宅建業法

【民法改正対応】「 営業保証金 」「保証協会」はこれで解決! |WEB宅建講座スタケン

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こんにちは!

前回は宅建士の出題分野のうち、届け出と事情変更の比較についてお伝えしました。

 

宅建業法の第6回目となる今回は「 営業保証金 」「保証協会」について、取り上げていきます。

では、さっそく一緒に見ていきましょう。

営業保証金とは

宅建業は主に宅地を取り扱うこともあり、取引金額が必然的に大きくなります。

ですから、万が一なにか問題が生じると、顧客に多大な損害を与えてしまう可能性もゼロではありません。

 

そんなとき、宅建業者が顧客に対して損害を埋め合わせるだけの資金を持ち合わせていなかったら、大変ですよね。

そこで、宅建業者が業務を始めるためには一定のお金を供託所に預けなければならない旨のルールを設けました。

 

これを「営業保証金制度」といい、顧客が損害を受けて宅建業者がお金を払えない状況になったとしても、そこからお金を支払うことができます。

供託する金額について

供託とは、お金や有価証券を供託所(法務局など)に預けておくことを指し、以下の金額を主たる事務所の最寄りの供託所に供託しなければなりません。

 

主たる事務所:1,000万円その他の宅建業を営む事務所:500万円×事務所の数

もし、主たる事務所の他に宅建業を営む事務所を2つ持っていた場合には2,000万円を供託する必要があります。

 

また、供託方法はお金でも有価証券でもどちらでも構いませんが、有価証券の場合は次のように評価額が異なるので注意しましょう。

  • 国債証券:額面通り(100%)
  • 地方債証券・政府保証債証券:額面の90%
  • その他の有価証券:額面の80%

例)1,000万円を地方債証券で供託した場合、評価額は900万円となる

宅建業を開始するまでの流れ

宅建業者は免許を取得しただけでは、事業を始めることができません。

 

免許を取得してから宅建業を始めるまでの流れは、次の通りです。

  1. 免許を取得する
  2. 供託する
  3. 供託したことを免許権者に届け出る
  4. 事業を開始する

この際、免許権者は免許を与えた宅建業者が3カ月を経過しても「供託をした」と報告をしてこない場合、催告をする義務があります。

 

催告をしてから1カ月が経過しても、届け出がない場合にはその宅建業者の免許を取り消すことが可能です。(免許取り消しは催告と異なり、任意です)

事務所を新設した場合の扱い

既存の事務所に加え、新たに事務所を開業した場合には、主たる事務所の最寄りの供託所に追加でお金を納める必要があります

 

また、追加の供託をした旨を免許権者に届け出た後でなければ、新たに設置した事務所で業務を開始することはできません。

保管替えについて

営業保証金を供託した後に、主たる事務所の移転によって最寄りの供託所が変更となった場合、新しい供託所に営業保証金を供託しなければなりません。

この際に、供託した金銭を新しい供託所に移し替える手続きを「保管替え」と呼んでいます。

 

保管替えは「金銭のみ」を供託している場合にのみ行うことができます

有価証券で供託をしている場合には保管替えをすることはできません。新たに供託したあとに元の供託所から取り戻す必要があることを覚えておきましょう。

 

保管替えは事務所の移転後、遅滞なく行う必要があります。

営業保証金の還付

還付とは、宅建業者との取引の中で損害を被った者が、その損害額を営業保証金から弁済してもらうことを指します。

 

ここで大事なのが、還付を受けられるのは「宅建業者と宅建業の取引をした者」だという点です。(電気工事や水道工事を実施した業者は、還付の対象外となる)

また、還付があった場合、不足した供託額を補充しなければなりません。

 

宅建業者は免許権者から、「(還付によって)供託金が不足しているよ!」といった通知があった日から2週間以内に供託所に供託する必要があります。

そして、宅建業者は不足金を供託してから2週間以内に、その旨を免許権者に届け出なければなりません。

保証協会とは

先に述べたように、宅建業を営むためには営業保証金を決められた額、供託する必要があります。

 

とはいえ、供託の金額が大きいことから、そこまでお金を貯めるのが大変だと感じる人も多いですよね。

そこで、登場するのが「保証協会」という制度です。

 

保証協会制度においては、供託金の名称が「弁済業務保証金分担金」へと変わります。

 

保証協会は宅建業者のみが加入できる一般社団法人であり、以下の2種類があります。

  • 全国宅地建物取引業保証協会(ハトのマーク)
  • 不動産保証協会(ウサギのマーク)

宅建業者は上記いずれかの保証業界に入会すると、営業保証金の供託が免除されます。(保証協会に加入した宅建業者は「社員」と呼ばれる)

 

また保証協会に加入を希望する場合には、加入する日までに弁済業務保証金分担金を以下の金額、保証協会に納めなければなりません。

  • 主たる事務所:60万円
  • その他の事務所:30万円×事務所の数

上記の金額が納付された後、保証協会は1週間以内に納付されたお金に相当する額を供託所に供託します。(このお金を弁済業務保証金といいます)

 

★ここに注意!

保証協会→供託所へ支払うお金=弁済業務保証金

宅建業者→保証協会へ支払うお金=弁済業務保証金分担金

 

そして、供託した後で保証協会はお金の出資元である宅建業者の免許権者に対し、供託した旨の申し出をすることも押さえておきましょう。(宅建業者が申し出るわけではないことに注意)

 

なお、弁済業務保証金分担金は現金のみ、弁済業務保証金は金銭又は有価証券で納付が可能です。

★違いをおさえよう

宅建業者が保証協会に収めるお金:現金のみ

保証協会が供託所に収めるお金:現金+有価証券アリ

事務所を新設した場合の扱い

新たに事務所を設置した場合には、設置した日から2週間以内に追加分の弁済業務保証金分担金を保証協会に支払う必要があります。

 

万が一、期限内に支払いをしなかった場合には社員の地位を失う恐れがあるので気を付けましょう。また、社員の地位を失ってもなお、宅建業を続けていきたい場合には、失ってから1週間以内に金銭を供託し、その旨を届け出なければなりません。

弁済業務保証金の還付について

保証協会に加入している宅建業者と取引をし、損害を被った者は、弁済保証金で弁済してもらうことができます。

弁済を受けるためには保証協会の認証を受け、それから供託所に還付請求をすることになります。

ここでいう損害を被った者の中には、宅建業者が保証協会に加入する前(社員になる前)に取引をしていた人も含まれるので注意してください。

 

還付額は営業保証金を納付していた場合と同等になります。

例)弁済業務保証金分担金を120万円支払っている宅建業者と取引をした顧客は、いくらまで還付を受けられるか。

弁済業務保証金120万円の内訳は、主たる事務所1つ(60万円)に、支店が2カ所(30万円×2)となる。

 

上記をもし営業保証金で支払ったと仮定すると、

主たる事務所(1,000万円)+その他の事務所(500万円×2)=2,000万円

つまり、2,000万円の範囲内で還付を受けることが可能

不足分の補充

還付をしたことにより、弁済業務保証金が不足した場合には、次の手順で資金を補充します。

  1. 国土交通大臣が保証協会に不足した旨を通知
  2. 保証協会が通知を受けた日から2週間以内に追加で供託する
  3. 保証協会が宅建業者(社員)に不足が生じた旨を伝える
  4. 宅建業者は通知を受けてから2週間以内に不足額を保証協会に納付する

万が一、期限内に支払いをしなかった場合には社員の地位を失う恐れがあるので気を付けましょう。

また、社員の地位を失ってもなお宅建業を続けていきたい場合には、失ってから1週間以内に営業保証金を供託し、その旨を届け出なければなりません。

弁済業務保証金の取り戻し手順

宅建業者が保証協会の社員で無くなった場合には、保証協会は供託所から弁済業務保証金を取り戻すことができます。

ここで押さえておきたいのが、あくまで弁済業務保証金を取り戻せるのは保証協会であり、宅建業者ではないという点です。

 

また、取り戻し方もケースごとに異なるので、下図で確認しておいてください。

  • 保証協会の社員ではなくなった場合:保証協会が6カ月以上の期間を定めて公告
  • 一部の事務所を廃止した場合:公告せずに直ちに取り戻すことができる

まとめ

今回は、営業保証金と保証協会についてお伝えしました。

両者が混同してしまうケースが非常に多く見受けられる分野でもありますので、それぞれの役割をきちんと押さえたうえで、細かな数値や日程感を押さえていくようにしましょう。

次回は「媒介、代理契約」についてお伝えします。

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織瀬ゆり

織瀬ゆり

某信託銀行退職後、フリーライターとして独立。在籍時代は、株式事務を中心に帳票作成や各種資金管理、顧客対応に従事。宅建士およびFPなど複数資格を所持しており、金融や不動産ジャンルを中心に幅広いジャンルで執筆活動を行っています。プライベートでは2児の母として育児に奮闘中。

-宅建業法

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