宅建業法

宅建業法「営業保証金」と「保証協会」の違いを徹底解説

投稿日:2020年7月10日 更新日:




宅建業法の中でも、毎年のように出題される「営業保証金」と「保証協会」

流れが複雑で数字も似ているため「苦手」とする人も多いのではないでしょうか。

そこで、この記事では営業保証金と保証協会について、それぞれの違いや試験で問われやすいポイントに注目しながら解説します。

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営業保証金とは

営業保証金とは、宅建業者と顧客で宅建業の取引をした際、万が一なにか問題が生じて顧客に損害を与えてしまった場合に、営業保証金から弁済して顧客を救済するためのお金です。

営業保証金の供託

供託とは、金銭や有価証券を主たる事務所(本店)最寄りの供託所に預けておくことを言います。

主たる事務所の最寄りの供託所に供託する金額を表にまとめました。

営業保証金の金額 主たる事務所:1,000万円

その他の宅建業を営む支店:事務所ごとに500万円

有価証券で供託する場合 営業保証金は、金銭以外に有価証券でも供託することができる。

ただし、有価証券の場合は評価額が異なる。

●      国債証券:額面金額(100%)

●      地方債証券・政府保証債証券:額面の90%

●      その他の有価証券:額面の80%

たとえば、本店と宅建業を営む支店が3店舗ある場合、営業保証金の金額は「2,500万円」です。

営業保証金2,500万円の供託例は下記のようになります。

  1. 現金で供託:現金2,500万円
  2. 国債証券で供託:国債証券額面2,500万円
  3. 地方債証券で供託:地方債証券額面2,500万円+現金250万円

宅建業を開始するまでの流れ

ここでは、宅建業者が免許を取得してから、宅建業を開始するまでの流れを説明します。

  1. 免許取得
  2. 営業保証金の供託
  3. 供託したことを免許権者に届け出る
  4. 事業開始

免許取得から事業開始までの流れは、宅建試験でも問われやすいので必ず覚えましょう。

この際に、免許権者は、宅建業者に免許を与えた日から3ヶ月以内に「供託をした」との届け出がない場合、その宅建業者に届け出を催告をする義務があります。

そして、催促が到達してから1ヶ月以内に宅建業者が届け出をしない場合は、免許権者は免許を取り消すことが可能です。(免許取り消しは任意)

上記の「免許を与えた日から3ヶ月以内」「催促が到達してから1ヶ月以内」という数字は、試験でも問われやすいです。

支店を設置した場合の流れ

既存の事務所に加え、新たに支店を設置する場合には、主たる事務所の最寄りの供託所に追加で営業保証金を供託する必要があります。

新たに支店を開業する場合の流れはこちらです。

  1. 営業保証金の供託
  2. 供託したことを免許権者に届け出る
  3. 事業開始

ポイントは、新たに設置した支店であっても、供託の届け出をするまでは業務を開始できないことです。

保管替えと新たな供託

営業保証金を供託した後に、主たる事務所の移転によって最寄りの供託所が変更となる場合は、①保管替えの請求、又は②新たな供託をします。

①営業保証金を「金銭のみ」で供託している場合、宅建業者は遅滞なく、供託所へ供託した金銭を新しい供託所に移し替える手続きをしなければなりません。

この手続きを「保管替えの請求」と言います。

②営業保証金を「有価証券のみ」「有価証券と金銭」で供託している場合は、宅建業者は遅滞なく、新しい供託所に営業保証金を供託しなければなりません。

新しい供託所に営業保証金を供託した後、移転前の営業保証金を取り戻します。

②の場合には、一時的に供託金が2倍必要になることを覚えておきましょう。また、宅建業者は①保管替えの請求、又は②新たな供託をした際には、免許権者にその旨を届け出ます。

営業保証金の還付

還付とは、宅建業者と宅建業に関して取引をした中で損害を被った者が、その損害額を営業保証金から弁済してもらうことを指します。

ここで重要なのが 「宅建業者と宅建業に関して取引をした」という点です。

たとえば、宅建業者と取引をした電気業者や広告業者は、もし損害を被ったとしても還付対象外になります。

不足額の供託

営業保証金の還付があった場合、宅建業者は不足した供託金を補充しなければなりません




営業保証金が不足すると、免許権者から宅建業者へ宛てて、不足額を供託すべき旨の通知書が送られます

宅建業者は、その通知を受け取った日から2週間以内に不足額を供託所に供託し、供託した日から2週間以内に、その旨を免許権者に届け出る必要があります。

ここで登場する「2週間以内」という期間も問われやすいので、いつから2週間なのか、正確に覚えましょう。

保証協会とは

宅建業を営むためには営業保証金を供託する必要がありますが、供託額も大きく、宅建業者自ら届け出をしなければならないため、負担に感じる人も多いです。

そこで、営業保証金制度と同じ役割を果たす「保証協会」に加入すれば、営業保証金を供託せずに事業を開始することができます。

保証協会は2つあり、宅建業者は1つの保証協会の社員となった場合、重複してもう1つの保証協会に加入することはできません。

(宅建業者が保証協会に加入すると社員と呼ばれます)

済業務保証金分担金の納付

保証協会では、供託金ではなく「弁済業務保証金分担金」と呼びます。

弁済業務保証金分担金の納付ルールを表にまとめました。

納付する者 納付期限
保証協会に加入しようとする宅建業者 加入する日まで
弁済業務保証金分担金の額 ●      主たる事務所:60万円

●      その他の支店:30万円

弁済業務保証金分担金を納付後に、新たに支店を設置した場合 新たに支店を設置した日から2週間以内に1店舗につき30万円納付

(2週間以内に納付しなければ、社員の地位を失う)

弁済業務保証金分担金の納付は金銭のみで、有価証券は認められていません。

宅建試験では「営業保証金を供託する場合」と「保証協会に加入する場合」の違いを問われやすいです。

分担金金額や、事業開始までの流れ、支店を設置する際の違いに注目して覚えましょう。

弁済業務保証金の供託

保証協会は、社員から弁済業務保証金分担金が納付された場合、1週間以内に納付されたお金に相当する額の弁済業務保証金を供託所に供託します。

弁済業務保証金分担金は金銭で納付ですが、弁済業務保証金は金銭又は有価証券での供託が可能です。

さらに、保証協会が供託所に供託したときは、保証協会が社員の免許権者に対し供託した旨を届け出ます。

宅建業者ではなく、保証協会が届け出ることに注意しましょう。

弁済業務保証金の還付

保証協会に加入している社員と宅建業に関する取引をし、損害を被った者は、弁済保証金から弁済を受けることができます

弁済業務保証金還付のポイントは3つです。

  • 「損害を被った者」には、宅建業者が保証協会に加入する前に取引をしていた人も含まれる
  • 弁済を受けるためには、保証協会の認証を受けたあと、供託所に還付請求をする
  • 還付の額は、営業保証金を供託していた場合と同じ金額

ここでは、弁済業務保証金分担金を150万円納付している社員と取引をし、還付を受けることになった場合、いくらまで還付を受けられるか見ていきましょう。

弁済業務保証金150万円の内訳は、主たる事務所60万円+支店3店舗90万円(30万円×3)です。

150万円を営業保証金で供託していたとすると、主たる事務所1,000万円+支店3店舗1,500万円(500万円×3)=2,500万円

つまり、2,500万円の範囲内で還付を受けることが可能となります。

弁済業務保証金の不足分の供託

還付に伴い弁済業務保証金が不足したときは、下記の手順で不足分を供託します

  1. 国土交通大臣が保証協会に弁済業務保証金の不足を通知。
  2. 保証協会は、通知を受けた日から2週間以内に不足分の弁済業務保証金を供託し、社員の免許権者に供託をした旨を届け出る。
  3. 保証協会は、社員に不足が生じた旨を通知。
  4. 社員は通知を受けてから2週間以内に不足額を保証協会に納付。

もし、2週間以内に不足額を保証協会に納付しなかった際には、社員の地位を失います

社員の地位を失ってからも宅建業を営むのであれば、地位を失った日から1週間以内に営業保証金を供託し、その旨を届け出なければなりません。

まとめ

  • 営業保証金の金額は「主たる事務所1,000万円」「その他の支店500万円」有価証券での供託も可能
  • 宅建業は、営業保証金を供託し、供託したことを免許権者に届け出てから事業開始となる
  • 営業保証金の不足額は、通知を受け取ってから2週間以内に供託する
  • 弁済業務保証金分担金の金額は「主たる事務所60万円」「その他の支店30万円」納付は現金のみ

営業保証金と保証協会は、毎年のように試験に出題される項目です。細かい数字を問われることも多く、正確に理解しておく必要があるでしょう。

まずは、それぞれの役割と還付までの流れに注目して違いを理解してから、細かい数字を覚えるのがおすすめです。

繰り返しポイントを確認して、理解を深めましょう。

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織瀬ゆり

某信託銀行退職後、フリーライターとして独立。在籍時代は、株式事務を中心に帳票作成や各種資金管理、顧客対応に従事。宅建士およびFPなど複数資格を所持しており、金融や不動産ジャンルを中心に幅広いジャンルで執筆活動を行っています。プライベートでは2児の母として育児に奮闘中。

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