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第43回 賃貸管理会社の組織論1【組織体系】

2012.07.23
  • 全国賃貸住宅新聞

    事務作業と接客を分業化し生産性をあげる

    管理会社の課題は労働生産性の向上

    私は、全国の管理会社をみさせていただく機会が多いのですが、実は皆さん、いろいろな問題を抱えています。何がうまくいっていないかというと、まず、「業務フローが固まっていない」という問題があります。そして利益率が低い、つまりひとりあたりの「労働生産性が低い」ということがあります。

    物件担当制でなく業務別の担当を敷く

    まず指摘したいことは、多くの管理会社が「業務の兼務」をしてしまっているということです。言い換えれば「分業化」をすすめるべきなのです。この業界では管理業務は「物件ごとに担当がついて全部を見たほうがいい」、という大きな誤解があります。いわゆる「物件担当制」です。理想的な体制のような気がしますが、現実的にはまず稼働しません。そもそも、管理会社の業務には大きく4つあります(図1)。これらはそれぞれが単独で一つの事業が成り立つくらいの大きな業務です。管理会社というのは結構大変難しい仕事をしているのではないでしょうか? よって、「業務担当性」を敷くべきです。「リーシング」または、「クレーム対応・退去リフォーム(現場管理)」をしている人が「管理受託営業」を兼務してはいけません。「出納業務」をしている人がいつも会社にいるからといって、「入居者からの電話の一次受け(現場管理)」をしてはいけません。「リーシング」担当の人が、「管理受託営業」をするのは、一見問題がないように思えますが、できれば分けたほうがいいでしょう。やはり、「業務が違う」からです。リーシング担当の人は、一般のアパートオーナーともよく接触しますし、管理受託の営業をそのまますればよいと考えがちですが、管理受託の営業トークが皆一定にできるかというと現実には難しいでしょう。リーシング担当がオーナーと接触し、管理受託営業の初動部分まではしていいですが、クロージングは管理受託営業専門の部隊が出動すべきです。

     また、基幹業務のなかでも「分業化」をすすめるべきです。たとえば「現場管理」という部署のなかでも業務は多岐にわたっています。①クレーム対応、②解約時退去リフォーム精算、③メンテナンス保守・定期巡回、の主に3つになると思いますが、これらを部員全部が平等に負担するというのは、ナンセンスです。まず、入居者からのクレームや解約通知の電話が会社にかかってくると思いますが、そのために「電話番」で誰かが会社に残っていなくてはなりません。そして、長い電話に捕まってしまって、外に出られないというようなことがしょっちゅう起こります。この「電話をしている時間」というものは、ばかにできません。皆さんも1日のうちどのくらい「電話」に時間を使っているか計算をするとよいと思います。それに「電話」は仕事に集中しているとき、強制的に割り込んできます。その「妨害」のあと、もとのペースに戻るには15~20分の時間がかかるという調査結果もあります。できれば、入居者からの電話受付専門の部隊をつくるとよいでしょう。この分野では、最近は「コールセンター」をアウトソーシングすることがよく行われていますし、各社充実したサービスが展開されています。

     また、退去リフォーム精算業務で一番大変なのは、リフォーム代の負担割合を交渉する作業です。入居者負担かオーナー負担かというわけです。いまどき、経年摩耗の分まで入居者に負担させよ、というオーナーはそれほどいない(?)と思いますが(この部分は決然とした態度を取るべきです)、これらの交渉作業の時間が結構無駄だといえます。明確なルールを徹底して、作業の効率化を図るべきでしょう。管理戸数にもよりますが、①②③の業務を個別に分担するほうが効率はよいでしょう(各社の事情にもよりますが)。

    契約書の作成は担当者を決める

    「契約書の作成」などの事務作業や「管理システムへの入力作業」なども、皆が少しずつ担当するより、特定の人が集中してやるほうが合理的です。営業担当は、営業に特化したほうがいいのです。会社に残って事務的作業に追われるより、それは内勤の事務職に任せて得意な「クライアントとの商談時間」を増やす努力をしたほうが成績があがります。営業担当に営業事務をつけるとその分、仕事が楽になってサボるのではないか、という懸念があるかもしれません。では、サボらせない工夫をすればいいのです。それは、個人ごとの「行動分析」です。「行動分析」は、分業化をすすめるためだけのものではありませんが、個々のスタッフの1カ月間の行動を冷静に分析することによって、無駄がないか、生産性をあげるための手段がないかと検証するのに役立ちます。

    行動分析から割当時間を再考

    図2は、仲介営業担当の行動分析の一例です。一人のスタッフに1カ月間に与えられた時間を100%として、どの分野に時間を割いているかをひと目でわかるようにしたものです。意外に接客時間が15%と少なく、案内している時間も10%しかありません。そして、事務作業(30%)や物件調査(30%)に合計60%も時間を取られてしまっています。この60%の時間を他のスタッフに集中して任せて、もっと大事な業務、接客やオーナー面談(現在5%)にあてたほうが売り上げが上がると思いませんか?! 事務作業や物件調査の合計60%を例えば30%に減らすことができたら、接客・案内・オーナー面談という一番売上に貢献しそうな業務を現在の合計30%から60%に上げられる可能性があるのです。

    (筆:藤澤雅義/全国賃貸住宅新聞2012.07.23・30 合併号掲載)

    • 藤澤 雅義(Mark藤澤)
      オーナーズエージェント および アートアベニュー 代表取締役社長
      プロフィール:

      オーナーズエージェント株式会社 代表取締役社長であると同時に、
      賃貸管理会社 株式会社アートアベニューの代表取締役社長を務める。

      しかし、本人は「社長!」と呼ばれるのがあまり好きでないとのことで、
      社内での呼ばれ方は「マーク」または「マークさん」。

      あたらしいものが好きで、良いと思ったものは積極的にどんどん取り入れる一方、
      日本の伝統に基づくものも大好きで、落語(特に立川志の輔一門)や相撲(特に豊ノ島・時津風部屋)を応援している。

      「現場」で運用の実務にあたっているものが、一番不動産のことを理解し、
      的確な投資分析及びオーナーの収益に貢献をすることができ、
      また、仲介手数料収入に依存する仲介業者ではなく、安定収入のあるPM会社こそが、
      クライアントの側にたって本当のアドバイスができる、が持論。

      著作に、
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