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第80回 管理受託営業の手法

2015.09.14
  • 全国賃貸住宅新聞

    「組織としての仕組み」で戸数を拡大

    営業マンだけに頼らないシステムが必要

    賃貸管理会社の重要なテーマとして、管理戸数を増やすという営業がある。戸数が多いほうが業務の効率もよくなっていくはずだし、経営も安定する。よってどの会社も戸数を増やしたいのだが、うまくいっていないところも多いようだ。今回は、その手法を体系的に検証したい。

    管理受託の方法には、案件の発生別に分類すると大きく2つに分けられる。Ⅰ.オーナー直接営業と、Ⅱ.間接営業である。

     

    Ⅰ.オーナー直接営業

    オーナー直接営業だが、まず①「新築プロデュースからの発生」である。我々は賃貸の現場を知っているのだから、入居者の視点で建築プロデュースをすることができるはずだ。当然、完成後には管理を任せていただく。

     

    次に②「リニューアル・プロデュースからの発生」。リニューアルも、新築と同様に現場の視点に立脚して企画するが、新築より中古のほうが企画は難しいものである。建物に既にいろいろな制約があり、また、どこから手をつけていったらいいのかが、賃貸ニーズを知らない人にはよくわからなかったりするからだ。それだけに、プロパティ・マネージャーの腕が試される重要な仕事といえるだろう。優先順位を明確にして効果的なコストのかけ方をすることがポイントになる。

     

    次は、③「管理替えの営業」である。空室が埋まらずに困っているオーナー、あるいは既存の管理会社に不満があるオーナーに対して営業する。オーナーにとっての最大関心事はリーシング(賃貸借契約の成約すなわち入居者募集)だから、空室対策がうまくできていないところに「管理替え」のニーズがある。また、空室に限らず既存の管理会社になんらかの不満があるオーナーが、営業の対象となるだろう。地方の場合は、業者同士のしがらみがあって、なかなか他社さんから管理をいただくわけにはいかない、という実態があるのも事実だ。普遍的かつ難しい問題だが、顧客の立場に立ってみれば答えはシンプルだと思うのだが。

     

    ④番目は、「建築企画発生段階での営業」である。建築計画の決定後になってしまうが、敷地に掲示される「お知らせ看板」などによって、オーナーさんに直接営業をかける方法である。できれば看板などが出る前、企画以前の段階から営業をかけられればそれにこしたことはない。

     

    ⑤番目は、「相続コンサル等を通しての営業」である。税理士さんとタイアップしながら、相続などのコンサルなどで信頼を得て、管理を受託する手法である。ある程度の資産を所有している人は資産対策、はっきりいえば税金対策をしなければならない。また、相続が「争続」にならないように生前分割協議なども含めた相続対策も必要だ。そうした「資産コンサル」をベースに信頼を勝ち得ることができれば、そのなかにはアパート・マンション建築や売却などが入るから、ビジネスにつながるのは当然のことである。ただ一定のスキルをもった人材が必要だから、そうした人材の養成、あるいは専門家のブレーンとタッグを組むというビジネス戦略が必要である。

     

    ⑥番目は、「セミナーの開催からの発生」である。地主さんや関連業者の方を集めてセミナーを開催し、集客する手法である。もちろんセミナーの開催によって、そこからクライアントのファインディング(発掘)をするわけだが、大事なことは、自社が情報発信基地であることをアピールすること。だから、定期的に開催することをおすすめする。

     

    Ⅱ.間接営業

    Ⅱ.間接営業による管理受託であるが、オーナーをはじめ関係する各方面の人たちの信頼を得られるよう、しっかりとしたビジネス展開をしていれば、「紹介」によって管理受託の道が開ける可能性が高くなる。この「紹介」というスキームはたいへん重要だ。いい仕事をしていれば、必ず紹介が発生するはずで、逆に紹介が発生しないような会社では、その業務の内容や質、システムが良くないといえる。

     

    まず、①「既存オーナーの紹介」がある。いま預かっている物件の管理内容や運用実績が良ければ、そのオーナーからの紹介が必ず発生する。資産家の友だちは資産家だし、地主さんの友だちは地主さんだからである。

     

    ②「税理士・会計士・FP・不動産コンサルタント・金融機関からの紹介」。このような、業界周辺のコンサルタントの人たちから発生する紹介は非常に有効だ。その人たちとは良好なネットワークをつくるよう努力すべきである。そのためには、彼らから評価と信頼を得ること。そうでなければ、紹介がくるわけがない。「評価と信頼なんてうちあたりには、すぐにはできない」という方がいるかもしれないが、やれることはあるはず。たとえば、そういう人たちが集まる勉強会などに参加して一緒に勉強すれば、少なくとも、その姿勢は評価してくれるのではないだろうか。「類は友を呼ぶ」ということわざの通り、仕事ができて信頼できる人と出会うと、その人が参加する場には同じような人が集まっていて、大体つながっていることがわかる。

     

    ③番目は「収益物件の売買業務を行う不動産会社(賃貸業務をしていない業者)」である。収益物件の売買業務を行う不動産会社は、「利回り何%」などと提示して投資家に収益物件を販売している。そうした会社で、自社で管理をしていないところに営業することも一つの戦略である。販売にあたっては、物件の収益性を評価するために賃料収入とランニングコスト、イニシャルコストで利回りを算出するわけだが、その際の賃料収入と運営コストに関してきちっとした査定をすることが、賃貸管理会社に求められる要素だ。それに加えて、リスク・マネジメントなどの運用戦略を提案すれば、彼らも顧客に対して売りやすくなる。また、築年数が経っている物件などで内外装のリフォームが必要なものに対し、一定のコストでリニューアルの企画を出し、賃料を現状より上げる提案をすることによって、その物件の販売に貢献できる。こうした販売支援でタイアップして、その物件が売れた際には管理を受託するという戦略が成立する。

     

    ④番目は「建築会社への営業」である。建築会社がオーナーに対して行う建築請負の営業の支援をして、管理受託につなげる手法である。賃料査定から入ることが多いのだが、その際に企画提案型の査定をする。たとえば「このままの間取り・設計では、これくらいの賃料しかとれないが、このように変更すれば、賃料がこのくらい上がる、もしくは長期的に安心である」といった提案営業を展開する。サブリース(一括借り上げ)も大変有効だ。実際の運営コストがわかるのは賃貸管理会社ならではのことだから、現実に近いコストの算出によって、事業収支がより正確なものになる。

     

    ⑤番目は「設計事務所への営業」である。設計事務所の先生は、賃貸管理会社の市場調査、企画提案、賃料査定書、ランニングコスト・キャッシュフローの見積もり、そしてオペレーションのノウハウに対して、敏感に反応する。オーナーに対してより良い提案をしたいという欲求は、えてして建築会社より強いものがあるからだ。建築営業はどちらかというと「営業マン」という感じが強いのだが、設計事務所の先生はやはり「コンサルタント」というスタンスがどこかにあるから、賃貸管理会社との相性は非常にいいはずである。

     

    最後に、以上いろいろな手法を述べてきたが、大事なことは「営業マンに頼るな」ということである。会社の「組織としての仕組み」で営業しなくてはならない。「セミナーを定期的に開催すると年間で◯◯棟くらいは、管理受託が発生する」といった「仕組み」である。不動産会社は伝統的に優秀な営業パーソンを採用するか、教育すれば良いと考える人が多いように思うが、それは脆弱な組織といえる。普通の営業パーソンが真面目に「仕組み」の業務を遂行すれば一定の成果が得られるというシステムが必要だと私は考えている。

    (筆:藤澤雅義/全国賃貸住宅新聞2015.9.14 掲載)

     

     

    • 藤澤 雅義(Mark藤澤)
      オーナーズエージェント および アートアベニュー 代表取締役社長
      プロフィール:

      オーナーズエージェント株式会社 代表取締役社長であると同時に、
      賃貸管理会社 株式会社アートアベニューの代表取締役社長を務める。

      しかし、本人は「社長!」と呼ばれるのがあまり好きでないとのことで、
      社内での呼ばれ方は「マーク」または「マークさん」。

      あたらしいものが好きで、良いと思ったものは積極的にどんどん取り入れる一方、
      日本の伝統に基づくものも大好きで、落語(特に立川志の輔一門)や相撲(特に豊ノ島・時津風部屋)を応援している。

      「現場」で運用の実務にあたっているものが、一番不動産のことを理解し、
      的確な投資分析及びオーナーの収益に貢献をすることができ、
      また、仲介手数料収入に依存する仲介業者ではなく、安定収入のあるPM会社こそが、
      クライアントの側にたって本当のアドバイスができる、が持論。

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