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第60回 管理会社は「人」が命 2【役職ごとの職務要件例】

2013.12.23
  • 全国賃貸住宅新聞

    役職呼称を禁じニックネームで呼び合う関係に

    前回、モノを売っているのではなく、サービスを売っている賃貸管理会社は「人」が大事という話をしました。いや、賃貸管理会社だけでなく、全ての組織は「人が命」と言えるでしょう。企業にとって、最大の資産は「人」であり、一番重要なものです。経営学の父、ドラッカーは言っています。「マネジメントのほとんどが、あらゆる資源のうち人がもっとも活用されず、その潜在能力も開発されていない」と。そして、その「人」の活用のためには「採用」と「マネジメント」と「評価」がポイントだと思います。前回は「採用」についてお話しましたが、今回は、「マネジメント」の話です。

     会社には、「係長」、「課長」などの「役職」があります。最初は「ヒラ」から始まって、入社後1年くらいすると、彼(彼女)も仕事を覚えたし、よくやっているので、「主任」くらいにしよう。営業成績が他のメンバーよりもいつも良いから「係長」でいいのではないか。もう何年も会社に在籍しているし、そろそろ「課長」くらいか、となります。私の会社も以前はそんな「漠然とした」基準で昇進していました。この「役職がつく」とはどういう意味でしょうか。ただ、単に「エラくなった」のではないのです。「役職がつく」とは、その個人に与えられた業務の習熟度や求められる成果の違いはむろんあるのですが、それ以外に、「マネジメントの業務が付加された」、ということなのです。

    役職呼称を禁じニックネームで呼び合う関係に

    「マネジメント」とはなんでしょうか。定義づけるとすれば、「会社のミッション、ビジョンを明確にして、部下の能力を把握し、業務を割り当て、進捗状況を管理する。そのためのミーティングを定期的に行い、チーム(課)の意思統一を図ること」であると思います。はたして、我々の業界にこの定義を充分に意識して日々マネジメントをしている部長さん、課長さん、係長さんは、どのくらいいるでしょうか。通常の自分の業務をこなし、「プレーヤー」として頑張るのは当然で、プラス「マネジメント」という別の業務をこなさなくてはいけないのです。具体的には、「部下への指導・監督」を行うということになります。「指導・監督」というと、遠慮してしまって部下にあまりものを言わない方が多いように思います。「指導・監督」とは、率直に言えば、「部下を叱る」ことと、「部下を育てる(自分の後継者を育てる)」ということになります。この「人を叱ること」は誰でも苦手です。自分だって若い頃(つい最近まで?)は同じように間違った考え方をしていたり頼りなかったりしたのに、エラそうに他人を叱ったり、指導したりするのは気が引ける、というわけです。そのような感性がある人は、逆に正常な方だと思うのですが、組織人としては落第です。私は、部下に対して「上司」であり、「役」がついている以上、「自分のことを棚に上げて指導しなさい」とスタッフに言っています。会社から任命された「役」を遂行している、いうなれば「演じている」に過ぎないのですから。逆に言えば、一人の個人としての「人」の上下はないのです。会社における「役目」を果たしているに過ぎないのです。たとえば、会社を離れてプライベイトでゴルフを課のメンバーでするとしましょう。純粋にゴルフを楽しみたいのに、そこで会社のヒエラルキーを持ち込んで、「○○係長、ナイスショット!」などと言っていると、なんだか面倒くさくないでしょうか。第一、「○○カカリチョウ」って長くて呼びづらいですしね(笑)。

    ちなみに、実はうちの会社は、今月から「役職呼称を禁止」しました。○○部長、○○課長とは呼ばず、○○さん、もしくはニックネームで呼ばなくてはいけません。ちなみに私のことは「藤澤社長」ではなく、「Mark」もしくは「Markさん」と呼ぶ決まりです(笑)。本当ですよ。皆さんも私と会うことがあったら、「藤澤社長」とは呼ばないてください。「Mark」です。これは、スタッフ間で役職に関わらずフラットな関係でコミュニケーションを取り易くするという意図と、さきほどから言っているように、「役職」はあくまで「役」であって、その人自身の「格」が上がったわけではないということを表しています。追記しますと、逆に、役職が下がったとしても、つまり課長から係長に降格になったとしても、その人を全否定しているわけでは無論なく、「マネジメント」の実務がまだ未熟だったね、というだけの意味です。また挑戦したらいいのです。そういうことがもしあったときに、普段から「○○さん」で呼んでいたら、お互いに気楽ですね。また、フラットな関係を構築したいとは書きましたが、もちろん、人としての基本的は「礼節」は守らなければなりません。表1は、弊社の役職ごとの「職務要件」です。

    このように「可視化」、「言語化」することがとても重要だと思います。この役職において、何をすべきかを明確に定義付けされていることが大事です。

    (筆:藤澤雅義/全国賃貸住宅新聞2013.12.23・30 合併号掲載)

    • 藤澤 雅義(フジサワ マサヨシ)/Mark藤澤
      オーナーズエージェント および アートアベニュー 代表取締役
      プロフィール:

      オーナーズエージェント株式会社 代表取締役であると同時に、
      賃貸管理会社 株式会社アートアベニューの代表取締役を務める。

      しかし、本人は「社長!」と呼ばれるのがあまり好きでないとのことで、
      社内での呼ばれ方は「マーク」または「マークさん」。役職呼称を禁止にしている。

      あたらしいものが好きで、良いと思ったものは積極的にどんどん取り入れる一方、
      日本の伝統に基づくものも大好きで、落語(特に立川志の輔一門)や相撲(特に時津風部屋)を応援している。

      「現場」で運用の実務にあたっているものが、一番不動産のことを理解し、
      的確な投資分析及びオーナーの収益に貢献をすることができ、
      また、仲介手数料収入に依存する仲介業者ではなく、安定収入のあるPM会社こそが、
      クライアントの側にたって本当のアドバイスができる、が持論。

      2001年、不動産会社向けコンサルティング企業であるオーナーズエージェント株式会社を立ち上げ、代表取締役に就任。
      また、アメリカのIREM®(全米不動産管理協会)発行の国際ライセンスである
      CPM®(米国不動産経営管理士)の日本での普及活動にも尽力。IREM JAPANの創学メンバーである。

      著作に、
      ・『賃貸経営マイスター』(住宅新報社)(Amazonで購入
      ・『「収益改善」&「リニューアル企画」マニュアル』(総合ユニコム)(購入
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