宅建業法

【宅建業法解説】頻出問題「報酬額の制限」について徹底解説!

投稿日:2020年8月14日 更新日:




宅建受験者の中でも、苦手とする人が多いのが「報酬額の制限」の分野です。宅地建物取引に関する実務に携わっていたり、法律を学んでいない限り、条文はもちろん聞き慣れない法律用語が理解できず、苦手意識を持ちやすいでしょう。

また、実際の実務でも関係してくるのが、この制度です。この記事では、宅建業法の「 報酬額の制限 」について解説します。

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報酬とは

報酬とは、宅建業者が媒介や代理を行って契約を締結した際に依頼者からもらう金銭のことで、仲介手数料のことを指しています。

仲介手数料には上限が定められていることに加え成功報酬となっています。

そのため、契約が無事成立し、物件の引き渡しがなされてはじめて仲介手数料が支払われます。

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必要経費について

宅建業者は依頼者に対して、報酬とは別に金銭の請求をすることはできません。ただし、依頼者側の依頼によっておこなった特別な広告や調査費用があれば、その分について報酬と別に請求をすることは認められています。

これはあくまで実費の範囲に限ります。実費を超える料金については請求できません。また補足ですが、依頼によって行われた広告にかかった費用は、契約に繋がらなくても請求することができます。

例えばこのような問題が出題されます。

問題:店舗用の建物を借りる場合、宅建業者は貸主の依頼に基づくことなく広告した場合でも、その広告が賃貸借契約の成立に寄与したときは、報酬とは別に、その広告料金に相当する額を貸主に請求することができる。

答え:誤り

依頼がないと報酬とは別に請求することはできません!

今は簡単!と思うかもしれませんが問題の選択肢の一つとして混ざっているとわからなくなりがちです。着実に慎重に解いていきましょう。

報酬額の制限(売買・交換)

売買・交換における報酬額の上限は、以下の計算式によって求めることができます。

代金額 計算式
400万円超 取引価格×3%+6万円
200万円超〜400万円以下 取引価格×4%+2万円
200万円以下 取引価格×5%

 

この計算式で求められた金額を超えて、報酬を受け取ることはできません。

売買の媒介

売買の媒介において依頼者から受け取ることができる金額は、先ほど求めた「基準額」が限度となります。

ここからは図解を交えながら、見ていきましょう。

上記において、宅建業者が3,000万円の土地の売買を媒介したとしましょう。

その際、3,000万円×3%+6万円で96万円を上限として、宅建業者Bさんは売り主Aさんに仲介手数料を請求することができます。

このとき、買主Cさんは宅建業者に特に何も依頼を行っていませんので、当然のことながら仲介手数料を支払う必要はありません。

次に、宅建業者が売主と買主の双方から依頼を受けていたらどうでしょうか。

この場合、宅建業者Bさんは双方から媒介依頼を受けていることになり、双方から仲介手数料をもらうことができます

さきほどの例でいえば、3,000万円の土地を売買した場合における仲介手数料の上限は96万円であり、これを売り主Aと買い主Cのそれぞれから受領できることに。

つまり、宅建業者Bさんは合計で192万円を上限として仲介手数料を受領できるようになります。

売買の代理

上記において、宅建業者が3,000万円の土地の売買を代理したとしましょう。

その場合、3,000万円×3%+6万円の96万円。その2倍の192万円までAさんから仲介手数料をもらうことができます。では、ここでもまたAさんとBさんの双方から依頼を受けていたらどうなるでしょうか。

この場合、代理契約でしかもAB両方からの依頼となるため、合計4倍の仲介手数料を受領できそうな気がしてしまうかもしれません。

しかし、実際はそうはいかず、1つの取引について全体で2倍までしか報酬(仲介手数料)を受け取ることができません。

そのため、仮に宅建業者Bさんが売主Aさんから192万円を受領した場合、買主Cさんから仲介手数料を受領することはできません。

交換の媒介・代理について

交換する2つの物件に代金差が生じるときは、高いほうの価格を用いて先ほどと同じように計算します。上限も売買の媒介・代理と同じです。

例:甲土地(1,000万円)と乙土地(2,000万円)を交換する場合→2,000万を基準に報酬を計算する

複数の宅建業者が関わっていた場合も、一方から受領する額の上限、両者からあわせて受領できる額の上限は変わりません

低廉な空家等の売買・交換取引における媒介報酬額について

低廉(値段が安い)な空き家では売主から多く報酬をもらうことができます。こちらは平成30年に施行された空き家問題を解消するため特例です。

国土交通省告示第1155号 平成30年1月1日施行

第7 空家等の売買又は交換の媒介における特例

低廉な空家等(売買に係る代金の額(当該売買に係る消費税等相当額を含まないものとする。)又は交換に係る宅地若しくは建物の価額(当該交換に係る消費税等相当額を含まないものとし、当該交換に係る宅地又は建物の価額に差があるときは、これらの価額のうちいずれか多い価額とする。)が400万円以下の金額の宅地又は建物をいう。以下「空家等」という。)の売買又は交換の媒介であって、通常の売買又は交換の媒介と比較して現地調査等の費用を要するものについては、宅地建物取引業者が空家等の売買又は交換の媒介に関して依頼者(空家等の売主又は交換を行う者である依頼者に限る。)から受けることのできる報酬の額(当該媒介に係る消費税等相当額を含む。以下この規定において同じ。)は、第2の規定にかかわらず、第2の計算方法により算出した金額と当該現地調査等に要する費用に相当する額を合計した金額以内とする。この場合において、当該依頼者から受ける報酬の額は18万円の1.08倍に相当する金額を超えてはならない。

引用:国土交通省 宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額(昭和四十五年十月二十三日建設省告示第千五百五十二号)

まとめると、

適用条件:売買・交換取引の代金が400万円(税抜)以下の宅地又は建物

通常より現地調査等の費用を要するもの

売主又は交換相手から依頼を受けた場合

上限:18万円+消費税

ということになります。

例えばこのような問題が出題されます。




問題:宅地(代金200万円。消費税額等を含まない。)の売買の媒介について、通常の売買の媒介と比較して現地調査等の費用を多く要しない場合でも、売主Dと合意していた場合には、AとDから198,000円を報酬として受領することができる。(2019年問32-4)

答え:誤り

まず代金が200万円なので低廉な空家等の特例に該当します。

なので多く受領する場合できると思いますが、「通常の売買の媒介と比較して現地調査等の費用を多く要しない場合でも」とあります。

こちらが誤りの点です。低廉な空家等の特例は通常よりも費用がかかる場合に適用されます

よってこの場合は200万円×5%=10万円+消費税で11万円となります。

もう一問いきましょう!

問題:既存住宅の売買の媒介について、宅建業者Aが売主Cに対して建物状況調査を実施する者をあっせんした場合、AはCから報酬とは別にあっせんに係る料金を受領することはできない。(2019年問32-3)

答え:正しい

あっせんは媒介業務の一部ですと考えますので、報酬とは別に受領することはできません。あくまで調査に掛かった実費を報酬とは別に受領することができます。

報酬額の制限(貸借)

ここまで売買と交換における報酬額の制限について見てきましたが、次に賃借の場合を説明します。

賃借の媒介・代理を受けた場合の報酬額の制限は、居住用建物の賃貸と、居住用建物以外の賃貸で異なります。

居住用建物の場合

居住用建物の賃借の場合は貸主・借主を合わせた賃料の1ヶ月分(課税業者なら1.1ヵ月分)が上限額となっています。

この上限額を越えさえしなければ、宅建業者は貸主と借主のどちらからどのように代金をもらっても大丈夫です。

媒介の場合は、依頼を受ける際にその依頼者の承諾が得られなければ貸主・借主からそれぞれ1/2ずつ仲介手数料を受領することとなっています。

地域によるとは思いますが、不動産業界にお勤めの方は借主から仲介手数料を100%取ることが多いですよね。なので借主から1ヵ月分と勘違いしがちですが、原則は1/2ずつです。

最近ではこの知識を不動産業界以外のお客様も知っていることが増えました。

入居申込の際に仲介手数料賃料1ヵ月分を取ることを伝えていなかったと訴えられた不動産会社が敗訴し、0.5ヵ月分返還という判例も過去に出ているので覚えておきましょう。

居住用建物以外の場合

居住用建物の場合は賃料の1ヶ月分でしたが、居住用建物以外(宅地や店舗、事務所等)の場合は、賃料1月分と権利金のいずれか高い方を基準とすることができます。

例えば権利金が400万円、1ヶ月の賃料が30万円の媒介を受けたとします。

賃料を基準とする場合には、貸主と借主からあわせて30万円まで受領できます。

権利金を基準とする場合:権利金は売買代金と見なされるので、400万円×4%+2万円の18万円。媒介なので貸主借主からそれぞれ18万円まで(計36万円)受領できます。

この場合は権利金を基準とする場合の上限が高いので、36万まで受領できることになります。

 

消費税の扱いについて

消費税のことを考えずに、ここまで見てきましたが実際には消費税を考慮して計算を行わなければなりません。

先に述べた計算式に当てはめる前にまず、消費税抜きの価格に直して考えるようにしましょう。そのときに注意してほしいこととして、土地は非課税扱いになります。

  • 土地:非課税
  • 建物:課税

消費税抜きの価格で上限額を求めたあと、最後に消費税額を載せましょう。

このように問題が出題されます。

問題:宅地建物取引業者A(消費税課税事業者)が売主B(消費税課税事業者)からB所有の土地付建物の媒介の依頼を受け、買主Cとの間で売買契約を成立させた場合、AがBから受領できる報酬の上限額は、次のうちどれか。なお、土地付建物の代金は6,600万円(うち、土地代金は4,400万円)で、消費税額及び地方消費税額を含むものとする。(2009年問41)

この問題を順を追って解いていきましょう。

①まず消費税を抜いた土地と建物の値段を出します。

  • 土地代金:4,400万円(土地は非課税なのでそのまま)
  • 建物代金:全体の代金6,600万円-土地の代金4,400万円=2,200万円
    建物は消費税が掛かっているので、2,200万円から消費税を引いた2,000万円

よって消費税を抜いた土地付建物の代金は6,400万円と言えます。

②6,400万円は400万円超なのでこれを計算式に当てはめます。

代金×3%+6万円

6,400万円×3%+6万円=198万円

③そして最後にどちらも消費税課税業者なので

198万円×1.1=217.8万円

答えは217.8万円になります!手順を覚えれば簡単です!

計算問題に苦手意識を抱く方も多いかと思いますが、過去問演習を繰り返し行い、慣れていくようにしてください。

違反した場合の罰則について

報酬額の制限に違反した場合は罰則されます。

報酬額の制限を超える報酬を受領した場合は100万円以下の罰金が科せられます。

また実際に報酬額の制限を超えた額を受け取らなくても、請求しただけで1年以下の懲役または100万円以下の罰金、またはその両方の罪が科されます。

まとめ

今回は「 報酬額の制限 」についてお伝えしました。

報酬額の制限は宅建業法の中でも特に難しく、計算問題が苦手な方は嫌になってしまうかもしれませんが、なんども繰り返し問題演習を行うことでだんだんと対応できるようになります。

諦めずにコツコツと頑張りましょう。

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織瀬ゆり

某信託銀行退職後、フリーライターとして独立。在籍時代は、株式事務を中心に帳票作成や各種資金管理、顧客対応に従事。宅建士およびFPなど複数資格を所持しており、金融や不動産ジャンルを中心に幅広いジャンルで執筆活動を行っています。プライベートでは2児の母として育児に奮闘中。

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