宅建業法

【民法対応改正】宅建業免許と宅地建物取引士の登録: 欠格要件 を比較してみた |WEB宅建講座スタケン

投稿日:2020年7月3日 更新日:

こんにちは!

前回は、宅建試験の申込手順についてお伝えしました。

 

宅建業法の第5回目となる今回は 欠格要件 について、宅建業免許と取引士を比較しながら取り上げていきます。

では、さっそく一緒に見ていきましょう。

宅建業免許の欠格要件について

宅建業免許は誰でも手に入れられるわけではなく、宅建業者としてふさわしくないと見なされた場合には宅建業の免許を得ることができません。

 

欠格事由に該当する条件は宅建業法で定められているのですが、かなりのボリュームがあるため、ここではざっくりとグループ分けをしています。(詳細が知りたい方は、宅建業法5条を参考にして下さい)

 

具体的には、次のようなケースが挙げられます。

  • 破産手続き開始の決定を受けて復権を得ていない場合
  • 心身の故障によって宅建業を適正に営むことができない場合
  • 一定の刑罰の対象となった場合
  • なんらかの理由で免許取り消しの処分を受けた場合
  • 未成年者の法定代理人が欠格事由に該当している場合
  • 役員等が欠格事由に該当する場合
  • 暴力団員等の極悪人に該当する場合

一つずつ見ていきましょう。

破産手続き開始の決定を受けて復権を得ていない場合

破産手続きが開始され、復権を得ていない場合には「破産管財人」によって財産が管理・制限されることになります。

そのため、宅建業を営むだけの財力があるとはみなされず、免許を得ることはできません。

 

なお、復権とは破産宣告によって失った権利や制限された権利を取り戻すことを指します。

心身の故障によって宅建業を適正に営むことができない場合

成年後見人や被保佐人は、「制限行為能力者」と規定されており、正常な判断のもとに金銭を使うことが難しいとみなされます。

 

そのため、こちらも宅建業を営むだけの能力があるとはみなされず、免許を得ることはできません。

一定の刑罰の対象となった場合

刑罰ごとの扱いについて、下図にまとめてみました。

 

なお、下に行くほど刑罰が重くなります。

有罪判決を受けても、控訴・上告中は免許をもらうことができます

また、判決に執行猶予がついている場合には、執行猶予期間中は免許を受けられないことも覚えておきましょう。

 

執行猶予期間が満了すれば直ちに免許を受けることができます。

なんらかの理由で免許取り消しの処分を受けた場合

ここは少し複雑なので、繰り返し学習して理解を深めるようにしてください。

 

まず、以下に該当したために免許を取り消された場合には、取り消しから5年間は免許を得ることができません。

  • 不正な手段で免許を取得した
  • 業務停止処分中に違反を重ねた
  • 業務停止処分に至った事由がとくにひどい場合

なお、法人が上記の理由で免許取り消し処分を受けた場合、聴聞(事情聴取のこと)の公示日前60日以内にその業者の役員だった場合は、免許取り消しから5年間は免許を得ることができません。

ここでいう「役員」には取締役や相談役も含まれ、政令で定める使用人(お店の店長など)や使用人(店で働く従業員)は含まれません

そして、聴聞の期日や場所が公示されたあと、処分が下される前に自ら廃業の届け出をした元業者についても、届出を出した日から5年間は免許を得ることができません

逃げ切ろうと慌てて廃業をしても、意味がないよ!ということになりますね。

 

また、ここで該当するのは「免許の取り消し処分」の聴聞であり、「業務停止処分」の聴聞の場合には5年間も待つ必要はありません。

なお、聴聞前に廃業の届け出を出したケースに加え、相当な理由なく合併消滅したケースにおいても、公示日前60日以内にその業者の役員だった者は、免許取り消しから5年間は免許を得ることができないことも併せて押さえておきましょう。

未成年者の法定代理人が欠格事由に該当している場合

宅建業を営むにあたり、成年者と同一の行為能力を有しない未成年者は、法定代理人が欠格事由に該当している場合において免許を得ることができません。

 

なお、婚姻等により成年者と同一の行為能力を有するとみなされた未成年者は成年者と扱うため、法定代理人が欠格事由に該当しているかどうかは関係ないので注意してください。

役員等が欠格事由に該当する場合

ここについては、基本的に欠格者のいる会社は免許を得ることができないと覚えておきましょう。

役員はもちろん、政令で定める使用人(お店の支店長など)も免許を得ることができません。

なお、使用人(従業員)は欠格事由せず、免許を得ることができます。

暴力団員等の極悪人に該当する場合

ここは条文をまず確認しましょう。

6.この法律若しくは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規定に違反したことにより、又は刑法第204条(傷害罪)、第206条(障害現場助成罪)、第208条(暴行罪)、第208条の2(凶器準備集合および結集罪)、第222条(脅迫罪)若しくは第247条(背任罪)の罪若しくは暴力行為等処罰に関する法律の罪を犯したことにより、罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者

7.暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律2条6号に規定する暴力団員又は同号に規定する暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者

8.免許の申請前5年以内に宅地建物取引業に関し不正又は著しく不当な行為をした者

9.宅地建物取引業に関し不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかな者

 

つまり、

  • 暴力団員または暴力団員でなくなってから5年間を経過していない場合
  • 免許の申請前5年以内に宅建業において不正や著しく不当な行為をした場合
  • 宅建業について、不正または不誠実な行為をするおそれが明らかな場合

には、免許を得ることができません。

 

宅地建物取引士証の欠格要件

さて、宅建業の免許における欠格要件を見てきましたが、宅地建物取引士証の欠格要件もほとんど同じことが規定されています。

 

そのため、ここでは宅建業免許の欠格事由と異なる部分を取り上げてみました。

まず、両者に共通する未成年の欠格事由は次の通りです。

【1】
1.不正手段で登録した者
2.不正手段で取引士証の交付を受けたもの
3.名義貸し、取引士証交付前の重説
4.事務禁止処分に違反
上記4点に該当し、登録消除の処分の聴聞の期日および場所が公示された日からその処分をする日またはその処分をしないことを決定する日までの間に登録消除の申請をしたもの(相当の理由がある者を除く)でその登録が消除された日から5年を経過しないもの【2】事務禁止処分を受け、その禁止期間中に、本人の申請によりその登録が消除され、まだその期間が満了しないもの

これに加え、宅建業免許では未成年者の欠格事由において、以下のように定められていました。

 

  1. 成年者と同一の行為能力を有する未成年者:免許を得ることができる
  2. 成年者と同一の行為能力を有しない未成年者:法定代理人ならびに未成年者本人が欠格事由に該当しない場合には免許を得ることができる

対する取引士証については上記「1」の場合だけ登録することが認められており、「2」に該当する場合はそもそも登録することができません。

 

なかなかややこしいですが、試験に出ることがあるのでしっかりと覚えておいてください。

まとめ

今回は、免許と取引士の欠格要件を比較してお伝えしました。

いずれもほとんど変わりはありませんが、欠格要件について正確に理解したうえで、両者の微妙な違いについても押さえておきましょう。

次回は「届出」「事情変更」の比較についてお伝えします。

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織瀬ゆり

織瀬ゆり

某信託銀行退職後、フリーライターとして独立。在籍時代は、株式事務を中心に帳票作成や各種資金管理、顧客対応に従事。宅建士およびFPなど複数資格を所持しており、金融や不動産ジャンルを中心に幅広いジャンルで執筆活動を行っています。プライベートでは2児の母として育児に奮闘中。

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