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第106回  管理会社はどんぶり勘定?!

2017.11.11
  • 全国賃貸住宅新聞

    原価管理で利益のない管理受託を防ぐ

    アウトソースしコストを抑えて収益向上

    賃貸管理会社はいわゆる原価管理をしているだろうか。また収入の分析をしているだろうか。メーカーなら必ずまず原価を重視する。売上から原価を引いたものが粗利(売上総利益)で、そこから販管費と引いたものが営業利益だが、その利率を常に意識するものだ。

    賃貸管理ビジネスは、サービスを売っているので、原価がほとんどない。売り上げる物件に紐づく外注費や広告費は原価となるが、内製化が強い業界なので、費用はほぼ人件費を主とする販管費だ。賃貸管理ビジネスにおいては販管費が、他の業種でいえば「原価」にあたるといえるのではないか。事実、そのような人件費を原価に組み入れる会計をしている会社もあるだろう。

     

    弊社では、物件毎に収支を出してから管理受託を行うことにしている。そうすることによって、収益に繋がらない管理受託契約を締結してしまうのを防いでいる。営業が管理契約数の実績を欲しいばかりに、簡単に月次管理料を下げて、たとえば5%を4%にして契約してしまわないようチェックしている。というか、自分で収支を確認するので、赤字になってまで管理契約を取ろうとは流石にしなくなる。

     

    収入とコストを計算するが、表にあるように、収入の科目がいくつか並んでいて、一戸平均の家賃や月次管理料等の契約条件を入力することによって、月次年次の収支がわかる。それほど難しい表ではなく、単純にしている。コストはこの表では仮に一戸あたり5,000円だ。会社として、1戸の物件を管理運営する際に、1戸あたり平均で月額5,000円のコストがかかるという意味だ。出た結果が対年間家賃収入合計の3%以上を確保するのが、ひとつの基準だ。管理会社の営業利益率は何%が理想なのか、基準なのかはよく分からないし、また会社の規模によっても違うと思うが。

    いわゆるサブリース等の転貸借方式によって管理をしているところは、借り上げ賃料が原価になるが、それと入居者(転借人)との契約賃料との差額が、通常の管理料相当額となる。

     

    まず売上の主はこの月次管理料分だ。業界では5%という数字が一般的なようだが、はたして全部それでいいのか。家賃8万円の5%は4,000円だが、家賃3万円の5%は1,500円だ。仕事の量は家賃が8万円でも3万円でもあまり変わらないと思うが、管理料収入は2.6倍違う。その他、募集時の手数料や退去リフォーム請負工事の利益、首都圏なら賃貸契約の更新時の更新料などが売上の柱だ。

     

    このたび弊社では沖縄は宮古島でレストラン経営をすることになって、コンサルを頼んでいる方に、私がステーキの付き合わせにニンジンを入れて欲しいと頼んだ時があった。そうしたところ、彼はその場でいろいろ計算をして、一食あたり10円の原価だというのだ。

     

    飲食業では、「FL比」という指標がある。食材の原価を表す「Food」が売上に対して30%、人件費を表す「Labor」が30%、合わせて売上の60%以内とするのがひとつの目標と言われている。残り40%の中で、家賃や水道光熱費、原価償却や雑費をまかない、残ったものが営業利益だ。営業利益は10%程度は欲しいところだ。

     

    私の店ではステーキの肉の原価が500円として、他の付け合せの玉ねぎとブロッコリー、そして、3種類のステーキソースの原価30円と合わせて570円の原価となるというのだ。これをいくらで売るかは企業秘密だが(笑)、確かに10円というと細かく感じるが、こういった計算をきちんとしないと事業計画も立てられないのだ。「ニンジンが一食あたり10円の原価」、という言葉には、私は結構感動した。

     

    我々不動産屋はちょっと「どんぶり勘定」なところがないか。1億の物件を売買仲介したら300万円、「両手」になれば600万円、買い取ってリノベして再販かければ、1000万円以上の利益を上げることも可能だ。「売買だけに倍々ゲームになって」、段々感覚が麻痺してゆく。そこには10円の原価計算をする精神はない。賃貸管理ビジネスにおいても原価管理をしっかりすべきだ。

    生産性を上げる

    「サービス」を売る賃貸管理ビジネスでは、一番のコストは「人件費」であることは間違いない。では、この人件費を下げることを目標としたらいのか。スタッフは人手が足らないから、何かと新しい人採ってくれと言ってくる。その分人権費というコストが年間で400万〜500万円も上がるということを意識しないのである。

     

    人件費を下げることも大事だが、良い人材を採れば給与が高い。そこで、発想を変える。結論は、「ルーティン業務は徹底的に外注(アウトソーシング)する」ということだ。

    アウトソーシング

    コストが年間500万円の人が、たとえば他の業者に頼んだら500万円でやれる仕事をしていてはいけない。単純な入力作業、鍵交換、清掃や工事、電話対応他、オーナーへの定期的な発送物の封詰めすらそうだ。他でやってもらえるなら、500万円以下なら大歓迎、同じでも良し、600万円に上がったとしてもその人材が1000万円や1500万円を稼いでくればいいのではないか。500万円のコストの人はその3倍の1500万円は稼いでもらいたい。

     

    営業職は新たな仕事(契約)を取ってくるからわかりやすいが、それ以外の内勤等のスタッフの生産性ももっと重視したほうがいい。また、外注化を進めることによって、社員は少数精鋭となる。社員が増えればその分のマネジメントも必要になるのだからより良い。

    万一、超大手のドコモが、ソフトバンクが、ローソンが、管理ビジネスに参入したとき、おそらく、ほとんどの仕事をアウトソーシングするのではないか。

    (筆:藤澤雅義/全国賃貸住宅新聞2017.11.13 掲載)

    • 藤澤 雅義(Mark藤澤)
      オーナーズエージェント および アートアベニュー 代表取締役社長
      プロフィール:

      オーナーズエージェント株式会社 代表取締役社長であると同時に、
      賃貸管理会社 株式会社アートアベニューの代表取締役社長を務める。

      しかし、本人は「社長!」と呼ばれるのがあまり好きでないとのことで、
      社内での呼ばれ方は「マーク」または「マークさん」。

      あたらしいものが好きで、良いと思ったものは積極的にどんどん取り入れる一方、
      日本の伝統に基づくものも大好きで、落語(特に立川志の輔一門)や相撲(特に豊ノ島・時津風部屋)を応援している。

      「現場」で運用の実務にあたっているものが、一番不動産のことを理解し、
      的確な投資分析及びオーナーの収益に貢献をすることができ、
      また、仲介手数料収入に依存する仲介業者ではなく、安定収入のあるPM会社こそが、
      クライアントの側にたって本当のアドバイスができる、が持論。

      著作に、
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