全国賃貸住宅新聞

公開日:2020年8月10日

第139回 新たに社会に出る人たちのために

第139回 新たに社会に出る人たちのために
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相手を理解する能力を自ら磨く

視野を広げ客観性を備える

ある人に、これから社会人になる人向けにどんな研修をしたらいいと思うかと尋ねられ、それでいろいろ考えるきっかけとなり今回の原稿を書いた。会社に入って間もない諸君、また来年社会人になる人向けに思うことを書く。

会社側としては、社会人になりたての社員に対して流石に即戦力と期待できないと思っているが、入社1年もすれば、社会と会社に慣れてきて中途採用のスタッフと遜色なく働ける人材であって欲しいと思っている。そういう「仕事の出来る人」を採りたいのだ。

そこで、会社は、ビジネスパーソンとして、どういう能力、また組織で活躍できる人間性、精神性というものを求めているのかを述べてみたい。会社としては採用面接等で、それらを見抜こうとしているのだ。一般論として、学歴はあるに越したことはない。学校での勉強が出来た人は基本的には評価される。知識の量も豊富だろう。

しかし、勉強が出来ても社会に出たら「使えない」人もたくさんいるのは事実だ。そして、学歴イコール「仕事が出来る人」ではないことは、みな薄々感じていることだ。

何が一番大事か、それは「コミュニケーション能力」だろう。

企業の採用担当が最重要視するのがこれだ。「コミュニケーション能力」とは、「他人と意思疎通を上手に図る能力」と一般的には言われるが、解釈はいろいろあると思う。

会社によって、また採用担当者によって求めるものは違うかもしれない。お客さんに「交渉する能力」、「説得力」を指す場合もあるだろう。

しかし、多くの企業人が求めるコミュニケーション能力とは、「相手を理解する能力」だと思う。「相手の意図とか感情とか理論、その人が何をしたくて、どうしてこういっているのかがわかる人、脈略をつかまえられる(斉藤孝氏)」ことが大事だ。

流れを捉える、状況を読む、雰囲気を察する、といった極めて不確かで微妙なものを感じ取ること、つまり、「場の空気が読める」ということだ。相手を捉えられない、相手の言っていることを察することができない、ピンボケな人を会社は採りたくない。

では、どうしたらその「相手を理解する力」「場を読む力」を鍛えることができるだろうか。そういう力は私は弱い、と悲観することはない。必ず学習できる。
表にまとめてみた。

①多くの人と関わること

積極的にいろいろな「場」に顔を出すことだ。

そのなかで、人をよく観察すると良い。いつも同じメンバーでつるんでいてはいけない。気のおけない仲間はいいものだが、いつも同じような意見をいい、感じ方をする人とばかりいると視野が狭くなってしまう。

世の中にはこういう考え方をする人もいるのか、新しいなあとか、いろんな人がいるものだなあ、とかを肌で感じて世の中の多様性に接してほしい。

②思考すること

熟考することだ。

かくいう私もいま、この原稿を書きながらじっと考える時間を持っている。この原稿執筆をきっかけにいろんなことに考えが及ぶし、考えが深まるのだ。一つの何か課題や考えたいことがあったら、それをとことん深掘りしてみるのだ。

この熟考から得られた自分なりの考え方は、実は自分の人生のいろいろな場面に影響を与えるほどになる。これも自分の視野を広げる訓練になる

③文章を書くこと

自分自身の言葉を文字に起こして整理するのだ。

文字にすると、自分の考えが浅かったり、ロジカル(論理的)でなかったりすることに気づく。文章を書くことで思考が深まる。

自分が言いたいことは何か、その本質を掴む技術は他人の言いたいことを掴むことに繋がる。

④よく本を読むこと

人の感情の機敏を読み取る訓練として小説も悪くないが、ビジネス書を読んでほしい。

本ほど安いものはない。読書は著者との対話だ。見識の高い人と1500円で対話ができるのだ。著者との対話のなかで、自分と違う意見、共感できる意見を冷静に吟味してみよう。また新たな見識、情報を得ることによって視野が広くなる。できれば、好きな著者の本を何冊も買い揃えるといい。

これは、確定的なこととして言えると思うが、仕事が出来る人で本を読まないひとはまずいない。

⑤人前で話すこと、プレゼンすること

交流で得た情報、熟考して文章にしてみてたどり着いた考え、また本を読んで得た知識を人前で披露してみよう。

人前で話す(アウトプット)前提で情報を吸収(インプット)すると、吸収度合いが違ってくる。しっかりインプットするようになる。
また、アウトプットすると「要約力」がつくし、「論理的(ロジカル)に話す」訓練になり、「表情や身振り手振り、また声やテンポ」も大事だと気づくことになる。

これらプレゼン力が高まることは、相手との相互的なコミュニケーション力が高まることに繋がるだろう。

プレゼンは自分勝手にただ一方的に話し続ければいいものではないからだ。プレゼンは数名が相手であっても、100人参加の講演での聴衆であろうと、聴く側の反応や理解度に合わせて行うものだからだ。居酒屋で週末に観た映画の話をしてもいい。

聴く側の反応や意見を通して自分の知識・考えに客観性を持たせる訓練にもなる。

⑥客観性を持つこと

私の会社でも出世している人は、客観性が高い。

自分を俯瞰して見る能力が高いといえる。そして、「相手を理解する」ということは自分のことも客観的に理解できているか、ということとも繋がるのだ。

自分は他人と意見が違うとか言っているが、自分が間違っていた、思い込みで勘違いしていた、また視野が狭くなっていたということも十分にありうるのだ。

自分が間違っているかもしれない、という客観性を持っていたい。言い換えれば「謙虚」であることだ。自分の良い点と改善点(欠点)を冷静に知っていることはとても重要なことだ。これが実は一番大事なことかもしれない。

プレーヤーとして少々優秀なことより、この客観性を持ち合わせていることのほうが重要だと、ダニエル・ゴールマンは著書「EQ〜こころの知能指数」の中でそう言っている。IQ(知能指数)よりEQのほうが大事であり、EQの定義の中で一番重要な能力は「客観性」だと言っている。

 また、「相手を理解する」ということは、相手と自分の「違い」についても客観
的に理解できるということだ。
社会には自分とは違う考え方や感情を持っている人がたくさんいる。社外にも社内にもだ。それらの人と、自分と考えが違うから、付き合わない、関係がないと、排除するような人では仕事はやっていけない。
「世の中の多様性」を認めることが大事だ。

結局、これら6つの訓練はすべて「視野を広く持て」、「客観性を備えよ」と言っていることになる。学校の教育では、こういったことをほぼ教えていない。

しかし、一番大事なことなのだ。若い諸君はぜひ、これらの訓練をしてほしい。

 


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