企業側の求人需要拡大
新卒採用には業界の展望説明
以前より会社で一番大事な仕事は「採用」ではないかと述べてきた。
特に、我々はモノでなくサービスを売っている業種であり、そのためには人材こそが会社で最重要なものだからだ。
そして、中途採用も悪くないが、できれば新卒社員を多く採っていきたいものだ。
社会人になった入社当初は仕事にも慣れず戦力にはならないが、最初からしっかり指導・教育すれば、中途採用より仕事ができる人材になる可能性が高いし、会社へのエンゲージメント(会社との関係性)も高いからだ。
今年の23年卒の採用は、どの会社も採用に苦労したようである(図表1)。
マイナビによると、約50%の企業が「前年より厳しかった」と答えた。
前年の22%増である。実際、当社も芳しくなかった。原因はいろいろ考えられる。
まず、単純に需給バランスの問題だろう。
コロナが終息して企業側の求人需要が全体的に高まった。
また、コロナ禍の影響で学生もオンライン面接が主流だったものからリアルなものに戻ったのだが、3年間の自粛生活の中で先輩からの就活のノウハウがうまく継承されておらず、戸惑っていたのではないか。
また企業側も手応えがないままだったとのこと。
そもそも、出生数の減少で年々若い人は減っており「新卒の取り合い」になっている。少子化は深刻な問題で、40年前の1882年は151万人産まれていたのに、昨年2022年は遂に80万人を切ってしまって約半分(52.7%)になってしまっているのだ。
図表2は、「24年卒の就職内定の獲得率」の調査結果だ。軒並み前年比アップである。
来春2024年の就職予定新卒の約半分の学生が1年前にどこからかは内定通知をもらっているというのだ。
ちょっと驚きである。うかうかしていられない。
今の学生は大学3年生の段階で当たり前のように、就職活動を始めている。
政府の推奨スケジュールでは、「内定」通知は大学4年次の6月としている。しかし、実際にはその半年前以上から企業は内定を出しているのだ。
大学3年次の6月くらいからインターンシップ(就業体験)が始まるが、学生の82.6%はインターンに参加経験があると答え、平均の参加社数は5社だという(マイナビ調査)。
インターンはその会社が実際に自分に合うかどうか、また就業体験を通じて本当に自分がしたいことはなんなのかの自己分析を行うことができる良い制度だと思う。
しかし、実態として企業側はインターンと称しているが、これは事実上の会社説明会であり選考を兼ねた「企業の囲い込み」戦略の一環である。
事実、学生の35%が大学3年次の10月の時点で本選考を受けたことがあると言っている(デアイバカンパニー調査)。
24卒はもちろん、25卒に関してもコロナも終息したこともあり、企業側が早期に面接を実施しているとのことだ。
本選考とは書類選考を経て筆記試験、そして複数回の面接のことをいう。
どんどん若い人が減っている現在の日本の状況において、企業側の都合としては致し方ないことだとおもう。
そして、就活イベントに実際に参加した感覚としては、3年次のうちから動いている学生のほうが、4年次から動いている学生より「キレ」があるというか、印象が少々いいのだ。
いちがいには言えないが、「意識が高い学生」であると言える。
このような状況のなかで、我々不動産業界、そして賃貸管理業界(最近、外では「賃貸経営管理」、もしくは「プロパティ・マネジメント」業界というように心がけている)の学生の志望及び採用状況はいかがだろうか。
学生からみて一般に不動産業界は「ブラック」で、つまり「残業が多くて休みが少なく」、「営業ノルマ」がきつく、「社風も昭和な感じ」だというふうに思われてはいないだろうか。
図表3は私が肌で感じる新卒学生が就活において気にしているポイントだ。我々は、これらの項目に真剣に取り組んでいかなければいけないと思う。
業界全体を人気業種にしなければ、そしてそれはできると思う。学生に説明するときに、「賃貸経営管理とはなにか!」とか言ってもすぐに理解などしてもらえない。
それより、この表にあるような内容のことを話すと「食いつきがいい」のだ。そして、この業界の将来性の明るさ、またこれから会社をどんどん大きくするというようなことをいう。
割と好評だ。この前のイベントには10社参加していたが、うちに一番学生が集まった。
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