
第142回 コロナ後に起こる働き方の変化
- 全国賃貸住宅新聞
時間に捉われず自主性を重視
入居者に好まれる良い物件の管理に集中
新型コロナ騒動は、テレビウイルスに感染した国民と一部の無責任な学者のせいで、例年のインフルエンザの死者が国内で1万人に対して、新型コロナでは千数百人の死者しかいないにも関わらず(その数字も大半は真にコロナが原因ではないという説あり)、もう7ヶ月以上の経済停滞を招き、来年はどうやら不況の年になりそうである。
当初は賃貸業界にはほぼ影響がないと思われたが、ここまで長期化し、外国人の流入が抑えられたり、失業者や自殺者の数が増加するに連れて影響が出始めている。
大規模な財政支出のおかげで今年一杯はなんとかなるかもしれないが、来年も同じように自粛が続くようであれば、日本経済はかなり酷いことになるのではないか。
菅新総理には、ぜひ頑張ってもらいたいものだ。まずは、指定感染症二類から外すことが一番であろう。
個人的には、私は京都大学の上久保靖彦教授の「集団免疫理論」に賛同しているので、興味ある方はネット等で調べていただきたい。
さて、暗い話から始めたが、ものごとには良いこともある。コロナを契機として、「働き方」とその「働き方の意義」が問われ、大きく変わることになると思うのだ。
6月の連載でも書いたが、そもそも、仕事とは9~18時まで会社にいればいいというものではない。会社から決められた時間にPCに向かっていれば給与がもらえるわけではない。
1日のうち、細切れで働いてもいいわけだ。自分の好きな時間に、たとえば早朝に4時間、深夜に4時間でもいい。コロナ騒動のおかげでテレワークでもなんとかなることがわかってきた。
個人の自由にさせてはどうか。「管理されない」心地よさというものがある。
自分の意思でこの時間に働くのだ。また、PCとネット環境さえあれば、どこで働いてもいいのだ。
宮古島で昼間は海にはいって、他の時間で8時間働いてもいいではないか。宮古島は10月でも海に入れる。
これを「WAA(Work from Anywhere and Anytime)」というらしい。「働く場所・時間を社員が自由に選べる働き方」ということだ。

こういうと、そんなオンラインで仕事は進まない。リアルがいいのだ、アナログがいいのだ、という人が必ずいる。はたしてそうであろうか。
表1にあるように、テレワークのデメリットはいろいろある。しかし、どれも解決できるものに感じる。テレワークなりのマネジメントの仕方がきっとある。
社員間のコミュニケーションは減るだろうが、たとえば1週間に1回のリアルなミーティングにはしっかりコミュニケーションを取ればいいではないか。デメリットを大きく上回るメリットがあるとおもう。

表2の項目に共通している概念は、スタッフの「自主性を重んじる」、「自主的にやったことは楽しい」である。会社からこうしろ、と言われてやるのではなく、自分で考えて実行することの楽しさである。楽しければ必ず生産性が上がるだろう。
「リアル」と「オンライン」には、まだ解決すべき課題があることは事実だ。自宅に用意される机、椅子をどうするか、仕事環境をどうするか、である。今後、郊外にコ・ワーキングスペースが増えるのかもしれない。
また、会社の上層部がITリテラシーが低く敬遠していたり、部下がきちんと働いているかどうか気になって仕方がなかったり、そして、9時から18時にオフィスにいれば仕事をしているといった、従来型の労働時間が労務管理の基準であったり、日本企業の社員評価が過度に時間に偏っているので、結果による評価方式を導入する必要もあるだろう。
しかし、この流れは止まらない。実際にいままで、訪問して面談していたものが極端に少ない時間で済む経験を既に我々はしている。30分で済む話を、1時間かけて行って、せっかく来たのだからとだらだらと1時間話して、また1時間かけて帰る。オンラインなら30分、訪問だと3時間かかる。6倍の生産性の違いが出るのだ。
今回、弊社も関わっている「賃貸フェス」で「不動産甲子園」をWEBで開催した。昨年までやっていたリアルでは会場に300人の来場が限度であったが、今回は1500人以上の視聴者を獲得できた。WEBのほうがいいなあ、という実感だ。

世の中がかなり変わる予感がする。我々の業界でいえば、菅新総理もデジタル庁創設や河野行政改革担当大臣の起用などでがんばっているので、賃貸借契約のデジタル化も近いであろう。
電子署名、電子契約で紙が不要になる。売買仲介より早いのではないか。この「紙が要らない」ことになるというのは、かなりのインパクトだ。弊社も重説や契約書の作成にかなりの人員と時間を割いている。人員は半分以下でいいのではないか。
そして、在宅でできる仕事は多い(表3)。電話もIP電話をつかえば、ネット上で転送できる。弊社のコールセンターの部署では既にオフィスにいるのとまったく同じ環境で自宅で仕事が出来ている。
新人の教育だけは、マンツーマンでやる必要があるので出社するが、あとは会社に来る必要はない。表3にある8つの項目のうち、会話あり、とあるものはコールセンターで代替できるものだ。営業や現場管理の仕事はリアルが多いであろうが、全部をリアルでする必要もない。
ものの本質は、ずばり「入居者に好まれる良い物件」を管理することだ。賃貸管理会社で重要な点は「管理戸数」ではない。良い物件を管理することに集中すべきだ。
そして、私が10年前から言っているように、先付け仲介はそのうち無くなるのではないか。ネット上での接客で先物のよく知らない物件のことなど説明できないからだ。
管理会社(元付け)が自分の管理物件のみを、仲介手数料無料でもいいから、バーチャルで案内し決める。そういう時代がそこまで来ている。
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藤澤 雅義(フジサワ マサヨシ)/Mark藤澤オーナーズエージェント および アートアベニュー 代表取締役プロフィール:
オーナーズエージェント株式会社 代表取締役であると同時に、
賃貸管理会社 株式会社アートアベニューの代表取締役を務める。しかし、本人は「社長!」と呼ばれるのがあまり好きでないとのことで、
社内での呼ばれ方は「マーク」または「マークさん」。役職呼称を禁止にしている。あたらしいものが好きで、良いと思ったものは積極的にどんどん取り入れる一方、
日本の伝統に基づくものも大好きで、落語(特に立川志の輔一門)や相撲(特に時津風部屋)を応援している。「現場」で運用の実務にあたっているものが、一番不動産のことを理解し、
的確な投資分析及びオーナーの収益に貢献をすることができ、
また、仲介手数料収入に依存する仲介業者ではなく、安定収入のあるPM会社こそが、
クライアントの側にたって本当のアドバイスができる、が持論。2001年、不動産会社向けコンサルティング企業であるオーナーズエージェント株式会社を立ち上げ、代表取締役に就任。
また、アメリカのIREM®(全米不動産管理協会)発行の国際ライセンスである
CPM®(米国不動産経営管理士)の日本での普及活動にも尽力。IREM JAPANの創学メンバーである。著作に、
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