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第85回 職務要件書で人事評価を行う

2016.02.08
  • 全国賃貸住宅新聞

    人事評価は会社の要 上司の仕事は褒めることと叱ること

    上司は部下の得意・不得意を見極め、部署の成果を上げる

    人は自分を過大評価している

    「なぜ、こんなに頑張ったのに・・・評価が低いんだ!」、「なんでアイツが出世するんだ」、「会社は何もわかっていない」。こんな気持を持ったことがある人は多いのではないか。評価に対する疑問や不満、また不安を感じたことがあるのではないか。ある調査によると4割の人が会社の自分の評価にたいして不満を持っているという。これは、二つの要素が理由だと思う。それはまず、「自分を課題評価している」ということ。そして、「評価の基準が曖昧」だということだ。自分のことを客観的に冷静に見られる人は少ない。自分には甘いのが普通だ。「自分のことは3割増しで見がち」などという。

     

    私も20年会社を経営してきて、随分いろいろなスタッフを見てきた。会社の自分に対する評価に不満を持って辞めていく人もいたが、大抵は、「ちょっと勘違いしているなあ」と思うものだ。「他責性が強い」という言い方をするが、うまくいかないのは自分のせいではなく、会社が悪い、上司が悪い、同僚が悪い、と思い込んでいることが多い。知識が浅く、視野が狭いので、自分の行為が組織にとってマイナスであることに気づいていない。厳しいことをいうようだが、人は大抵自分を課題評価している。

     

    360度評価(上司、同僚、部下から質問項目について採点され、良い点や改善点を指摘してもらう評価)などもやってみると、結構「誤差」が生じる人がいる。たとえば、「部下の面倒をよくみている」という質問項目があるとする。他者(上司、同僚、部下)からの評価の平均点は5点満点で1点台なのに、自己評価では悠然と最高点の5点を付けていたりすることがあるのだ。

    職務要件を詳細に

    二番目の理由の「評価の基準が曖昧」であることについては、これは、「職務記述書」また役職ごとの「職務要件」を明確にすることで、回避できると思う。そして、運用さえしっかりやれば、自分を課題評価していることも自覚できると思う。先月、2年ぶりに、IREM(全米不動産管理協会)の仲間であるサンフランシスコのEBMC社(Eugene Burger Management Corporation)を訪問してきた。420人の不動産管理会社である。勉強になったことは多々あるが、スタッフがやるべきことが明確になっていることが大変印象的だった。CPM(米国不動産経営管理士)の授業で、「職務記述書」というものを学んではや10数年。その意義に感銘を受けて、一応、それらしいものは弊社にもあって、明確にしているつもりではあったが、やはり本場のアメリカの管理会社の話しを聞くともっと奥が深いものだ。

     

    「職務記述書」「職務要件」は、その部署において、またその役職(ポジション)においては、こういうことができなければならないとなるべく具体的に書かれるべきだ。その出来具合によって、基本的に人事評価がされるべきなのだ。何すべきかが、明確になっていないのだ。これくらい、言わなくてもわかるだろう、と思ったりするのだが、わかっていないから仕方がない。アメリカではなぜ、詳細に職務記述書があるのか、歴史的背景か、何の違いかよくわからないが、日本人のように「以心伝心」とかいう文化はおそらくないだろう。

    人事評価は、ネガティブなものではないはず。スタッフを「育成する」ためにあるのだ。部下を持った人の、つまりマネージャークラスの使命(ミッション)は、「任された部署の成果を上げること」と同時に、「部下を育てる」ことにある。叱ってばかりいては人は育たない。職務記述書を用いて、部下の良い点、つまり職務を全うできたところを褒めてあげるべきだ。最近、「ほめる達人」になるために研修を全社員で受講したが(日本ほめる達人協会/西村貴好理事長)、お互いに褒めあうことで成果が上がる企業が多いという。

     

    私自身、受講した感想としては、大変良いものであったと思っている。しかし、感じたことは実際に褒めるのは結構難しいのではないか、ということだ。褒めるのは照れくさくてできないから、とかいうことではない。「褒める」という行為は、おべんちゃらばかりを言っていては、それは相手にわかってしまい効果がない。本当に相手の良い点を見つける能力がないと、真に褒められないのだ。これは、視野の広さを要求されるものだ。Aさんは、これこれという点では欠点があって、それがAさんの皆からのマイナスの評価に大きな影響を与えているが、実はこういうあまり皆にしられていない優れた点がある、というところを発見できるかが大事なのだ。スタッフは皆、結構視野が狭いものなのだ。しかし、職務記述書があれば、基準点がわかりやすいので、実行できている部分は精一杯褒め、足らないところは、改善を促す、もしくはしっかり叱る、ということができる。

     

    しっかり叱ると書いたが、人は特に身近な部下を叱るは苦手だ。嫌われてしまうのではないかという恐怖、いい人優しい人でいたい、汚れ役はいやだ、という気持ちは誰にでもある。また、自分だってたいしたものではないしという謙遜の気持ちもあるだろう。しかし、これでは、真のマネージャーとは言えない。マネージャーの役割を少々乱暴だが、一言でいうなら、「人を叱ること」だと言っていい。

    (筆:藤澤雅義/全国賃貸住宅新聞2016.2.8 掲載)

    • 藤澤 雅義(Mark藤澤)
      オーナーズエージェント および アートアベニュー 代表取締役社長
      プロフィール:

      オーナーズエージェント株式会社 代表取締役社長であると同時に、
      賃貸管理会社 株式会社アートアベニューの代表取締役社長を務める。

      しかし、本人は「社長!」と呼ばれるのがあまり好きでないとのことで、
      社内での呼ばれ方は「マーク」または「マークさん」。

      あたらしいものが好きで、良いと思ったものは積極的にどんどん取り入れる一方、
      日本の伝統に基づくものも大好きで、落語(特に立川志の輔一門)や相撲(特に豊ノ島・時津風部屋)を応援している。

      「現場」で運用の実務にあたっているものが、一番不動産のことを理解し、
      的確な投資分析及びオーナーの収益に貢献をすることができ、
      また、仲介手数料収入に依存する仲介業者ではなく、安定収入のあるPM会社こそが、
      クライアントの側にたって本当のアドバイスができる、が持論。

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