全国賃貸住宅新聞

公開日:2013年11月25日

第59回「採用手法」を差別化する

第59回「採用手法」を差別化する
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謝罪文を書く演習で相手の立場を察する力を判断

賃貸管理は「人材」で決まる

 10月末にアメリカ・サンフランシスコの賃貸管理会社を2社訪問してきました。4日もの間、朝から晩までしっかり視察させていただき勉強させてもらいました。いろいろ刺激になったことも多いのですが、特に「IT活用による業務合理化」へのこだわりには意を強くして帰ってきました。その件はいずれお話するとして、今回は「人事」、について述べたいと思います。
最初に訪れた会社は創業44年で社員数420名、次に訪れた会社は不動産管理もしていますが、大きな投資会社でした。誰もが知っているベースボール球場を所有していたりします。両社の社長に私は質問しました。今まで一番苦労したことは、また成功の秘訣は何かと。2社の社長とも期せずして「人」だと答えました。会社は人で決まります。また賃貸管理会社は特にモノを売っているのではなく、サービスを売っているビジネスですから、より「人」の力が重要です。

 不動産業者の多くの経営者は、「自社に人材がいない…」と嘆いておられます。しかし、現実には中小企業にそうそう人材が輩出できるとは考えられません。ただ、やりようはあると思うのです。
ポイントは「採用」と「マネジメント」と「評価」です。まず入口の「採用」です。会社に入ってから「育てる」ということも当然大事ですが、正直にいって資質が低い人をいくら育てても成長が非常に遅い、という現実があります。「悪いやつじゃあないんだけれどなあ…」となるわけです。誰しもが「優秀で人柄も良い明るい人」を採用したいと思っております。
そこで、より優秀な人材を採用するための極めてシンプルな手法があります。それは求人時に「良い人が現れるまで決して妥協しない」ことです。我が社も以前は求人時に「来た人のなかで一番良い人」を選んでいました。しかしそれではいけないのです。「客観的にみて良い人」が来るまで辛抱強く、何度も求人広告を出し続けるのです。お金は何倍もかかりますが、中途半端な人を入れて2~3年ほど教育して、ものにならなくて結局辞めていくことを考えれば安いものです。現場は人手が足らないので早く採用してほしい、この人でよいではないですか、と採用決定をしたがります。しかし、ここが踏ん張りどころです。悪くはないけど、今ひとつだ、ちょっと何かひっかかるなあ、と思ったら、迷わず「もう一回募集しよう」とやるのです。
 また、お金がかからないで良い人材が採れる良い方法があります。それは、「休日を増やす」ことです。不動産は他業種に比べて年間休日数が少ない業界です。110日もない会社も多いのではないでしょうか? 完全週休2日で52週×2日=104日、祭日を別途休んで15日、これで計119日です。年末年始とお盆休みやゴールデンウイークを有給で休んで130日程度は休みを与えてみてはいかがでしょう。そんなに休んだら売り上げに影響があるとつい思ってしまいますが、そんなことはありません。これははっきり申し上げますが、売り上げは減らないものなのです。私自身もサラリーマン時代に休みを130日なんてもらったことはありませんが、良い悪いではなく、これは時代の流れですし、就職活動する身になって考えてみてください。給与が同じで年間休日が105日の会社と130日の会社とどっちに入社したいか。わざわざ105日の会社を選ぶ人はいないですよね。このあたりもっと経営者には頭を柔かくしてほしいものです。不動産業界をもっとカッコいいものにするために頑張ってほしいですね。

短時間で相手を見抜くには

求人面接時には短時間で「人を見抜く」ことも大事です。せいぜい1時間強の面接で人をどこまで見抜けるか。当社では、「漢字の読み取りテスト」と「謝罪文を書かせる(表1)」ことを重要視しています。漢字を書くことは出来なくても、「読む」ことには意味があります。「一期一会」や「以心伝心」「金科玉条」、また「相殺」「啓蒙」「恍惚」「匿名」などの読みができないとなれば、それは単に国語力の問題ではなくて、自分の周りのことにあまり関心がない人ではないかと思えるのです。二十数年以上も生きていれば、それらの言葉に出会わなかったことはないと思うのです。学生時代の勉強だけではなく、「どう読むんだろう」という好奇心がある人はそれなりに点数を取れると思うのです。50問のテストで弊社では70点以下の人は採らないようにしています。

謝罪文を書く演習で相手の立場を察する力を判断

 また、「謝罪文を書く」演習ではその人の「場を読む力」を判断できます。実務においては、クライアントに理解を求め謝罪しなくてはいけない場面が少なからずあります。クライアントの立場にたって気持ちを察し、おかれた状況を説明して理解を求める文章がかけるかどうかで、けっこう実務能力が計れるのです。「場を読む力」がない人は、びっくりするほどあっさりした文章を書くものです。これではオーナーは怒りだすだろうという文章を書いてしまいます。そして、書いた本人には悪意はないのです。

 また、履歴書の「学歴」ですが、最近は少子化の影響で通常の試験ではなく推薦での入学も増えているので、大学名だけで判断するとちょっと違うなあ、と感じることも増えました。大学より高校の偏差値をWebでチェックすると良いでしょう。中学校時代の学力はいわゆる「地アタマ」を測ることになります。もちろん「学歴」が全てでは当然ありませんが、しかし、ある程度能力と比例するのも事実です。また、リクルートの「SPI適性検査」も有効でしょう。Webを使って会社でも自宅でもできるようになりましたので便利です。65分間で「能力」と「性格」の検査ができます。コストは一人4000円からです。この「性格」つまり「人柄」ですが、皆さんはこの「能力」と「人柄」とどちらが大事だと考えますか? どちらも大事ですが(笑)、「他人のせいにせず、自分自身と向き合って前向きに努力するという姿勢」を持っている人なら現時点の「能力」より評価して良いと私は思っています。それをどう短期間で見抜くのかが難しいのですが(笑)、面接時には今までの人生の振り返りと持っている人生観のようなものを聞くと良いかとおもいます。「なんとなく流されて」生きてきた人と、「当事者意識を持って」生きてきた人の違いを際立たせたいところです。また、わざと「アバウトな質問」をするのも一考です。「大学時代はどうだった?」などのような質問です。一瞬、どう応えていいのか面食らい、そして自分でその質問に取り組んでいく過程をみていろんな判断ができます。

(筆:藤澤雅義/全国賃貸住宅新聞2013.11.25掲載)


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