全国賃貸住宅新聞

公開日:2020年12月14日

第143回 CPM®資格を目指す人々への応援

第143回 CPM®資格を目指す人々への応援
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賃貸管理会社の「経営」を今こそ見直す

有意義なセミナー受講で人脈を広げる

日本の不動産業界がCPM(Certified Property Manager/認定不動産経営管理士)を認定するIREM(全米不動産管理協会)との関係ができて来年で四半世紀となる。

 

私はCPMの日本での普及活動に1998年から携わっているが、日本とIREMとの関係は、1996年に故・三好勉社長(三好不動産)率いる日本賃貸住宅管理協会(日管協)の視察団のメンバーがアメリカに行き、IREMと接触したのが始まりだ。

三好会長の「アメリカには何かがあるはずだ」の一言でその視察は実行された。

 

賢明な判断だったと思う。その中には、CPM取得第一号の現・日管協会長の塩見紀昭氏もいる。1998年から有志でアメリカにおいてCPMの公式セミナーを受講しはじめ、1999年には当時のIREM会長としてマイケル・シモンズ氏が初来日し、2000年には現IREM JAPANの前身となる「CPM協議会」を発足させた。

 

当時は「不動産管理士」とか「プロパティ・マネジメント」という概念がまだなかった時代で、設立総会には多くの方が関心を寄せていただいたのを覚えている。約四半世紀が経ち、日本におけるCPMは現在630名となった。またIREM JAPANの会員は800名である。

 

少々、費用のかかる資格で試験も宅建士などとは違う意味で難しい面もあるが、やる気さえあれば、合格できる資格だ。不動産経営管理を体系的に学ぶことができ、不動産投資理論をしっかり勉強できるこの資格に是非トライしてもらいたいと思う。

 

また、全国の意識の高い信頼できるメンバーと友人になることができるのも大きなメリットだと思う。情報量が格段に増えるのだ。

 

CPMになるためには、10種類の講義を1年かけて合計21日間受講・受験する必要がある。

 

それは、「倫理」、「メンテナンスとリスクマネジメント」、「リーシングとマーケティング」、「組織と人事」、「投資判断」、「ファイナンス」、「不動産資産の評価」、「マネジメントプランの作成」であるが、テキストは全て日本語訳され、また講師(ファカルティ)も全員日本人なので理解しやすい。

 

我々の頃は、講師はすべてアメリカ人だったので、理解が難しい部分もあったものだ。アメリカで受講したとき、あまり優秀でない通訳がついてしまって、「キャップレイト(資本化率/収益還元率)」のことを「帽子レイト!」と訳されてしまったときは参った(笑)。

 

CPM資格の普及は日本における不動産投資基盤の発展に寄与していると思う。

そして、CPMは「倫理」を重視しているのが特徴だ。不動産業界では、高額の商品を扱っているので、クライアントに対しての説明等が誠実でなければならない。

「利回り」という指標ひとつとってみても、基準がバラバラでクライアントにきちんと理解されているかどうか怪しいものである。

IREMは1933年に設立されたのだが、当時世界恐慌の中にあり、不正が横行していたので、不動産業者の有志が倫理を旗印に協会を作ろうと立ち上がったのがきっかけと聞く。その意思を継ぎたいものだ。

また、最近IREM JAPANでは、同じくIREMが認定するAMO(Accredited Management Organization/認定不動産管理会社)資格の日本での導入を推進している。

 

これは個人ではなく、賃貸管理会社に与えられるもので、この認定を受けるために必要な講座がBDM603(「賃貸管理会社の経営手法」)である。

 

これは、実はAMOの認定を受けるつもりのない人、CPMでない人も受講することができる。会社の経営者層が基本的な対象ではあるが、将来経営者になりたい人、また会社から経営層を目指すように言われている人も受講できるものだ。

 

この講義は3日間あるのだが、とても有意義な内容だ。前・日管協会長のアミックスの末永照雄社長と私とで二人で講師をしているが、講師自身が講義しながら大変勉強になっている。我々は日々、業務に追われているので、「経営」について根本から考える余裕はあまりない。

このプログラムでは3日間で、それをすることになる。「①経営理念・ビジョン」、「②組織・人事」、「③人材育成」、「④事業戦略」、「⑤企業倫理・顧客サービス」の5つのレッスンがある。読者の会社には「経営理念」はあるだろうか。

 

これがないと、日々の業務を行いながら、自分はいったい何をしているのだろう。何を目指しているのだろうか、と不安になってブレてしまう。スタッフ全員の共通の理念が欲しい。「組織・人事」、これは特にサービスを売っている賃貸管理業においては、人こそが「資産」であり、一番大事なものだ。

 

IREMでは、「従業員を顧客のように扱え」と教える。深い言葉である。「人材育成」は、後回しにされたり、忘れがちな事柄だが、キチンとした教育プログラムを用意されている会社は成長する。

 

そして、マネジメント層の育成がとても重要である。部署ごとのマネージャー・リーダーの次の後継者は決まっているだろうか。プレーヤーとしての優秀さとマネジメントの能力はまったく別物だ。

 

「事業戦略」、2020年は大きな時代の転換点にあるといえる。日本は人口減をかかえ、経済のダウンサイジングの時代に入る。自社のビジネスモデルを今後どう構築するのかが問われる。「企業倫理・顧客サービス」では、生き残る会社というのは、どういう会社かを考える。

5つのレッスンはどれも示唆に富んだものである。賃貸管理会社の「経営」を考えさせるセミナーは他にはあまりないと思う。貴重はセミナーなので、来年はぜひ受講してもらいたい。また、講義終了後も自社の改革案の進捗のマネジメントが講師によってなされるのが特徴だ。

今年6月には、所謂「賃貸住宅管理業法」が成立した。これは我々の業界にとって50年か100年に1回の大きな出来事だ。変化の時代に、会社を成長させたいものだ。

 

過去に開催されたセミナー。末永氏と一緒に講師を務めた

 


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