。もっと難しい仕事をしてほしいのです。また、「会話」を必ずしもリアルに会ってしなくてもいいわけで、パソコン上で「テレビ電話」的にやってもいいでしょう。最近は「スタッフレスショップ」を展開する会社さんもありますよね。人が集まる場所に小さな無人店舗を置き、物件検索やテレビ電話相談ができるという仕組みは大変面白いと思います。「低予算のバーチャル店舗」というわけです。

     そして、もっともっとネット上に物件の内容・写真・動画をこれでもかというくらい載せて、また物件の周りの環境(ロケーション)もくわしく紹介することによって「集客」も伸び、「営業マンが説明する」のを省けないものでしょうか? われわれはいろいろな調べ物をしたり、たとえばパーティーの会場や食事をするお店を探したりするときに、ネット上に情報がたくさんあるお店を最終的には選んでしまいますよね。情報があればあるほど確信できるのです。こうするには、やはり月次管理料をいただいている「管理物件」でないとそこまでのコストはかけられないですね。だから、「仲介から管理へ」なのです。管理物件であれば、物件の住所だって公開できるでしょう。ストリートビューとのリンクだってできるはずです。そして、「管理物件」なら「仲介手数料は0」でもできるはずです。「仲介手数料0」はネット上でもインパクトがあることでしょう。

    家賃に合った物件を。一方で「アソビ」も重要!

    また、「仲介力」を強めることも大事ですが、「物件力」を強化することもとても大事ですね。いくら営業マンが優秀でも、力のない物件は決まりません。昨年、全日本不動産協会主催の賃貸管理実務講習の講師を全国各地でしましたが、その講演のなかで、受講者の方にこういう質問をしてみました。「仲介営業マンの資質を高めることにお金をかけるか、物件の力を強めることに注力するのとでは、どちらが会社経営として良いか」、また「物件の力」は当然に家賃と相対的な関係にありますから、「5万円が相場の物件を営業の力で55,000円で決めるやり方と、オーナーさんを説得して5万円で募集し、鍵を開けるだけでクロージングはしないというやり方とでは、どちらが商売になりますか?」と聞いてみたところ、圧倒的に後者に手を挙げる人が多かったのです。5,000円の家賃の差が微妙な点ではありますが、みなさんも、「仲介力」よりは「物件力」のほうが大事だと思っていらっしゃるのですね。

     「力がある物件」とは、何もオートロック付きのセキュリティーがしっかりしていて、エントランスホールが広くて間取りが素晴らしい物件、という意味ではありません。すべては、家賃との見合いです。同じ物件でも55,000円にしては、グレードが低いなあ、でも5万円ならそこそこ良い物件だなあ、と感じるのです。決めようと思ったら家賃を下げるのが手っ取り早いのは事実です。連載第30回目の「稼働率から逆算する賃貸経営」で書きましたように、決まるまで家賃を下げたほうが、空室のまま何カ月も放置するより年間決算したときのオーナーの収益は多くなります。しかし、だからといって、ただ家賃を下げる交渉ばかりをしていては、オーナーの収入が年々減るばかりです。真に物件の力を上げなければなりません。それが真のプロパティマネージャです。もっともっと物件力を高めましょう。

    もっと差別化ができないものでしょうか?「持ち家」ではなく「賃貸」なのですから、もっと「アソビ」があっていいと思うのです。私は「最大公約数」的な、どこにでもある普通の賃貸住宅をつくるより、たとえ一部の人からは否定されるが、好きな人からは「とても好き!」と言ってもらえる「トンガっている」物件を造ったほうが最終的には成功すると思っています。なぜなら、他にはないから。間取り変更や外装のリニューアルという抜本的なものだけでなく、もっと「個性」を主張するようなものを造ってみてはどうでしょうか?「◯◯部屋」というようなコンセプトを与えるのです。こういう好みの人向けの部屋、というわけです。既にいくつか世に出ていますが、アイデアは無尽にあると思いますよ。「カスタマイズ賃貸」とか、最近テレビでも取り上げられましたが「内装が選べる部屋」というのも、その「個性」を主張する流れの一環ですよね。シェアハウスも「コミュニティーを提供する」という個性があります。このように「個性」がある物件であれば、部屋を探すとき、人に背中を押されなくても決めることができますよね、きっと。この「個性を主張する賃貸住宅」については、項を改めて書きたいと思います。

    (筆:藤澤雅義/全国賃貸住宅新聞2012.03.26掲載)

    • 藤澤 雅義(Mark藤澤)
      オーナーズエージェント および アートアベニュー 代表取締役社長
      プロフィール:

      オーナーズエージェント株式会社 代表取締役社長であると同時に、
      賃貸管理会社 株式会社アートアベニューの代表取締役社長を務める。

      しかし、本人は「社長!」と呼ばれるのがあまり好きでないとのことで、
      社内での呼ばれ方は「マーク」または「マークさん」。

      あたらしいものが好きで、良いと思ったものは積極的にどんどん取り入れる一方、
      日本の伝統に基づくものも大好きで、落語(特に立川志の輔一門)や相撲(特に豊ノ島・時津風部屋)を応援している。

      「現場」で運用の実務にあたっているものが、一番不動産のことを理解し、
      的確な投資分析及びオーナーの収益に貢献をすることができ、
      また、仲介手数料収入に依存する仲介業者ではなく、安定収入のあるPM会社こそが、
      クライアントの側にたって本当のアドバイスができる、が持論。

      著作に、
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      ・『「収益改善」&「リニューアル企画」マニュアル』(総合ユニコム)(購入
      ・『200万円からはじめるマンション投資術』(主婦の友社発行)(Amazonで購入

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