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第56回 ワーク・ライフ・バランス

2013.08.26
  • 全国賃貸住宅新聞

    人生観を見直す時間確保で労働生産性が向上

    17年前に不動産会社設立・年商50億の会社に成長

    私は、株式会社アートアベニューという首都圏で5000戸超の管理をしている管理会社、またオーナーズエージェント株式会社というコンサル会社の経営者です。ちょうど17年前に会社を設立し、当初4人で始めて現在スタッフが合計約60名、年商50億の会社になりました。大学卒業後不動産業界に入り、一貫して「賃貸管理ビジネス」に携わってきましたが、ひとつ言えることは、このビジネスはもっと「儲かる」はずだということです。この「儲かる」とは、「一人あたりの利益が高い」、更に「時間あたりの利益の高い」会社にすることができるはず、という意味です。しかし、全国の賃貸管理会社というか、賃貸仲介を含めた賃貸ビジネスをされている会社を拝見すると、そうでもない現実があります。
     毎日夜10時くらいまで働いて、休日も年間100日を切り、毎日疲れた顔をしている。給与やボーナスはそれほど上がらないし、仕事は毎日バタバタやっていて、今日1日、何をしたのかよくわからないまま過ぎてゆく…。これでは、ますます生産性は落ち、仕事のミスが多くなり、その対処に追われて時間の無駄。休日は疲れを取るだけで終わってしまうので、「宅建」を取得するなどの自己啓発や趣味の時間も取れない。家族との対話も少ないので、「離婚率」も高い、やる気もわかないので、商売がうまくいかず、ますます「負のスパイラル」に陥ってしまう。ついでにメンタルヘルス社員もちらほら。これではいけませんね。

     最近「ワーク・ライフ・バランス」という言葉をよく耳にしますが、これは「仕事と生活の調和」を意味します。「仕事中心」だけの人生ではなく、「仕事以外の生活」を充実させることで、より良い人生を送れるようにする。また、かえってそれが仕事に良い影響を与える、という考え方です。残業を少なくし休日を増やすことで、まず心身ともに健康になり、また、趣味や家族との対話の時間が増えます。読書をはじめ自己啓発の時間も取れるので、新たな情報を自分にインプットすることができ、新たな発想(アウトプット)も生まれます。地域活動に参加したり、社外のかつ、業界外の勉強会に参加したりすることで、新たな人脈とか時代の変化を感じ取るなどの情報を得ることもできるでしょう。そうなると、当然、仕事上に良いアイデアもぽんぽん出ますから利益も増えます。結果、残業が少なく、休日も多く、かつ給与も高い明るい会社になれば優秀な人材が集まってきますから、ますます会社は成長するというわけです。こういう会社を是非つくりたいものです。

    弊社は残業時間は平均で月間40時間弱あり、あまり他人にモノをいえる立場にはないのですが、今後はもっと減らしたいと考えています。規定の年間休日は120日ありますから不動産業界では多いほうでしょう。有給休暇も労働基準法通りに取得できます(入社初年度で年間10日間)(営業系のスタッフはなかなか有給休暇を消化できませんが)。私自身のことを言えば、つい数年前までは正直「仕事人間」でしたし、残業をするのは当たり前、くらいに思っていましたが、趣味の「ゴルフ」や、「落語」を聴くことを覚えて、その中からいろいろ学ぶことが多いなと気付いてから、ちょっと考え方が変わりましたね。また、もっと人生を楽しむべきだ、何のための人生か、と思うようになったのです。

    人生観を見直す時間確保で労働生産性が向上

    さて、ではこれらを実践する、つまり「残業を減らす」ということは「短時間で同じ売り上げを上げる」ということになります。もっと「一人あたりの労働生産性」を上げる、ということです。管理ビジネスを実践しているものとして、私は自社を含めてまだまだ合理化ができると思っています。その鍵は、「分業化」と「アウトソーシング」にあると思っています。同じ人間に複数の仕事を兼務させていませんか?たとえば「物件担当制」は確かに理想で、私も以前はそれがいいと思っていた時期もありましたが、「効率が悪い」のは確かですよね。物件ごとに一人の人間が複数の職種をこなすより、職種別に部署をわけて同じ仕事に集中したほうが、はるかに生産性は高いでしょう。また、いま社員というコストの高い人がやっている仕事を「体系化」し、「マニュアル化」してもっとコストの安いパートさんとかにやってもらうという発想が必要です。仕事のほとんどは「仕組み」で解決できると思うのです。「社員」の仕事は、与えられた仕事をただ真面目にやることではなく、その仕事を効率化して、他の人に任せられないか、と考え実行するのが本当の役目です。これは「社内のアウトソーシング」です。「社外へのアウトソーシング」も当然重要です。不動産会社の方はなぜか、全部自分でやろうとします。入った収入は出したくない、すべて社員にやらせればその収入は全部残るではないか、という発想です。これは間違っています。その社員がやっている仕事を社員のコスト以下でやってくれるところがあるのなら、どんどん任すべきです。そして、社員はそのアウトソーシングのコスト以上に儲ければいいのです。その繰り返しが「労働生産性の向上」につながります。第一、社内のスタッフに仕事を任せるということは、どんどん人が増えていくことを指します。そうなると「人のマネジメント」というまた大変な仕事・コストが増えるのです。これはばかになりません。求人、教育、給与、福利厚生等々。そして、いつも言っているように、「コア・コンピタンス経営」を追求するのです。得意技を磨く、重要な部署に資源(人、モノ、金、情報)を集中させることをいいます。全部をやるより、大事な仕事に集中するのです。管理会社にとって大事な仕事とは?決まっていますよね。

    さあ、この原稿を読んでみなさんはどう考えますか?そんなに甘いものじゃあないよ。残業してしっかり働かなきゃ利益は確保できないよ。とお思いでしょうか。確かにそうかもしれまません。しかし、無理だと思うか、残業0を目標に頑張ろう、と思うかではまったく方向性は違いますよね。どちらを選択しますか?スタッフに聞いてみましょう。給料が同じとして、残業が多く休日が少ないのと、その逆のどっちがいい?と。答えは決まっていますよね。中には「M」の方もおられるかもしれませんが(笑)。利益を上げて、休みを多くして、そして、我々の業界のステータスをもっとあげましょうよ!カッコいい業界にしたいですね。

    (筆:藤澤雅義/全国賃貸住宅新聞2013.08.26掲載)

    • 藤澤 雅義(Mark藤澤)
      オーナーズエージェント および アートアベニュー 代表取締役社長
      プロフィール:

      オーナーズエージェント株式会社 代表取締役社長であると同時に、
      賃貸管理会社 株式会社アートアベニューの代表取締役社長を務める。

      しかし、本人は「社長!」と呼ばれるのがあまり好きでないとのことで、
      社内での呼ばれ方は「マーク」または「マークさん」。

      あたらしいものが好きで、良いと思ったものは積極的にどんどん取り入れる一方、
      日本の伝統に基づくものも大好きで、落語(特に立川志の輔一門)や相撲(特に豊ノ島・時津風部屋)を応援している。

      「現場」で運用の実務にあたっているものが、一番不動産のことを理解し、
      的確な投資分析及びオーナーの収益に貢献をすることができ、
      また、仲介手数料収入に依存する仲介業者ではなく、安定収入のあるPM会社こそが、
      クライアントの側にたって本当のアドバイスができる、が持論。

      著作に、
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