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第101回 業務効率化のコツ ~IT化のすすめ~

2017.06.11
  • 全国賃貸住宅新聞

    必要なシステムは自社開発し無駄を削除

    空室の確認電話をコンピュータ音声で自動化した結果、電話本数が7割減少

    2009年の1月から開始したこの連載も、遂に100回超え。現在9年目に入っている。よくネタが続きますねと言われるが、その時その時の私にとって関心のあるテーマを書くようにしているのが、継続のコツかもしれない。ご承知のように私自身、アートアベニューという首都圏を中心に現在7,000戸超の賃貸管理会社を経営している。1996年に管理戸数0からのスタートで会社を作って今年で21年目である。

     

    最近の関心の中心はもっぱら「マネジメント系」であり、「業務の効率化」とスタッフの「働き方改革」に興味がある。この連載で何度も言っているように、賃貸管理会社は、元来労働集約型のビジネスで、皆がルーティンな業務を黙々とやり続け、それに追われて気づいてみれば、肝心な「空室対策提案」、「リニューアル工事提案」にまで手がまわらない、というような状況に陥り易い。

     

    ちなみに当社は、毎年、700~800戸ほど管理戸数が増えている。管理戸数が増えていくのはいいことだが、現在月間平均で、新規・既存を合わせて常時600戸以上の入居者募集をしており、そのうち約200本の新規の賃貸借契約があり、また450 本の更新・再契約をして、かつ毎月150本の退去が発生するという状態を日々こなしている。また、入居者から毎月1,200本以上の電話がかかってきてクレームや相談、解約の受付などを行ってもいる。

     

    「人」の作業に頼っている部分が多く、よって、いかに業務フローを合理的に効率化するか、ということがとても大事になってくる。今回は「IT化による業務効率化」について述べたいと思う。

    ▲ 表1

     

    表1にあるように、弊社でIT化に取り組んでいることは11程度ある。

    一つ目は「6つの入力作業がワンライティングになった」ことである。これは、とても業務の効率化につながった。管理会社は、ほとんどの会社が「賃貸管理システム」と呼ばれる基幹システムを入れていると思う。そこで、一戸一戸の契約書をつくり、データベース化し、銀行オンラインと結びつけて集金管理し、更新再契約もとり行っていると思う。

     

    大変便利だが、皆さんの会社では、そのシステムとは別に、②ポータルサイトへの流し込み、③社内の反響対応募集一覧表に、別途に入力されてはいないだろうか。②のために一から物件名や募集条件を入力し、仲介業者からの問い合わせに対応するために③を別途Excelで一覧表を作ってはいないだろうか。

    弊社も以前はそうしていた。まったく同じ内容を3回入力するのである。まったくの無駄である。こういった非効率を非効率と思っていないままであれば重症である。絶対にこういうことはしない、と強く思わなければならない。システムでできることは、システムにやらせるのだ。

     

    以前、サンフランシスコの400人スタッフがいるある賃貸管理会社を視察したことがある。彼らは「ヤーディ」という管理システムを使っているのだが、副社長さんが我々に強く言ったことがある。毎日のように合理化ができるソフトやアプリの宣伝がメールで来るが、私はヤーディに紐付かないものは一切無視すると。

     

    また、②のポータルサイトへの流し込みだが、業者向け自社物件専用サイト「アートプロパティ」に関しては、約20分後には変更が反映され、ほぼリアルタイム表示されている。各種ポータルサイトへも1日以内に変更される。他にも、④のマイソク作成も別途行わず、基幹システムに連動して自動で作成できるようにしている。以前はシコシコ3人のメンバーで、募集案内図面を作っていた。⑤は昨年から導入したシステムだが、物件の「有る無し確認」の反響電話をコンピュータ音声で自動化したものだ。その分、7割くらいの電話本数が減った。⑥も同じく内見の予約をネット上で行う。⑤⑥は24時間対応である。

     

    2の「退去リフォーム工事管理システム(図1)」も自社開発したものだ。

    これは、リフォーム工事ベンダーとのやりとりを合理化したものだ。以前は、「◯◯マンションの201号室のリフォーム終わった?」と確認電話をいれると、「あ、忘れてました^^;;」とか、「聞いていない」とかいうことが時々発生していた。よって、PC上で、退去物件のデータ(退去日等)を担当がいれると、自動でベンダーの担当の携帯に通知されるのである。そして、弊社とベンダーしか見られないサイトで進捗を管理しあうのである。ベンダーも自分でExcel等で作業一覧を作る手間が省けてラクである。

    ▲ 図1 退去リフォーム工事管理システム

     

    3も共同開発したものだが、不動産オーナーに対して、定期点検の報告やリフォームやメンテナンス工事提案をするときに、スマホで現地でパシャパシャ写真を撮って、その場でその写真に解説や提案の文章を入れていくと、自動的に提案書ができあがるというものである。これもかなり時間の節約になっている。

     

    4は、いまオーナーズエージェント社(業務支援とコンサルティングの関連会社)で試しているが、そのうち賃貸借契約にも応用する予定である。

     

    5もオーナーズエージェント社で活用しているものだが、全国各地に訪問するのは、時間もコストもかかってしまう。TV電話方式で話しをすればいいではないか。また、PC上でお互いに同じ画面を見ながら箇所を指して、プレゼンができるのでまったく不便はない。毎回、それでは味気ないので「オフ会」も必要だが、離れていても「面談」はできるのだ。

     

    6は、もう15年以上使っている。当社スタッフ100人(2社で)の今日、そして過去、未来の予定が確認できる。スマホ版もあり同期できるので、私はスケジュール手帳をいうものを持たない。サイボウズで一元化している。

     

    また7のセールスフォースは営業に限って使用している。これもカスタマイズして、営業進捗のわかりやすいものになっている。

    8はみなさんも既にやっていると思うが、一つのプロジェクトや一つの課とかのグループの連絡に大変都合が良い。PCメールはそろそろ二次的なものになってきているのではないか。大事な要件は大体いつものメンバー間でやり取りされているのではないか。

     

    9はオンラインノートだが、私は「紙の手帳・ノート」の時代はほぼ終わったとおもっている。私は「エバーノート」を使っているが、アナログかデジタルかという問いに関しては、完全にデジタルの勝利だと思う。検索はできるし、カテゴリー別にファイルできるし、私はなんでもかんでもここに書き込んでいる。

     

    10のWEBマーケティングの重要性はいまさらいうこともないと思うが、企業にとって、もっとも重要な項目といえるのではないか。弊社では、ホームページ反響での管理受託が毎月数件発生している。

     

    11は、SMS(携帯ショートメール)を使った一斉送信システム(図2)だ。これも自社開発したが、家賃滞納する入居者などに一斉に督促文章を送っている。手紙は開封しないが、携帯だけは皆手放さないので、到達率が高い。

    ▲ 図2 SMS一斉送信システム

     

    また、ここには入れていないが、仲介業者からの反響で「FAXで図面を送ってください」とよく言われるが、以前は席を立ってエリア別のマイソクの入った引き出しから探し出して、いちいち相手に送っていた。今は、PC上でデータを選んでFAXしている。

    しかし、なぜ未だに「FAX」なのだろうか。なぜメール添付でと言わないのだろうか。FAXだと表示が粗くなるではないか。PDFのメール添付なら、自分でプリントしたらキレイだと思うのだが。なにせ早いし。このあたりは理解ができない。こんなことをしている業界は他にはないのではないか。

    (筆:藤澤雅義/全国賃貸住宅新聞2017.6.12 掲載)

    • 藤澤 雅義(Mark藤澤)
      オーナーズエージェント および アートアベニュー 代表取締役社長
      プロフィール:

      オーナーズエージェント株式会社 代表取締役社長であると同時に、
      賃貸管理会社 株式会社アートアベニューの代表取締役社長を務める。

      しかし、本人は「社長!」と呼ばれるのがあまり好きでないとのことで、
      社内での呼ばれ方は「マーク」または「マークさん」。

      あたらしいものが好きで、良いと思ったものは積極的にどんどん取り入れる一方、
      日本の伝統に基づくものも大好きで、落語(特に立川志の輔一門)や相撲(特に豊ノ島・時津風部屋)を応援している。

      「現場」で運用の実務にあたっているものが、一番不動産のことを理解し、
      的確な投資分析及びオーナーの収益に貢献をすることができ、
      また、仲介手数料収入に依存する仲介業者ではなく、安定収入のあるPM会社こそが、
      クライアントの側にたって本当のアドバイスができる、が持論。

      著作に、
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