全国賃貸住宅新聞

公開日:2020年3月9日

第134回 あらためて「営業」を考える

第134回 あらためて「営業」を考える
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要因別に管理獲得の目標を明確化

営業だけでなく間接部門もクライアントと接触

賃貸管理会社に在籍する人の一番の関心時といえば、やはり「管理戸数の増やし方」ではないかと思う。

結論からいうと、これで決まりというような奇手はないが、やるべき手法はたくさんあるし、それを実行することが大事だ。過去11年間のこの連載の中でなんどかこの「管理受託」については触れてきた。重複する部分もあるが、あらためて解説してみたい。

まず、ここ2~3年の管理受託契約の発生要因を調査して分析してみよう。それは、大きく、表1のように、7つに分かれる。

は、お知らせ看板を見て、また建築中の物件の土地の謄本をあげて連絡して接触する、また中古物件のオーナーにも同じように営業することである。お知らせ看板は、施主だけでなく建築会社や設計事務所も明記してあるので、⑤の新規業者の開拓にもつながる。

は、自社のホームページを充実させて反響を発生させることだ。賃貸管理会社として、何らかの差別化と自社の主張が欲しいところだ。

は、既存のクライアントから2棟目、3棟目の物件の管理を任せてもらうことだ。これも他にも物件をお持ちではないですかと、尋ねなければ始まらない。

は、既存のクライアントから他の不動産オーナーを紹介してもらうことだ。既に管理を委託している方が、この会社はいいよと紹介するのだから最高だ。無駄な営業はいらない。この「紹介」が少ない会社は要注意だ。「紹介」が多く発生する組織を作らなければいけない。

は不動産・建築・設計事務所から賃貸物件の紹介を頂くものだ。収益物件の売買をしている会社で自社で賃貸管理をしていない不動産業者、また賃貸物件の建築請負やリニューアル工事をする業社、また同じように設計事務所から施主を紹介してもらうのだ。こういった業者に定期的に通って家賃査定の機会を頂くのだ。

また、敢えて「新規」と「既存」に分けたが、それは、既存の業者からの紹介より「新規」に業者を開拓していくほうが価値が高いからである。既存の業者からの紹介ばかりで楽をしてはいけない。「営業」なのだから、会社としても「新規」の開発を評価すべきである。

はたとえば内装リフォームを担当してもらっている協力業者に紹介をもらうことだ。これも紹介が欲しいと言わなければ紹介は出ない。

は付き合いのある税理士・会計士・ファイナンシャルプランナー・コンサルタント・金融機関等から紹介をもらうことだ。

またのように定期的なセミナーや物件見学ツアー等のイベントで発生することも可能だ。

の相続設計や建築プロデュース等のコンサルティングから発生させることができるのも管理会社としての理想だ。管理会社は比較的富裕層がクライアントである。これはありがたいことである。資産運用相談や相続設計等のニーズがある層がお客さんなのである。これを活かすべきだ。

 

これらの10のパターン別にどのくらいの割合であるのかをまず検証してみよう。

独自に「新規」のクライアントや業者が発生していなければ、それは営業が弱いといえるだろう。既存ばかりでは「待ち」の営業とみなしていい。以前、「仕組みが大事だ」と、この連載で書いた。⑨や⑩からの発生は、ひとつの仕組みだ。既存クライアントや既存業者からの安定的な発生も「仕組み」だ。②の自社ホームページからの発生も仕組みといえるだろう。しかし、その仕組を作って安心してしまっては、いつかはそのルートは細くなってしまうかもしれない。

やはり、「新規」を取る営業パーソンを評価すべきだ。「新規」を取るとは「新たな仕組み」を組成しているとも言えるのだ。10の発生要因がバランスよくあるのが理想だ。

次に(表2)大事なことは、「年間の獲得目標を明確にする」ということだ。

それも、漠然と管理戸数を増やそう、というお題目を唱えるだけではいけない。会社の規模に合わせて年間に300戸とか500戸とか1,000戸とかの目標数字を明確にしよう。そして、500戸を獲得するためには何をしなければいけないのかという戦略を立てるのだ。「発生要因別に具体的に目標戸数」を定めていこう。飛び込み営業からは50戸、既存クライアントからの紹介を80戸、というふうに。セミナーから50戸なら、年に何回のセミナーを開催すべきかという企画設計をしなければいけない。

次に、目標を明確にしたあとに、その目標をスタッフ全員で共有することが大事だ。賃貸管理会社は管理受託の営業だけをやっていればいいわけではない。空室対策・リーシング、また現場管理という大事な業務もあるし、人事・総務や経理などの間接部門も疎かにしてはいけないのは当然だ。

しかし、管理受託の営業が頑張って仕事を取ってくるから会社はやっていけるのだ。仕事がなければ始まらない。営業は会社のエースだ。新たな顧客が発生することがとても重要なのだという意識を全スタッフで認識すべきと思う。その意識を営業以外のスタッフが持つことによって、いい意味での営業パーソンへの監視があり、かつ営業パーソン自身が誇りを持つ意識につながるのだ。

 

次に、全スタッフでそれらの営業の意識を持つために良い方法がある。それは、全スタッフで既存クライアントをまわるのだ。

営業パーソン以外の人が無理に営業をしなくてよい。ただ、ご自宅等を訪問して、日頃のお礼のご挨拶、つまり表敬訪問でいいのだ。雑談をしながら、しかし一言、他に収益物件はお持ちではないですか?あれば管理をさせていただきたいとボソッといえばいいのである。また、たとえば売買仲介や他のサービスもあるので、よろしかったらご利用、ご相談ください、と軽くいえばいい。ひょうたんから駒でいい話が発生するかもしれないし、間接部門のスタッフまで、クライアントに接触することで、いつもと違う新鮮なものを感じられるし、営業が大事だという意識が高まるのだ。

また、この連載でも過去に述べているし、当たり前のことなのだが、「管理受託営業の専門部署をつくる」が大事だ。意外に他の業務と兼務させている会社が多い。リーシングの「ついでに」管理受託の営業をしてこい、では目標など達成できない。

⑥以降については次月の連載で詳しく解説していしてきたい。


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