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第87回 PMからTMへ進化する賃貸管理業 その2

2016.04.11
  • 全国賃貸住宅新聞

    観光を視野に入れた街づくりが管理会社の役割

    ITの進化で仲介の存在感は薄れる

    タウンマネジメントに進化する

    前回に続き、「PM(プロパティマネジメント)からTM(タウンマネジメント)に進化する賃貸管理業」というテーマで話しを進め、業界の近未来設計をしてみたいと思う。結論は図1にまとめてあるが、「賃貸業界の変化」と「日本の変化」が相まって、我々はタウンマネジメントの領域に入っていく必要がある、というのが私の意見だ。つまり、街づくりをするのだ。そして、国全体の人口減への対策という長期的な視野に立つと、日本は観光業を推進していくことになるので、訪日外国人を呼び込むためのタウンマネジメントが必要ではないかと思う。それは、我々管理会社が必然的に観光業への進出をすることになるのではないかと思う。エアビ等の民泊事業もどうやら政府は解禁するようだし、3年貸すのも1日貸すのもハコを貸すという行為は同じだから、比較的容易に対応できるのではないか。

    部屋探しが極めて簡易になる

    まず、賃貸業界の変化として、仲介のあり方の変化が急激に進むだろう。ネット上でほとんどの情報は手に入るので、仲介の営業マンに頼らなくても、つまり特に案内をしてもらわなくても物件を決めることができるようになるだろう。多くの物件がネット上で部屋の中をバーチャルに、さも中を歩いているように感じられるような映像が見られるようになる。アメリカの「アパートメント・ドットコム(日本でいうスーモとホームズを足したような存在)」では、360度の3D画像があり、極めて直感的に操作できて、部屋の中を自由自在に動くことができる仕組みになっている。賃貸の相場の情報などもますます正確に手にはいるようになっていくだろうから、営業の方に聞かなくても、自分で決断できる人は多くなっていく。実際の内見があったとしても「確認」に来ているだけだ。

     

    今は、「スマホでなんでもできる時代」だ。私も「スマートロック」を試してみたが、設定に少々時間がかかるが、認証された時間にスマホで簡単に鍵を開け閉めできてとても快適だ。管理側は誰がいつ鍵を開けて閉めたかもわかり便利である。「セルフ内見」にはぴったりではないか。弊社はこの繁忙期から「空室確認の電話応答の自動音声システム」を導入してみたが、快調である。電話が鳴らなくなったので、生産性が上がっている。これは管理会社側の効率化だが、このようにIT(情報技術)やAI(人工知能)がますます進化して我々のビジネスモデルが変わってゆく。これからは部屋探しは極めて簡易になり、当然に仲介店舗の存在意義が薄れていくことになる。

    管理会社にとって重要なことは・・・

    となると、今後は何が重要かというと、①管理戸数を増やすこと、②物件の価値を高めること、そして、③タウンマネジメント(TM)である。今後は、人口減によって、人気の街と不人気の街に大きく分かれることになる。部屋を探すときに、家賃や間取り、面積、設備仕様と判断基準はいろいろあるが、最初に思うことは、「どこに住もうか」ということではないか。魅力ある街づくりを、行政、地域の他の事業経営者、また同じ不動産オーナーと連携して行っていくのだ。人気の街は家賃も高く、不動産オーナーも儲かっている。前回の連載で述べたように、人気の街は不動産オーナーが稼げるのだ。まさにTMは我々の仕事ではないか。

    日本の変化

    人口減はまず間違いなくやってくる。経済規模はこのままでいくと縮小する。手をこまねいていてはいけない。政府はつい先月末に、新しい目標設定をした。2020年の東京オリンピックの年に、2015年実績の倍増の4000万人、そして2030年には6000万人の訪日外国人を呼ぼうというのだ(図3)。日本は観光立国の4条件と言われる「自然」「気候」「文化」「食事」のすべてが備わった、実は観光大国になれる潜在的な能力が高い国である。安倍さんも、伊達や酔狂で言っているわけではない。いままで製造業で発展してきた我が国ではあるが、途上国の発展により、大量生産での勝ちパターンが維持できなくなってきた。シャープの凋落が象徴的だ。日本は今後、観光で勝負するしかないのだ。

    タウンマネジメントは観光を視野に入れて

    街づくりは観光を視野に入れるのが儲かりそうだ。特に、訪日外国人のうち、欧米人、オーストラリア人が一人あたりの観光での消費額が多いので、「中韓台」もいいが、ターゲットはヨーロッパだ。彼らは日本文化を体験したがっている。だから、景勝地がなくても大丈夫だ。なにか日本を感じさせるアクティビティを作るのだ。

    賃貸管理会社が観光業に進出

    どうやらエアビは解禁になりそうだ。人口減を間近にして、既存業者の既得権益を守っている場合ではない(圧倒的にホテルも足りないが)。そういう意味では、海外ではあたりまえになってきている「ウーバー(スマホでのいわゆる白タク配送システム)」もそのうち解禁になるのではないか。企業努力をしないタクシー業界を守ることより、海外旅行者のクレームのほうが大事ではないか。 我々もエアビをやるべきだ。というか、我々しかいないのではないか。分譲マンションのエアビ化はちょっと抵抗があるが、賃貸ならオーナーの了解ひとつで、管理会社が責任をもって運用すればいいのだ。

    (筆:藤澤雅義/全国賃貸住宅新聞2016.4.11 掲載)

    • 藤澤 雅義(Mark藤澤)
      オーナーズエージェント および アートアベニュー 代表取締役社長
      プロフィール:

      オーナーズエージェント株式会社 代表取締役社長であると同時に、
      賃貸管理会社 株式会社アートアベニューの代表取締役社長を務める。

      しかし、本人は「社長!」と呼ばれるのがあまり好きでないとのことで、
      社内での呼ばれ方は「マーク」または「マークさん」。

      あたらしいものが好きで、良いと思ったものは積極的にどんどん取り入れる一方、
      日本の伝統に基づくものも大好きで、落語(特に立川志の輔一門)や相撲(特に豊ノ島・時津風部屋)を応援している。

      「現場」で運用の実務にあたっているものが、一番不動産のことを理解し、
      的確な投資分析及びオーナーの収益に貢献をすることができ、
      また、仲介手数料収入に依存する仲介業者ではなく、安定収入のあるPM会社こそが、
      クライアントの側にたって本当のアドバイスができる、が持論。

      著作に、
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