お問い合わせ

第115回 しゃれにならない人口減問題

2018.08.13
  • 全国賃貸住宅新聞

    年間出生数、初の100万人台割れ

    残業短縮や産休など働き方改革で減少歯止め

    2016年に発表された2015年実施の国勢調査によると、日本の人口は1億2,709万人で5年前の調査と比べて約96万人の減少である。過去100年の国勢調査の歴史史上初めて総人口が減少に転じたのだ。そして、国立社会保障・人口問題研究所の予測によると、今から35年後の2053年には人口は1億人を切り、47年後の2065年には8800万人になるという。

    わずか約50年で70%になるというのだ。あくまで将来予測なので、どこまで現実のものになるかはわからないし、国の政策次第では良い展開になるかもしれないが、このままでいくとこうなってしまうのだ。また、2016年の「年間出生数」は、初めて100万人の大台を割った。97万7,000人である。今までのピークは所謂「団塊の世代」である1949年の270万人だから、3分の1になったということだ。約50年後の2065年には約55万人、100年後の2115年には32万人になるという。

     

    我々の業界でいうと、賃貸ビジネスの世界では20歳〜34歳くらいが主なターゲットと思われるが、地方では2035年から2045年、つまり17年後から27年後にかけてどこも大体2割から3割、その世代の人口が減る予測が出ている。良いところでも1割から2割減で、ひどいところは5〜6割減の予想がされている。まったく、しゃれにならないではないか。国をあげて少子化対策に挑まなければいけないのではないか。相対的に高齢化問題も深刻だ。65歳以上の高齢者は現在4人に1人。2036年には3人に1人。2065年には2.5人に1人になるとのこと。

    ここ数年、弊社の管理物件でも貸室内での孤独死が増えていることでも実感できる。介護のコストや人手が足らなくなる時代が来ている。そこで移民政策が議論になるが、欧米の事例をみてもむやみに外国人を受け入れるのは治安等を鑑み危険だろう。しかし、ある程度の受け入れは必要だ。

    ▲表1

     

    ここで、我々として、やれることはなにか考えてみたい。表1は「会社としてやるべきこと」だ。

    ①の「長時間労働是正」は、「働き方改革」であるが、夫の休日の家事・育児時間が長いほど、第二子以降の出生割合は増えるという。厚労省によると2時間未満は29.0%だが、6時間以上は80.0%だという。うなずける統計だ。第二子に限らず、第一子も同じ理屈だろう。スタッフを早く家に帰すことだ。高度経済成長時代と違って、今の若者は家庭を大事にするし、人生観も違ってきているのではないか。「仕事」より「家庭」が大事でいい、と私などはスタッフに言っている。また、早く退社すれば必然的に労働生産性は上がるのだ。

     

    ②の「女子にやさしい会社」を目指すべきだ。産休を取っていいよ。1人、2人子供を産んでから戻って来ていいよ、席は用意しておくよ、というメッセージを発するだけで、弊社では実際に出産が増えた。いま産休に入っているのが3人、子供が小さいので在宅勤務しているのが2人いる。また、今年男性で育児休暇を取ったスタッフがいる。いいではないか。共働きで夫婦で稼いだほうが経済的にも合理的だ。そのためには旦那がブラック企業に勤めていないことが条件になる。

     

    ③は「独身者におせっかい」だ。弊社では、業界の信頼できる仲間の管理会社4社で「独身者パーティ」を開催している。既に2回開催しているが、毎回50〜60名が参加する。そして、その中から2組がゴールインしそうだ。2組とも女子は弊社だ。嫌々参加したそうだが、なんてことはない、最高の結果だった。弊社では、創業22年だが、この間に8組の社内恋愛結婚がある。一つ屋根で働く者同士が一緒になるのはいいことだ。それは、お互いのことが良くわかるからだ。ちなみにそのうち離婚は1組だ。弊社は今135名のスタッフのうち独身の女子がなんと55名もいる。男子は10名程度しかいない。真剣に女子に怒られる。「もっと独身を入れてください」と(笑)。しかし、女子は婚活中という割には、合コンとかに行っている様子もあまりない。「待っている」のである。また、男子も「草食化」が否めない。大人たちがもっと「おせっかい」をして、セットしてあげる必要があるのではないか。

     

    また、④定年を「75歳程度までで引き上げる」のは、生産年齢を上げることによって、「高齢化」を防ぐのだ。75歳から高齢者ということにして、74歳までは「現役」の扱いにする。そうすれば高齢化率は下がる。実際に、60歳台なんて若いものだし、55歳が定年だった父親の世代の頃とは「若さ」がずいぶん違う。

     

    ⑤「アパート提案は事業収支を慎重に分析し、差別化する」はまったく本業の話だが、文字通りのことで、意味は明確だろう。

    表2

     

    表2は、「タウンマネジメント」だ。この連載でも何度か述べているように、我々は今や1人の不動産オーナー、1棟の建物のことを考えるだけではだめになった。その街全体のことを考えなければいけないのだ。①「建物単位だけでなく、エリア全体をリノベーションする」のだ、街の名産品を創り、文化を産み、体験できるなにかを創造しなくてはならない、美味しいレストランも大事だ。そのことによって、②「日本人のファン」、「外国人のファン」がやってくる。観光によって、人が行き来する街を創るのだ。

    ▲図1

     

    図1は「エリアリノベーションに必要な人材」だ。②必要な人材は「不動産」、「建築」、「グラフィックデザイン」、「メディア発信」の4種だ(出典:「観光まちづくりガイドライン」国土交通省
    )。1つ目と2つ目はまさに不動産会社のことではないか。街の再生に我々は大いに活躍できるはずだ。そして、最後は④「非居住エリアの明確化(コンパクトシティ)」である。これは痛みを伴う判断だが、やらざるを得ない。人口減にあって、すべてのエリアにインフラを整えることは不可能だ。

    ▲表3

     

    最後に、「個人として努力すべきこと」(表3)は①「健康を維持する」、ことだ。75歳まで元気に働けるようにしなくてはいけない。そして、②「子供を創る」ことである。

    (筆:藤澤雅義/全国賃貸住宅新聞2018.8.13掲載)

    • 藤澤 雅義(Mark藤澤)
      オーナーズエージェント および アートアベニュー 代表取締役社長
      プロフィール:

      オーナーズエージェント株式会社 代表取締役社長であると同時に、
      賃貸管理会社 株式会社アートアベニューの代表取締役社長を務める。

      しかし、本人は「社長!」と呼ばれるのがあまり好きでないとのことで、
      社内での呼ばれ方は「マーク」または「マークさん」。

      あたらしいものが好きで、良いと思ったものは積極的にどんどん取り入れる一方、
      日本の伝統に基づくものも大好きで、落語(特に立川志の輔一門)や相撲(特に豊ノ島・時津風部屋)を応援している。

      「現場」で運用の実務にあたっているものが、一番不動産のことを理解し、
      的確な投資分析及びオーナーの収益に貢献をすることができ、
      また、仲介手数料収入に依存する仲介業者ではなく、安定収入のあるPM会社こそが、
      クライアントの側にたって本当のアドバイスができる、が持論。

      著作に、
      ・『賃貸経営マイスター』(住宅新報社)(Amazonで購入
      ・『「収益改善」&「リニューアル企画」マニュアル』(総合ユニコム)(購入
      ・『200万円からはじめるマンション投資術』(主婦の友社発行)(Amazonで購入

      さらに詳しく見る

    導入事例紹介

    サービス紹介

    メディア掲載情報一覧へ戻る
    このエントリーをはてなブックマークに追加
    PAGE TOP