
第141回 コロナ禍でこそ積極的採用を
- 全国賃貸住宅新聞
未来を語る経営陣の責務
将来のポジション見据えてキャリア開発

表①
大前研一氏は「社長は人事に2割の時間を割きなさい」、と言っている。それくらい重要な仕事だというのだ。人事といえば、「採用」「育成」「評価」の大きくは3つであろう。会社は人が命である。
私も会社経営を25年やってきて、採用の手法についてはずっと悩む日々だ。ただ、最近ちょっといいものに出会った。「リスク・チェッカー(表①)」というのだが、PC上で20分ほどの質問に応えるだけで、性格チェック、コンプライアンスチェック、メンタルリスクが判断できるものだ。
試しに会社の全スタッフ160名にやってもらったのだが、結構あたっている。その会社の宣伝のつもりは毛頭ないが、よくできているとおもう。開発した会社の社長にも来てもらってお話をきいたが、大変興味深いものだった。コンプライアンスリスクのカテゴリーにおいては、ABCDの評価のうちCDは採用を控えたほうがいいと判断される。
大手企業などは、他のカテゴリーにおいてもテスト結果でABCDランクでBCDをバサッと切ることをやるそうだ。BCにも良い人材はいるような気がするが、応募が多ければ確率論で対処するしかないのだろう。
「人材配置」においてもスタッフの性格等を配慮して行うなど、参考になると思う。
最近、弊社はコロナ禍のおかげで、と言っては失礼かもしれないが、他社の募集が減っているので比較的良い人材が採れている。我々のような賃貸業界は経営が安定しているので、こういう時は有利だ。余裕のある会社はいまは採用を積極的にされるといいと思う。
新卒採用も、コロナ禍でリアルな対面が減っているときく。大手企業ほど、今回のコロナ騒動には敏感になっているので、中小にはチャンスだ。この8月の学生のアンケートをみると、7割がオンラインで、インターン、グループワーク、議論、会社説明、先輩との交流、をしているとのこと。
OB訪問もオンラインなのだ。PC画面上での対面は、遠方の人は便利という面もあり、また一次の接触にはいいかもしれないが、やはり味気なく、人の表情も分かりにくい。前号でも書いたが、いま日本の世の中はテレビウイルスに洗脳されて、必要以上に新型コロナに過剰反応している。
2021年卒は、3月までは好調だったのだが、コロナ禍で最終的には内定者数、採用数は減るだろうと言われている。2022年卒は、多くの企業はコロナ後をみて考えるとしていて、まだ採用計画は決まっていない。動き出しは遅い。この機に乗じて我々はリアルな対面を実施して採用を頑張ろう。
また、中途の転職希望者も含めて、コロナ騒動を経て大手企業への信頼が揺らいでいる。いつ何が起きるかわからないのだ。大手なら安心とも言い切れない。「安定の賃貸管理業界」をもっとアピールしていいのではないか。良い人をせっかく採用しても新卒、中途を問わず、1〜2年で辞めてしまってはもったいない。

表②
表②は、「良くも悪くも入社後ギャップ」だが、「仕事内容・配属」や「組織風土」において入社後、ちょっと想像していたのとは違うな、という意見が実は多いのだ。仕事内容や配属については、採用時に採用したいばかりに、オーバートークや過剰に期待を持たせるようなトークをしてはいないだろうか。
たとえば、コンサルタントになろうよと募集して、入社後すぐにコンサルタントとしてデビューできるわけもなく、まずは、現場を経験して、また人との感情の機敏がわかるコミュニケーション力を身につけることが最初の仕事である。そのあたりをきちんと説明せずに入社すれば、「ギャップ」と言われてしまう。
「組織風土」についても、若い人は、「社風」また「どういう人たちと一緒に働くのか」、ということをかなり気にするようだ。
これは、インターンなどを通じてわかってもらうのがいいかと思う。ヒエラルキーがきちっとした会社で能力を発揮する人もいれば、フラットな自由な組織が好きだという人もいる。
入社後の配属においても、定型的な仕事を好む人と、朝令暮改でもいいからベンチャー精神で突き進むのが性に合っている人もいるので、適正をみることが重要になる。
会社そのものが、また配属先がその人にあっているのかが大事だ。

表③は、「平成生まれの退職理由ランキング」だ。第一位は「キャリア成長を望めない」だが、いまの業務の先に自分の未来がどうあるのか、をイメージできないのだ。
会社という組織のなかで、自分が将来どういう仕事をしていて、どういうポジションにいるのかがわからないのだ。また、スタッフの不満や不安を上司や会社がフォローしきれていないということだと思う。仕事の意義を教えられていない。これはマネジメントの問題だ。
そして、キャリア開発は、会社の将来展望やビジョンと密接に関係する。社長や幹部は、自分の会社の10年後の未来をおおいに語るべきだと思う。それはやはり、会社が成長し続けている、大きくなってゆく、という戦略が必要ではないか。
特にダウンサイジングの時代と言われるこの日本において、このまま10名くらいの会社でずっとやっていこう、では夢が持てないのではないか。
また、組織が大きくなれば、配属先の部署と相性が悪ければ、違う部署に移動することもできる。これは組織が大きくないとできない芸当だ。
昨年、デービッド・アトキンソンさんに会い、「成長する意思と能力のない経営者は去れ」、「会社は大きくなることが善」、「賃金を上げられない社長は無能」と言われた。肝に命じたい
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藤澤 雅義(フジサワ マサヨシ)/Mark藤澤オーナーズエージェント および アートアベニュー 代表取締役プロフィール:
オーナーズエージェント株式会社 代表取締役であると同時に、
賃貸管理会社 株式会社アートアベニューの代表取締役を務める。しかし、本人は「社長!」と呼ばれるのがあまり好きでないとのことで、
社内での呼ばれ方は「マーク」または「マークさん」。役職呼称を禁止にしている。あたらしいものが好きで、良いと思ったものは積極的にどんどん取り入れる一方、
日本の伝統に基づくものも大好きで、落語(特に立川志の輔一門)や相撲(特に時津風部屋)を応援している。「現場」で運用の実務にあたっているものが、一番不動産のことを理解し、
的確な投資分析及びオーナーの収益に貢献をすることができ、
また、仲介手数料収入に依存する仲介業者ではなく、安定収入のあるPM会社こそが、
クライアントの側にたって本当のアドバイスができる、が持論。2001年、不動産会社向けコンサルティング企業であるオーナーズエージェント株式会社を立ち上げ、代表取締役に就任。
また、アメリカのIREM®(全米不動産管理協会)発行の国際ライセンスである
CPM®(米国不動産経営管理士)の日本での普及活動にも尽力。IREM JAPANの創学メンバーである。著作に、
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