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第78回 非日常空間でリラックス

2015.07.13
  • 全国賃貸住宅新聞

    「お酒を飲みながら真面目な話をする」という発想

    大手企業も〝コンパ〟で社内の意志疎通

    ▲ ①ライブハウスで開催したセミナー

    「ラーニング・バー」で学ぶ

    先月6月11日に、弊社はクラスコさん(石川県金沢市)、日本エイジェントさん(愛媛県松山市)と合同で、「賃貸フェス Episode2」というイベントを行った(写真①②③)。「スマートワーク3.0」と称し、「進化する強い会社を作る」、また「賃貸管理会社の働き方を検証する」というテーマで、参加型のワークショップを中心にセミナーを企画した。従来のものと決定的に違うのは、まず会場は新宿歌舞伎町にある「新宿ロフトプラスワン」というライブハウスだったという点。

    ▲ ②お酒が入り、意見を出しやすい雰囲気に

    ▲ ③リラックスした表情の参加者

    また、来場者全員に賃貸フェスのロゴ入りのTシャツをプレゼントし、またコロナビールやカクテル等をワンドリンクサービスしたことだ。来場者は会場のライブハウスに入ってまず驚く、こんなところでセミナー?そして、アルコールがOKナノ?大丈夫・・・?、そして、オープニングでは、シークレットゲストとして、落語家の立川志の春さんが登場(写真④)。新作落語を一本、高座で話していただく。充分に皆が笑いで暖まったところで、テーマに沿ってワークショップに入る。

    ▲ ④落語で和む会場

    その後は、3社の代表者が登壇し、志の春さんも加わってパネルディスカッションタイム。少々お酒が入っているから、皆がとてもリラックスしていて意見がバンバン出る。また登壇者もノリが良くて、聞いていて楽しい。そんな感じのイベントであったが、「こんな楽しい研修ははじめて」、「内容も盛りだくさんでとてもタメになりました」、「ワークショップが良かった」等々、来場者のアンケートの結果は上々であった。皆さん、最初は大変驚いた様子であったが、すぐに会場の雰囲気にも慣れ、長丁場ではあったが、最後まで皆さん残っていただいた。従来にはないイベントを組めて主催する側としても満足がいったものだ。

     

    このイベントの発端となったある本がある。「リフレクティブ・マネジャー」というのだが、東京大学の中原淳准教授によって書かれたものだ。この本の中で、中原先生は大人の社外の学びの場、自宅や職場でない「学びのサードプレイス」としての「ラーニング・バー(Learning bar)」を提唱されている。実際に東大の本郷キャンパスなどで開催されているとのことだが、バーというだけあって、そこは勉強会のような堅苦しいものではなく、リラックスして、ゆるやかに話せるよう、場や食事、飲みものなどがデザインされている。食べ物は、いわゆる「乾き物」は避け、おしゃれな食材店のデリやサンドイッチなどを買い揃える。

     

    大人の学びは、細部を積み重ねた全体的な環境デザインを必要とするとのこと。音楽が流れる中、大学でアルコールを飲みながら、おしゃれな食事を楽しんでもらうという演出、仕掛けによって、学習者をまずは「日常」から「非日常」へ誘い、リラックスさせる。その上で、「私たちはこれから学ぶのだ」と意識してもらうのだ。私はこのくだりを読んで、これだ、と思った次第である。

     

    我々はもっと、社外に出て学ぶ場に参加すべきだ。そして、それは一方的な「講義」を受けるのではなく、来場者同士でインタラクティブ(相互的に)に、フレキシブル(柔軟性のある)で、かつインフォーマル(形式ばらない)ものであるのが良いのではないか。アルコールの効果もそのあたりにある。勉強をしにいっているのに、お酒を飲むことに嫌悪感を抱く方もおられるかもしれない。もちろん酔っ払ってはいけないが、少しアルコールが入ることによって、リラックスできて会話が弾む。そして、それらの交流のなかで、何かに「気づく」のだ。それは、一方的な講義では得られないものであることが多い。これはとても良いことではないか。

    写真の⑤は、実は弊社のオフィス内のミーティングルームの一室だ。最近増床に伴って新たに作ってみた。イメージは「ロンドンパブ」。弊社のデザイナー達が、同様のお店を何軒か視察(笑)して、デザインした。本物の酒瓶が置いてある。日が暮れて照明を落とすと、いい具合な雰囲気になる。ここで弊社のスタッフ達がアルコール片手にミーティングをするのだ(ちなみに、昼間は普通に会議室として使用している。お客さんを当然お通しする。意外に好評)。「お酒を飲みながら真面目に話しをする」のだ。ポイントは飲み過ぎないこと(笑)。「飲み会」なら、河岸を変えて本物の店に行こう。

    ▲ ⑤ロンドンパブをイメージしたミーティングルーム

    「飲み会(コンパ)」の効用

    しかし、「飲み会」を会社内でしっかりやっている会社があることを最近知った。言わずと知れた「京セラ」である。小さな町工場からスタートして世界的企業へと躍進させ、経営の神様と言われる、あのJALを再生させた稲盛和夫会長の会社だ。京都の本社には12階に100畳の和室があるそうだ。ここで夜な夜な「コンパ」が開かれるというのだ。稲盛氏は言う。「コンパとは、私が従業員との間で率直にコミュニケーションを図る場であり、同時に、私の考えをみんなに理解してもらうための大切な場です。私は会社を創業して以来、機会を見つけてはコンパを開き、リラックスした雰囲気の中、膝を突き合わせて酒を酌み交わし、人生について、仕事について語り明かしました」、と。JALでも、当然この手法を取り入れた。幹部もキャビンアテンダントの人も整備の人も、1テーブルに6人か7人、みんな一緒にコンパの輪に入って、侃々諤々やったとのこと。

     

    この話しを聞いて、稲盛さんもそういうベタなコミュニケーションをマメにしてこられたんだなあ、という思いと、やはりお酒をうまく使って相互的に会話を、真面目な話しをするということがとても大事だなあと唸った次第である。稲盛式コンパでは、ワークショップとは言わないだろうが、必ず皆で話し合うテーマを決めて、それについて議論をするらしい。なんだ、一緒じゃないか(笑)。大事なことは、「コミュニケーション」だと思う。お酒を少し入れることによって、それが深くなるのだ。言いたいことがあれば昼間の会議の場で言え、というのは簡単だが、たとえば下のものが上に対してものを言うことはなかなか難しいものだ。酒の席なら、それが言いやすい。

     

    以上、今回は、お酒が入ることの効用を述べてみた。あらためて考えてみると、そういう利点があるなあ、と思いませんか。

    (筆:藤澤雅義/全国賃貸住宅新聞2015.7.13 掲載)

    • 藤澤 雅義(Mark藤澤)
      オーナーズエージェント および アートアベニュー 代表取締役社長
      プロフィール:

      オーナーズエージェント株式会社 代表取締役社長であると同時に、
      賃貸管理会社 株式会社アートアベニューの代表取締役社長を務める。

      しかし、本人は「社長!」と呼ばれるのがあまり好きでないとのことで、
      社内での呼ばれ方は「マーク」または「マークさん」。

      あたらしいものが好きで、良いと思ったものは積極的にどんどん取り入れる一方、
      日本の伝統に基づくものも大好きで、落語(特に立川志の輔一門)や相撲(特に豊ノ島・時津風部屋)を応援している。

      「現場」で運用の実務にあたっているものが、一番不動産のことを理解し、
      的確な投資分析及びオーナーの収益に貢献をすることができ、
      また、仲介手数料収入に依存する仲介業者ではなく、安定収入のあるPM会社こそが、
      クライアントの側にたって本当のアドバイスができる、が持論。

      著作に、
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