全国賃貸住宅新聞

公開日:2014年8月25日

第68回 労働生産性を上げるために-2

第68回 労働生産性を上げるために-2
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タスクはその場で着手し5分間で段取り

前回に続き、「生産性を上げるための手法」について、今回は基本的なビジネススキルについて述べたいとおもいます。賃貸管理ビジネスは毎日いろいろな案件が発生し、忙しい毎日をおくっていますので、うっかりミスや、段取り下手が原因で時間のロスが発生したりということがよくあります。

 

まず、「メールの処理」ですが、毎日社内外から多数のメールが届きます。メールを見ない日はないでしょう。そして、もはやメールがないビジネスなど考えられません。しかし、改めて考えてみると、この「メールの使い方」のレクチャーを正式に受けたことはありません。皆、我流でこなしています。数多くのメールが届くので、うっかりスルーしてしまって、返信をし忘れたり、回答を求められているのにアクションを起こさなかったりしてしまうことがあります。

 

メール文が下のほうにいってしまって、あとから見直す機会を失うのです。ようやく気づいて随分時間が経ってから、さて、返信しようと思うと返事が遅れてしまった罪悪感から、相当頑張ったメールを返信しなくてはならないと思ってしまい、余計なプレッシャーに晒されることになります。よって、メールを受信したら、まず、とにかく素早く1文だけでも良いので、返信すること、スピードが大事です。その返信の早さが文章の短さを補うことになります。そのときの与えられた時間の範囲でこなすしかないのです。

 

しかし、「既読」になったままだと、それっきりそのメールを見ないことになってしまうので、「タグをつける(色を変えるなど)」、「未読に戻す」というような作業を同時に行う必要があります。

 

メールでの定期的な報告や連絡をする時があります。たとえば、営業訪問の報告や日報や契約実績の報告など。これらの定型的な内容は、メールソフトの「テンプレート機能」を使いましょう。そうすれば、報告の項目で抜けがないようになる。いつも同じ項目の報告をするのだから、同じフォーマットを使うことで、毎回その度に項目を考える必要がなくなります。また、あるメールを出したときに、このメールの文章のパターンはまた必ず使うことがあるな、と思ったら、すかさず「テンプレート機能」で保存をするとよいでしょう。次回に、時間が短縮できることになります。まったく同じ文章ではだめですが、多少アレンジして使うのです(定型文+α)。短い文面を頻繁に使うのなら、「署名機能」にその文面を最初から入れておいてもよいでしょう。名前やアドレス以外も「署名」にいれておいてもいいのです。

 

「メッセージフィルタ機能」は必ず使いましょう。社員間や一定の頻度でメールが送られてくる相手からのメールは、受診トレイに予めその相手専用のフォルダを作っておいて、そこに集中させます。そうすれば、新規のメールが届いた時に、そのフォルダ名の色が変わって分かり易いですね。メールの送信ボタンは要注意。いったん、送ってしまったらもうあと戻りはできません。添付ファイルを忘れた、くらいならトラブルにはなりませんが、宛先を間違えたり、「宛先」「CC」「BCC」への入力をミスしたり等、また、「一斉送信」は被害が拡散するので厳重注意が必要です。

 

また、よく相手先や上司や同僚にとっくに「メールは出しています」と言って、自分のやるべきことはやった、返事をしない相手や上司、同僚が悪いとばかりの態度を取る人がいますが、これは間違っています。相手だって忙しいのだし、うっかりすることもあります。ひょっとしたら、何かの拍子に迷惑メールに入っているかもしれません。

 

メールを出したことで「あとは相手のせい」としてはいけません。相手からみてメールに必ず返事を返さなければいけないほど対等の相手なのでしょうか。音沙汰がなければ、なぜ、もう一度メールを出さないのでしょうか。社内であれば同じオフィス内に居てすれ違っているにもかかわらず、なぜ、そのときにあの件はどうなりましたか、と尋ねないのですか。このようにコミュニケーションを取れない人は仕事ができない人ですね。

 

次に、「仕事の取りかかり方」ですが、与えられた「タスク(業務・課せられた仕事)」は、与えられた直後に大まかな方向性を出して、「段取り」を行います。「タスク」の「ブレイクダウン(Breakdown)」を行い(分類し、細かく分析すること)、5分で良いので、そのテーマに集中する時間を作ります。脳がホットなうちに、「ノリ」がまだあるうちに、頭を使っておくこと。そうすると、指示に対する疑問が浮かび、すぐにその場で指示者に聞くことができます。この案件は前に対応した誰かがいたな、では彼に相談するといいなとか、用意する良い資料が思いついたら、その準備を同僚や部下に早めにお願いすることもできます。

 

問題解決のための時間を確保することによって、良い成果を出すことができるのです。多くの場合に、納期(締め切り)直前になって慌てて準備する人が多いのです。指示されてから時間が経っているので、内容を思い出すのに時間がかかるし、もっと良い資料を用意できたのに、時間切れで間にあわない等ということが起きてしまうのです。よって、与えられたタスクは、すぐその場で直後に始めるのが良いのです。「すぐやるのです」。その場で「見通し」をたてるのです。この「業務遂行の設計」ができているのとできていないのでは、成果の出し方に大きな違いが出ます。

 

また、まず、「ラフに作る」のをお勧めします。粗粗(アラアラ)で良いのです。ラフに作って、指示した人に「こんなイメージで良いですか」と早めに問います。もし、イメージが違うものを100%作り込んでしまったら、その時間がまったくの無駄になってしまうのです。このように「方向性の確認」を行うと良いでしょう。

 

次は「メモの取り方」です。人の記憶力はあてになりません。心理学者エビングハウスは20分後に42%、1時間に56%、1日後に74%人は忘れると言っています(エビングハウスの忘却曲線)。よって、1週間後のたぶん忘れてしまっているであろう自分に向かって分かり易くメモを取らなければなりません。私はノートは原則1冊にしたほうがいいと思っています。そして、カテゴリー別に分類せず、ひたすら時系列に書いていくのがいいと思っています。前はシステム手帳を何年も使っていましたが、かえって検索しづらいのです。

 

また、ノートには「必ず日付を入れます」。そして、気づいたことはすぐメモをして、蛍光ペンや赤ボールペンでラインを多用します。また矢印や図形を使って「絵的」に表現して、印象付けます。基本的には箇条書きで書きます。

コーネルメソッドノート

「コーネル方式」というノートの取り方があります(図表参照)。ノートを3つのエリア(キーワードエリア、ノートエリア、サマリーエリア)に分けて書く方式です。アメリカのコーネル大学で40年程前に開発され、多くの学生やビジネスパーソンに利用されているものです。

左側のキーワードエリアには、「見出し」や「テーマ」を書き、ノートエリアには本文を書き、下段のサマリーエリアには、文字通り「要約」や、本文に関連するメモ等を書きます。3つのエリアに分類することであとから大変見やすいノートができあがります。各人が使いやすいように書けば良いですが、キーワードエリアでは一定の「記号」を決めておくと簡単で楽です。お試しあれ。

(筆:藤澤雅義/全国賃貸住宅新聞2014.08.25掲載)


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