全国賃貸住宅新聞

公開日:2023年3月13日

第166回 「仕事ができる人は情報量が多い」

第166回 「仕事ができる人は情報量が多い」
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「おもいこみ解消」が学ぶ意義

知識量が判断能力高める

「仕事ができるとはどういうことか?」を知るのは私のライフワークである。

 

前回、前々回の連載で、「知識の重要性」を問うた。会社は明るく元気でコミュニケーション能力の高いスタッフをまず求めるが、最終的には「勉強しない」スタッフは残れない。

 

世に出回っている所見としては、「コミュニケーション能力」が仕事には最も重要みたいに言われている。

 

企業の採用担当者が新卒採用者に求めるものの一番は「コミュニケーション能力」だというが、はたしてそうだろうか。最近、疑問に思っている。

 

そもそもコミュニケーションを取るためには、「情報」がなくては成り立たないではないか。

 

情報とは知識である。相手と話す内容が問題だ。いつも昨日の晩は何を食べた、というような話しばかりでコミュニケーションが取れるわけもない。

 

当社にも明るくノリが良くてお客さんに愛されるスタッフが過去に何人もいた。仕事熱心でもある。

 

しかし、若い頃は可愛がられていいのだが、だんだん年齢を重ねていって難度の高い仕事を任されるようになったときに、それだけでは許されなくなってゆく。知識不足で説明の内容が浅かったり、質問に応えられなかったりすればクライアントからの信頼がなくなっていく。

 

毎回、上司に同行してもらって代りに説明をしてもらうわけにはいかないのだ。

 

勤務年数が経ってくれば、マネジメントの側にも立たなくてはいけなくなる。マネジメントまでいかなくとも後輩ができたりする。

 

そうしたときに、自社商品をロジカルに説明する能力や、こういう指摘をされたときはこういう「切り返しトーク」があるよ、と教えなければいけない。

 

残念ながら結局、知識がない人は辞めていってしまう。知識を習得すれば、仕事が楽しくなっていくものなのに。

 

特に、我々のように不動産資産を扱う仕事に就いているものは、膨大な知識を要求される。今更ながら、結構大変な業界にいると思う。

 

仕事ができる人はおしなべて情報量が多いと思う。

 

そして、情報を多く取得するから「考える力」も必然的についてゆく。

 

もちろんいくら物知りでも知っているだけで「なんでこうなるんだろう」という疑問を持って情報にあたらない人はだめだが。

 

情報を多く取る人は基本的に好奇心も強いだろう。好奇心が強い人は仕事もできると思う。

 

読書をよくして、ネットニュースからもよく情報を取っている物知りな人は判断能力も高いような気がする。

 

知識・情報を得るためには大きく3種類あると思う。

①読書(ネットを含む)

②人と会って話しを聴く(セミナー受講も)

③出かける(旅に出る)

3つだ。

 

これらによって、世の中にはこんな考え方もあるのだとか、自分の知らない世界があるんだなあとか、この人はこの点でいろいろ知識があって凄いなあとか、感じることができる。これはある意味自分を客観視していることだ。

 

他人と自分を比べてここが違う、自分のここが他人に比べて劣っている、まだ知らないことがある、自分の考えが間違っているかもしれないと自分を俯瞰することなのだ。自分の主観の狭さを理解することが大事だ。「学ぶこと」の意義がここにある。情報量が少ない人は、狭い世界しか知らず「思い込み」が多い。

 

以前いたスタッフとの間でこういうことがあった。当社で経営している宿泊施設で、宿泊者に貸し出していた自動車に700円が残してあった。

 

するとそのスタッフは、帰京した宿泊者に700円をお忘れではないですか、と親切に連絡を取った。

 

宿泊者は知らないと答えたのだが、私は宿を離れた宿泊者には連絡を取ってはいけないと注意した。それらの理由を書いてあるサイトのURLを送ったりして。しかし、スタッフは、頑としてきかない。

 

宿泊者のためにならない、誠意がない会社だと反論し、なじるのだ。

 

私は呆れて「連絡を取ってはいけないのは、ずばり不倫があるからだよ」と言った。

 

私もいままで数多くのホテルに泊まってきたが、たまには忘れ物をする。しかし、一度たりとも連絡が来たことはない。それが宿泊業の暗黙のルールだ。

 

不倫がいいかどうかは別にして、そういうセンシティブなことが世の中にはあるのだから、仕方がない。

 

そのスタッフは、残念ながら数少ない自分の経験の中で、こうするのが最善であると思い込んでいるのだ。その人は、極端にものを知らない人だった。ものを知らない人、つまり知識・情報量が足らない人は思い込みが強い。人柄はいい人なのだが、時として自分の考えに固執する。

 

 

 

 仕事ができるとは、「仕事のセンスがいい」とも言い換えることができる。

 

仕事のセンスは「知識」で身につく、という人もいる。確かにそうだ。しかし、完全に言い切れないとも思う。

 

センスのいい人は、業務の中で何かの問題に「気づく」。そして、「改善案」を出すことができて、自ら「実行」できる。最高のスタッフだ。

 

楠木建さんの著作のなかで、こういう話しがある。

 

機上での食事のリクエストで「カレー」か「チキン」かを前から順番にCAが聞いてきた。いつもカレーのほうが人気があって、早くなくなるのだそうだ。

 

それでCAはとても丁寧に申し訳ありません、と謝罪を完璧にするのだそうだ。でも彼は、毎回カレーが先になくなるのなら、なぜそのCAはカレーとチキンの割合を5:5でなくて7:3にしたほうがいいと会社に提案をしないのだろうと思ったとのこと。

 

これが「仕事のセンス」ではないかと。

 

①「いつもカレーが先になくなる」と気付き、よって

②「カレーとチキンの割合をかえたほうがいい」と改善案を考案し、それを

③「会社側に提案する」という「実行」がないのである。

 

この「気づく」能力だが、知識の量だけでは解決できないように思う。

 

「観察力」「状況判断力」「適度な恐怖心」「問題意識」「当事者意識」「やる気」「向上心」「相手を慮る気持ち」といったものもなければだめだと思う。これは知識以前の問題か。

 

スタッフには2種類ある。「問題解決型スタッフ」「作業ワーカー」だ。作業ワーカーは言われたことは真面目にやるが、「気付き」「改善提案」はない。これらの人たちが、さらなる知識やマネジメント能力の習得までをしないとなれば、それはいつかAIやロボットに取って代わられるかもしれない。

 


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