全国賃貸住宅新聞

公開日:2012年10月22日

第46回 管理受託の促進手法2

第46回 管理受託の促進手法2
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滞納保証の期限と限度額明記で管理の信頼性アピール

社内体制を整える5つのポイント

昨年の9月の連載(第33回)で、「管理受託の促進手法」について書かせていただきました。その時は「営業手法」として、「不動産経営におけるリスク」、また「管理の業務内容の詳細」をオーナーに提示することによって不動産経営の難しさを理解してもらい管理受託を促進させる、そして「具体的な管理受託営業のパターン」を記しました。今回は、管理受託を促進させるための「管理会社の社内体制の構築」というテーマで書きたいと思います。「社内体制の構築」とは、営業担当が営業に出る前の段階で会社が用意しておくことであるといえます。

図表1にありますように、まず1「自社管理メニューの明確化」というものがあります。そもそも日本では「仲介」の延長線上に「管理」が発展してきたこともあって、「賃貸管理」の定義が曖昧であり明確になっていないと思うのです。まず自社として、「どういう管理をするのか?」を話し合い、決定する必要があります。入居者仲介をして家賃を集金するだけが「賃貸管理」でしょうか?それは違います。もっと高度な「賃貸経営管理」の内容と「リスク・マネジメント」を提示すべきです。管理会社が行う業務として、①「リーシング」、②「家賃送集金」、③「現場管理」、④「空室対策提案」、⑤「リスク・マネジメント」、⑥「レポーティング」などがありますが、これらの業務で実行する内容をもっと明確にしたらどうでしょうか?

 オーナーが管理会社に管理を任せる、月次管理料を支払うということは、一種の「保険」のような意味合いがあると思います。つまり、「何かあったときは、私の物件のためにいろいろ手を尽くしてくれるんだよね?」、という意味です。そういった体制ができているか? また空室が多く発生して困ってしまったときに、いろいろなアイデアを出してくれて実行ができる、そのような体制および姿勢があるのか? ということをオーナーは求めていると思うのです。また、オーナーが管理を任せることの意義は「リスク・マネジメント」を管理会社がどこまでしてくれるのかにありますので、実際に確定的にリスクをヘッジする契約をオーナーは喜びます。一番わかりやすいのがいわゆる「サブリース」です。空室損失のリスクを管理会社が負担するというものですね。また、「滞納リスク」をどこまで負うのかも大変重要です。私はいろいろな管理会社の「管理契約書」を見せてもらうことが多いのですが、この「滞納時の処理」について、意外に曖昧になっていることが多いのです。「滞納保証をする」を書いてあっても、「何カ月分まで」保証するのか、もしくは「無限」なのか、また実際に滞納入居者と訴訟になったときにその対応は誰の負担でするのか?「弁護士費用は誰が負担するのか」といったことがはっきりしていないことも多いです。よって、それらを明確にするだけでオーナーに対してアピールできるのです。

転貸借方式採用で素早い対処可能に

私の会社では、よりオーナーの負担がないように、転貸借方式での管理委託方式を採用しています。これにより、管理会社である当社がいつも入居者に対して「貸し主」であり、「当事者」なので、内容証明もスピーディーに出せますし、訴訟も自分で行うことができます。弁護士費用は、すべて当社負担で行うとしています。またすべての賃貸借契約を「定期借家権」で行っていますので、滞納者に対して強いカードを切ることができます。

 2の「営業ツールの充実」ですが、1で管理の内容が明確になったらそれを営業時に表現できるツールが必要です。意外に多くの管理会社に簡単な会社概要パンフレットは持ちあわせていても、肝心の「管理内容の説明パンフレット」がないことが多いのには驚かせられます。これはやはり1の管理内容が明確になっていないことが遠因になっていると私は思っています。パンフレットを作ろうと思ったら、その前に、ではどう管理するのか? という問題に行き当たるのです。ホームページに載せる内容も基本的に同じですが、とにかく自分たちの会社がどういう体制を持っていて、どこまでの業務をやりかつ負担するのかを説明するものが営業には必要です。それらが使用することにより、営業トークも標準化されますし、プレゼンにも一定のレベルを保つことができます。「管理契約書」ですが、営業担当はこの契約書の条文をひとつひとつ正確に説明できるでしょうか? 建物賃貸借契約書の全条文を説明してほしいという入居者はほとんどいないでしょうが、管理契約書になればちょっと様子が違ってきます。契約書の内容の勉強会や「ロープレ」も必要です。

 3の「管理受託営業の専門部署の創設」ですが、この連載でもたびたび触れているように、また他の部署も同じですが、業務の「非兼務化」を進める必要があります。管理戸数が増えないと嘆いている経営者の方も多いですが、ではその管理受託営業をどのようにやっているかとあらためて見てみると、リーシング担当がオーナーについでに営業しているといった程度の会社が多いのです。「専門」の営業担当がいて初めて月間、年間の数値ノルマも予算組みできますし、実績の評価をすることもできるのです。他の業務が忙しかったので、管理獲得の営業はできなかったという「言い訳」ができないようにしなくてはなりません。

退去費用保障など独自商品を持つ

 4の「訴求商品の開発」ですが、賃貸経営に関して競合他社にはないような差別化された商品を持っていると、営業的に強くなるということです。たとえば、当社ですと毎月一定の料金を払ってもらうことによって、退去時の内装リフォーム代やエアコン・給湯器の故障・交換を当社がすべて負担するというシステムを開発し持っています。

 5の「ブランディング」ですが、ブランディングとは、「他社との差別化によって企業の概念的な価値を上げていくこと」、また「顧客が企業に対して良いイメージを持つようにすること」です。これはけして大企業だけの営業戦略ではなく、小さな会社が初めてオーナーと面談し、オーナーも初めてその会社のことを知ったという場合などにも必要なことだと思っています。図表2にその手法例を具体的に書きました。図表1の4とも関連しますが、管理会社としての特徴をもっとつくって、簡単に言えばオーナーから「この会社は新しいことにトライしてオーナーのために仕事を頑張っているな」というイメージを持ってもらうことが大事ではないかと思うのです。「頼りがいがありそうな会社」と言ってもいいでしょう。

(筆:藤澤雅義/全国賃貸住宅新聞2012.10.22掲載)


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