全国賃貸住宅新聞

公開日:2021年7月12日

第149回 中途採用活動のコストと採用率

第149回 中途採用活動のコストと採用率
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意外と割高ではない紹介

コロナ下で優秀人材のエントリー減少

今回は、弊社の人事部の資料を基に解説してみたいと思う。

 

あくまで東京都新宿区所在の弊社のここ3年の中途採用活動のデータであるが、ひとつの参考にしていただきたい。また「新卒」は含まない。

 

まず、採用にかかるコスト(表1)だが、全職種平均のコストは社員1名の採用当たり

約123万円であった。

内訳は求人広告費は111万円、それに採用に関わったスタッフの人件費を計算すると12万円ほどである。

 

また、職種別には事務職は80万円ほどだが、営業職は一番高く188万円ほど、また専門職も150万円ほどであった。

 

専門職とは、グラフィックデザイナーやライター、映像クリエイターなどのスタッフ、また経理職やSEも含む。

 

営業職の採用は年々厳しくなってると感じている。よってコストもかかるし、表2にもあるように募集から決定までの期間も154.3日と平均約5ヶ月もかかってしまっている。

 

専門職も4ヶ月かかり、事務職は2ヶ月である。

 

また、求人の方法には、通常の求人ポータルサイトに掲載する方法と人材紹介会社から紹介を受けて採用が決まったときには年収の3割程度を払う仕組みがあるが、コストは結果的にはどちらも120万円強であり(表3)、ほぼ同じであった。

紹介型のほうがコストが高いような気がしていたが、掲載型は採用決定の確率が低いので何回も広告を出さなくてはならなかったり、また表4にあるように、書類選考をしたり面接対応をしたりする各部署の所属長の拘束時間が長いので、その分人件費のコストがかかるのだ。

 

人事部のスタッフのコストはこれに含んでいないので、掲載型はもっとコスト負担がある可能性がある。

 

「紹介型」はけして高くはない、ということがわかった。

表5は、「エントリーに対する採用率」である。

職種別と経験者、未経験者別、また媒体別に表わしている。

 

全平均はたった「0.6%」であった。書類選考からはじまって面接を1次、2次と行い、内定を出しても辞退する方もいて、最終的に入社するのは、1000人に6人167人にたった1人である。

 

これは弊社が妥協をせずに一定のレベルの質を保とうとしているせいもあるかもしれない。しかし、採用活動において妥協は禁物である。

 

現場から人が足らないから早く採用してほしいという声が聞こえてくると、つい「まあ、いいか」となって、今一つ物足りない人を採用してしまう。入社させてみたら、やはり能力や人柄に問題があって指導に時間がかかるし、まわりも迷惑する。

 

彼(彼女)にも良いところがあるからと言ってずるずる我慢していると、結局本人から「辞めます」と大体2年くらいで言ってくる。2年くらい経つと、まわりも正体がわかってきて諦めてくるし、本人も「バレたな」と思って(笑)辞めることにする。

 

転職を繰り返す人を企業が採らない理由はそういうことだ。厳しい言い方かもしれないが、「間違って採用されてしまった人」がいられる期間が大体2年なのである。

 

その2年間の指導に使った人件費その他と本人に払った経費を考えると軽く1000万となる。多少は役にはたったのだから、全部無駄とは言わないが、経営者としては虚しい。

 

だから、「妥協」してはいけないのだ。2年で辞めてしまう人を採らないためには、会社の「条件」「社風」「制度」で差をつけるしかない。

 

たとえば、年間休日日数が120日(完全週休2日+祭日16日分休み)無いとか、有給が使えない、とかやっていれば、そりゃ良い人はこないでしょう。

表6はコロナ禍における求人状況の変化である。

 

2020年3月以前と以降ではエントリーが1.4倍に増えた。

 

しかし、書類選考通過率もエントリーに対する採用率も半分以下になった。コロナでエントリーは増えたが、質が悪い。

 

これは、コロナ禍で影響を受けた職種の方々が転職マーケットに出てきているが、キャリアのあまりない方が多いと分析できる。参考になったであろうか。

 


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