全国賃貸住宅新聞

公開日:2018年4月9日

第111回 管理会社は人が命、「採用」をどうするか

第111回 管理会社は人が命、「採用」をどうするか
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企業の顔となる面接官の人選こそ重視

ワークライフバランスへの理解示す姿勢示せ

企業の人手不足感が一段と高まっている。有効求人倍率(図1)は平成初期のバブル期を越え、40数年ぶりの高水準である。失業率も当然に低水準だ。また、新卒の内定率が昨年の平成29年末で92%(平成30年春卒業)だという。驚異的な数字である。空前の「売り手市場」である。平成24年(2012年)末に始まった安倍内閣によるアベノミクスがまがりなりにも成功している証だと思う。

▲図1

新卒採用の世界では、大企業が東京でいえば、今まで「Gマーチ」レベル(明治、青山学院、立教、中央、法政、+学習院大学を指す、G+MARCH)までしか採用をしてこなかったところが、「日東駒専」レベル(日本、東洋、駒沢、専修大学。他に成城、成蹊、武蔵などもこのレベルに入る)まで触手を伸ばしてきている。はたして皆さんの会社では求人採用はいかがであろうか。弊社も中途採用に苦戦している。採用にはなるべく妥協しないで厳しくしていることもあるが、たとえば事務要員で1人採用するために25人〜30人の応募が必要といった具合だ。

 

営業系だと、一部署に30人応募があったが、1人もいい人が来ず、もう一度仕切り直し、といった具合だ。いい人が来ない。逆にいうと、他の会社では、うちでは採らないレベルの人を仕方なく採ってしまっている、ということもあるのではないか。それでいいのか。妥協は禁物だと思っている。困ってしまったので、これまで新卒は毎年2〜3人の採用だったが、平成30年春新卒からは大量に採ろうと思っている。賃貸管理会社は「人が命」、芸能人は「歯が命(古い!)」。私は会社経営で一番大事なことは「採用」だと思っているのだが、現代においてどうしたらいい人が採れるのだろうか、ここは応募者の目線にたって考えてみたい。

自分が20代や30代の人だとしよう。どこで会社を選別するだろうか。まずは「社風」ではないか?はっきりいって不動産会社のイメージは、「ワンマン社長がいて上下関係に厳しそうでノルマが厳しく休みが少なく残業が多い」、といったところではないか(苦笑)。うちはそうではない、ということをアピールする必要がある。実際にうちはその通りだ、という会社は、はいさようならである、頑張ってくださいね。いま、そういう会社が一番嫌われる。「今の若いやつは!」と怒ってみてもしかたがない。良い悪いではない、「時代は変った」のだ。

 

▲表1

表1にまとめてみたが、1、社風に関して、その会社の良い雰囲気がわかるようなエピソードを明示してみたらいいと思う。たとえばプレッシャーをかけるような上司がいるとおもわれないように。求人広告に社内行事の楽しそうな写真を載せるのもいいだろう。写真は重要だ。また、面接で対応する人や、社内の雰囲気でなんとなく感じられるものがある。特に、直接対応する面接官は、エース級の社員を投入すべきだ。その人がその会社を体現するのだから。人選は気をつけたほうがいい。

 

2は、労働条件の内容だが、社員の年間の休日日数、平均残業時間、平均の有給消化日数は応募者としては、実は一番聞きたいところというのが本音ではないだろうか。不動産会社は特に地方では、年間休日が100日もないところも多い。それでは人は来ない。この連載でも何度か触れているが、まずは時代に合わせて休みを増やしてみてはどうだろうか?それが一番効果があると思う。完全週休2日で祝日のある週は3日休日を与えると、ちょうど年間休日が120日になる。その他年末年始やGWは有給を使って休めばいいのだ。弊社は、年間休日120日、残業時間は1日平均1時間、有給消化日数は全社員平均で年間9日というデータがあり、それを最近は求人広告に載せるようにしている。

 

3の「働き方改革への取り組み」もそうだが、その会社が「ワークライフバランス」にどれくらい理解があるかを、また働き方の自由度がどれくらいあるのかを見ているのだと思う。「時差出勤」や「在宅勤務」もキーワードだ。都会の会社は毎日満員電車に乗って通勤する場合も多いと思うが、あれはストレスだ。1時間早くもしくは遅く出勤すれば遭わなくて済むのだ。残業時間が多くて家に帰るのが遅い会社に入社することを家族は望まない。なんとために働くのか、人生を楽しむために働くのだ。仕事をするために生まれてきたのではない。そのあたりのトップの人生観というものが会社の方針に滲み出る。それを若い人は敏感に嗅ぎ取る。

 

4の「育ててくれるか(研修等)」も重要だ。自分を大事にしてくれる会社なのか、教えてくれる会社なのかを見るのだ。最近、感じたことなのだが、日本の頑固な職人的な「俺の背中をみて仕事を盗め」のような感覚をどっかで持ち合わせている社員がいないだろうか。仕事は自分自身で覚えるものだ、という感覚を持ち合わせていないだろうか。これはまったくナンセンスである。「私の背中をみて・・・」と言っていいのは、澤穂希だけだ。

 

5の「女性の登用」は特に女性に向けたメッセージとなるが、いま少子化の折、誰もが欲しい20代の若い男性の数は20年前に比べて3分の1も減ってしまっているのだ。社内での女性の活躍に期待するしかない。「女性活躍推進法」もできたことだし、しっかり働いて、結婚して子供も産んで会社に復帰していいよ、という姿勢を見せたいものだ。産休、育休をきちんと取れる会社をアピールするのだ。弊社は数年前にこれを打ち出したところ、毎年複数の女性社員が妊娠するようになった。いいことではないか。そして皆、復帰したいと言っている。ただ、保育園がなかなか当選しないが・・・。

 

その他、「社会貢献」というテーマも最近の若い人には訴えるところがある。その会社が社会に、また地域社会にどう関わっているのかを見るのだ。金儲けだけの会社は魅力的ではない。新卒の採用手法だが、学生は、事業の表面的なところしか知らないものだ。不動産の「賃貸管理業」などと言っても他の「メーカー」であるとか、「サービス業」のように取っ掛かりが少ない。よって、「説明」が必要だし、そこに興味を持ってもらう必要がある。また、特に新卒はその会社の発展性、安定性を求めている。管理会社は安定しているので、理解してもらえてば反応はいいはず。また、近未来を想像させるのがカギだ。19年春卒の学生との面談が既に始まっている。内定も出している。また、会社の公式HPの充実は必須であり、特にスマホ対応になっていないと、学生からは「時代に鈍感な会社」というレッテルを張られてしまう。

(筆:藤澤雅義/全国賃貸住宅新聞2018.4. 9掲載)


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