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第114回 仲介店舗はなくなるか!?

2018.07.09
  • 全国賃貸住宅新聞

    不動産テックの進化で無店舗化に舵切り

    対面接客の必要性を再検討する時機

    先日の「賃貸住宅フェアin東京」にて、「仲介店舗はなくなりますか?」というテーマで登壇してきた。アンビションの清水剛社長、日本エイジェントの乃万恭一社長とのパネルディスカッションだ。清水社長が私と対決姿勢を取ってくれて(プロレス?)とても楽しかったし、終了後、たくさん反響をいただいた。下打ち合わせをわざとしないで、ぶっつけ本番でやったから予定調和的なものにならずよかった。

     

    セミナーは冒頭の司会者の「仲介店舗はなくなると思いますか?」の問いに対し、私が「なくなるに決まってますよ!」と、口火を切って始まった。8年前からたびたび私は「仲介は必要なのか?」と、この紙上で発言してきた(写真)。また、「仲介手数料は0化する」とも。この8年間のスマホの浸透を始めとするIT環境の変化には感慨深いものもあるが、私が言ってきたほどに、「仲介」はまだ「なくなってはいない」し、「仲介手数料0化」もあまり進んではいない。いや逆に0.5ヶ月だったところを1.0ヶ月に戻した会社さえある(笑)。しかし、私は転換の時期はそろそろだと思っている。

    ▲過去の連載で言及してからテクノロジーの登場でビジネス環境は大きく変わった

     

    図1に表したように、①「不動産テックの進化」や②「ITリテラシーの進化」によって、部屋探しから賃貸借契約に至る間の③「WEB活用」がますます進むことになる。今回の賃貸住宅フェアでの出展ブースをみても、不動産テック系のものが目立っていた。今年後半は「VR内見」や「電子契約」の動きがかなり進みそうだ。賃貸の部屋探しをする世代は若い世代が中心だ。20歳代から30歳代前半といったところだろう。それらの世代は新しいシステムにすばやく順応する。そして、使いこなす。

     

    また、「チャット接客」(チャットとはネット上で短い文章で会話する仕組み、LINEのイメージ)も気軽でいいし、それをAIを導入して自動的に行う「チャットボット」(チャット+ロボットの意)にしているところもある。「フェイスタイム」(Apple間のテレビ電話)を活用してもいいだろう。これらはすべて「無店舗」化ということになる。

     

    不動産屋さんというと、路面店にカウンターがあって、意味もなく(失礼!)営業パーソンが座っている風景が思い出される。「1日当たり何人接客するんですか?」とある社長に質問したら0.8人とのこと。「じゃあせいぜい1時間もないですよね、あとの時間は何をしているんですか?」。するとスタッフの方がポータルサイトへの入力作業や物件の写真を撮りに行っているとのこと。「それも1時間か2時間もないでしょう、あとは?」と聞くと、黙ってしまった。そして、「そういえばお前たち、日頃何をしてるんだ!」と社長が怒り始めてしまったのだ。

     

    パソコンというやつは便利なもので、それに向かっているとなんとなく仕事をしているような気になるのである。仕事に関係ないネットサーフィンをしていたりするのだ。生産性が落ちる原因がここにある。はたして人的な接客はそれほど必要だろうか。それは機械や他の人、たとえばパートさんとかに任せてもっと大事な仕事、つまり不動産オーナーへ訪問して空室対策提案などをすべきではないのか。また、新規の管理受託の営業をすべきではないのか。

    ▲図1

     

    また、新規の管理受託の営業をすべきではないのか。

    表1をみてもらいたい。①現在4人に1人は実際には内見しないで部屋を決めている。そして、②動画等が充実していれば、3人に1人は見ないで契約できると答えている。また驚きなのは、③合計9割の人が、営業担当についてきてもらわなくていい、と答えているのだ。「セルフ内見」でいいのではないか。ある管理会社のデータだが、④タクシーで案内を代行してもらった結果、成約率は下がらなかったという。ネットで事前に調べて、充分物件のことはわかっているのではないか。⑤は私見だが弊社での経験からも、「営業」よりは「物件の力」そのもののほうが大事で、決まる物件は難なく入居者が決まるのだ。今後、ITの進化によってますます「部屋探しは極めて簡易になってゆく」のではないか。

    ▲表1

     

    図1に戻っていただくと、④「賃貸管理ビジネスの本格化」が「③WEB活用の進化」とあいまって、⑤「元付け業者からの情報発信」強化につながると思う。以前より書いているように、「賃貸住宅管理業法」の成立が非現実なものではなくなってきているようだ。どうなってゆくかはわからないが、我々の賃貸管理業務が「宅建業法」の範疇を大きく超えているのは事実だ。それに関する法律がないのは不自然である。もし、成立するようなことがあれば、大きく業界は変わるだろう。成立しないとしても、「仲介から管理へ」の流れは変えられない。賃貸ビジネスを行っている業者が管理受託に一生懸命になるようになる。

     

    そもそも、賃貸仲介は儲からない。仲介手数料1ヶ月では利益が出ないのだ。元付け側(オーナー直の意。管理受託契約をしているもの、または管理受託契約はしていないがオーナー直でつながっている)になり、リアルな情報発信をネット上で行うのだ。リーシングはネットでいかに良質な情報を出すことができるかがカギだが、「元付け側」なら、撮った写真や動画や周辺環境の文章データなどを入居者が退去する度にまた使うことができるので合理的だし、作成するモチベーションがある。先付け業者の場合には、ポータルサイトに載せるのに、毎回違う募集する物件でいちいちそこまでやっていられないのだ。 私が夢みる理想は、元付け業者の物件のみがアップされているポータルサイトの出現だ。同じ物件が複数の業者から掲載されることがなくなる。

     

    また、基幹管理システムからの連動が毎日できれば、リアルタイムで反映できる。現在のポータルサイトは、そうするつもりがなくても実質的に「おとり広告」になってしまっていることがある。既に決まってしまっている物件が掲載されてしまうのだ。そして、このサイトでは「セルフ内見」を条件に「仲介手数料無料」が謳えることになる。

    (筆:藤澤雅義/全国賃貸住宅新聞2018.7.9掲載)

    • 藤澤 雅義(Mark藤澤)
      オーナーズエージェント および アートアベニュー 代表取締役社長
      プロフィール:

      オーナーズエージェント株式会社 代表取締役社長であると同時に、
      賃貸管理会社 株式会社アートアベニューの代表取締役社長を務める。

      しかし、本人は「社長!」と呼ばれるのがあまり好きでないとのことで、
      社内での呼ばれ方は「マーク」または「マークさん」。

      あたらしいものが好きで、良いと思ったものは積極的にどんどん取り入れる一方、
      日本の伝統に基づくものも大好きで、落語(特に立川志の輔一門)や相撲(特に豊ノ島・時津風部屋)を応援している。

      「現場」で運用の実務にあたっているものが、一番不動産のことを理解し、
      的確な投資分析及びオーナーの収益に貢献をすることができ、
      また、仲介手数料収入に依存する仲介業者ではなく、安定収入のあるPM会社こそが、
      クライアントの側にたって本当のアドバイスができる、が持論。

      著作に、
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      ・『「収益改善」&「リニューアル企画」マニュアル』(総合ユニコム)(購入
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