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第53回 仲介業の今後

2013.05.27
  • 全国賃貸住宅新聞

    手数料無料で差別化する仲介会社が増加

    入居者の住まい探し、4割がネットで吟味

    ちょうど、3年前の2010年5月の連載で、私は今後、賃貸の仲介手数料は0円になるのではないか? という意見を述べました。3年たってネット上ではずいぶん「仲介手数料無料」をうたうサイトが増えましたね。この傾向はますます強くなっていくことでしょう。その主な理由は、①Web環境の充実、②賃貸管理ビジネスの台頭などと書きました。特に、Web環境はますます進化しています。

     それに関し、このたび、私が幹事をしております「21C.住環境研究会」と「SUUMO((株)リクルート住まいカンパニー)」との共同でおこなった「第6回入居者ニーズと意識調査」では、驚くべきアンケート結果がでました(この調査は、首都圏の入居者1137名に60もの問いに答えていただくもので、1997年から3年ごとに行っているものです)。その問いは、今あなたが住んでいる物件は①ネットで探した物件か、②ネットで探した物件の不動産屋さんの他の物件で決めたものか、③は①や②以外、というものなのですが、なんと①が4割、②が3割だというのです(表1)。入居者の4割は、PCやスマホで自分で探し出した物件にそのまま住んでいるというのです。以前は、部屋探しは、必ず地元の不動産屋さんに行って営業担当の方に自分の希望条件を述べ、良い物件を見繕ってもらって、それから案内をしてもらってその中から決めるというものでした。しかし、今や、ネット上で物件を十分に個人が吟味し、これはと思う物件に絞り、あとはその物件を見せてもらって、ネットの情報の通りかを「確認」してその物件に決める、という手順となったのです。技術革新のおかげで仲介業のあり方が根本的に変わりました。ネット上で「自分で探した」つもりの入居者がはたして家賃6万円だからといって、仲介手数料6万円を払うでしょうか?「鍵を開けただけ」の人に。

     入居者からしてみたら、不動産屋の店舗にわざわざ行く必要はないし、現地集合で十分、物件を「確認」だけさせてくれ、というところでしょう。案内中も特に話しかけないでくれ、情報はネットで把握している。もちろん、現時点でまったく営業担当に会わないで決めることはほとんどの人ができないでしょうが、しかし、それも今よりもっとネット上に情報が詳細にあれば、事足りると言えるのではないでしょうか? 3年前、このような「仮説」を私がほうぼうで話したところ、仲介の現場の人は、「いやー、実際自分で決められる人は10人に1人程度ですよ」、「ほとんどの人はわれわれ営業担当と相談してはじめて物件を決めることができるんですよ」とおっしゃっていました。しかし、その方々も今はずいぶん言うことが変わってきています(笑)。

    物件住所の不記載・業者都合の情報表示

    私は、現時点のネット上の賃貸情報はまだまだ改善の余地があると思っています。もっと写真やまた動画をたくさん載せ、物件の情報、また物件周辺のロケーション情報を詳細に説明すれば、入居者は物件を「絞り込む」ことができるとおもいます。「表2」にあるような結果は大変参考になる結果ではありませんか。

     そもそも、世の中には物件の「住所の特定」ができないサイトが圧倒的ですが、おかしな話だと思いませんか? 部屋探しをしていて、最後になってもどかしい気分になりませんか?ストリートビューもある時代に、なぜ物件そのものが特定できないのでしょうか。これは「業者の論理」によるものです。住所を特定すると、入居者が現地に行ってしまい、他の業者に「抜かれ」てしまうのが嫌だ、とかいうものでしょう。また、「仲介業者」にとって、ネットで広告している物件はあくまで「お客を呼ぶ」ための「フック商品」であって、その物件そのもので決まる必要はない、店舗に来てくれさえすれば良い、という姿勢がどこかにないでしょうか。もう、時代はあきらかに変わりました。

     そもそも部屋を借りるのに、なぜ手数料が別途いるのか?という根源的な問いもあるのです。現在は、「広告料」という名の手数料をオーナーが不動産屋さんに払うことが当たり前になっていますが、技術革新によって、「仲介の手間」は減っているのに、入居者から家賃の1カ月分、オーナー側からも1カ月で、計2カ月の手数料を得られるのはちょっとバブルではないでしょうか? 時代を読む業者は「仲介手数料無料」のメッセージを発し始めています。

    これらの時代の変化によって、今後「仲介が変わる」ことになるでしょう。「表3」に記しましたように、もう今後「路面店舗」は特に必要ないでしょう。営業マンは店長1人でいいのでは。無人店舗がもっとあってもいいでしょう。PC上で「テレビ電話でバーチャル接客」というのもありでは。

     そして、管理会社なら自分の物件のみを、もしくは重点的に募集できます。自社の物件だから情報も豊富にありますし、仲介の立場だと毎回募集物件の情報が変わるので、それほど情報集めに時間を割けないのです。そろそろ、「仲介」重視なのか、「管理」重視なのか、自社のビジネスモデルをはっきりさせる時が来ているのではないでしょうか?

    (筆:藤澤雅義/全国賃貸住宅新聞2013.05.27掲載)

    • 藤澤 雅義(Mark藤澤)
      オーナーズエージェント および アートアベニュー 代表取締役社長
      プロフィール:

      オーナーズエージェント株式会社 代表取締役社長であると同時に、
      賃貸管理会社 株式会社アートアベニューの代表取締役社長を務める。

      しかし、本人は「社長!」と呼ばれるのがあまり好きでないとのことで、
      社内での呼ばれ方は「マーク」または「マークさん」。

      あたらしいものが好きで、良いと思ったものは積極的にどんどん取り入れる一方、
      日本の伝統に基づくものも大好きで、落語(特に立川志の輔一門)や相撲(特に豊ノ島・時津風部屋)を応援している。

      「現場」で運用の実務にあたっているものが、一番不動産のことを理解し、
      的確な投資分析及びオーナーの収益に貢献をすることができ、
      また、仲介手数料収入に依存する仲介業者ではなく、安定収入のあるPM会社こそが、
      クライアントの側にたって本当のアドバイスができる、が持論。

      著作に、
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