「宅建の名義貸しは法律的に大丈夫?違法?」
「宅建の名義貸しをするとお金は稼げる?」
上記のような疑問をお持ちの方は多いのではないでしょうか。
結論から言うと、宅建の名義貸しは違法です。名義貸しをするとお金は稼げますが、罰金・懲役・免許剥奪に加え、損害賠償責任を食らうリスクもあるので、手を出さないようにしましょう。
本記事では、宅建の名義貸しや名義貸しのリスク、名義貸しに手を出してしまう理由などを解説していきます。
記事の後半では、宅建の名義貸しで得られる報酬相場、名義貸しがバレるリスクについても触れていきます。
[stken1]この記事で学べること
宅建の「名義貸し」とは?
宅建の名義貸しとは、宅建取得者が他の人に名前や免許番号を貸したりすることです。
名前を貸すだけでなく、宅建士としての資格を満たさずに不動産会社に勤める、専任の宅建士として登録することも禁止されています。
専任の宅地建物取引士として登録するためには、「常勤性」および「専任性」の両方を満たす必要があります。
常勤性を満たす条件 | |
× | パート・アルバイト・他の会社に属している人 |
△ | 派遣社員・自営業者 |
○ | 正社員・派遣社員(フルタイム) |
常勤性とは、宅地建物取引士として一般的な勤務時間内で勤務できているかを測る指標です。
例えば、パートやアルバイトとして不動産会社に勤めている場合、スポット勤務なので専任の宅建士として登録することは不可能です。
また、派遣社員や自営業者は業務量によって異なるものの、「一般的な勤務時間は勤められている」と判断できれば問題ありません。
専任性を満たすためには、次の条件を満たす必要があります。
専任性を満たす条件 | |
× | 宅地建物取引士としての仕事以外もこなしている 登録を受けている会社以外で宅地建物取引士としての仕事をする |
○ | 宅地建物取引士としての仕事だけを勤め先でこなしている人 |
専任性を満たすためには、宅建士の登録を受けている不動産会社で、宅地建物取引士としての仕事のみをこなす必要があります。
一定の条件をクリアすると、他の業務を担当している場合でも専任性を満たせるケースもあります。
しかし、他の業務を担当しながら専任性を満たすのは、それなりにハードルが高いことも覚えておきましょう。
宅建の名義貸しはリスクが大きい【違法行為です】
冒頭でも述べましたが、宅建の名義貸しは違法行為なので、免許の取り消しや罰金・懲役などのペナルティがあります。
ここでは、宅建の名義貸しのリスクの高さについて解説します。
宅地の名義貸しには罰則がある
宅地の名義貸しをすると、免許取り消しはもちろんのこと、3年以下の懲役または、100万円以下の罰金を科せられるリスクがあります。
宅建の名義貸しは違法行為なので、「知らなかった」では済みません。
重い刑罰が科せられてしまう前に、名義貸しを行わないようにしましょう。
最悪の場合には損害賠償を請求されるリスクも
専任の宅建士は不動産取引で重要な役割を担うため、仮に宅建士でない方が宅建士として媒介した場合でも、「取引上の損害賠償」を請求されるリスクもあります。
登録を受けている宅建士は、トラブル防止のために損害保険に加入しているケースが多いです。
しかし、名義貸しをしている場合には、宅建士としての責任を被る上に無保険で損害賠償責任を果たさなければならなくなります。
さらに、名義は会社の名簿に5年残ります。そのため、違法性に気づき名義貸しを辞めたとしても、さかのぼって責任を問われるケースも少なくありません。
宅建の名義貸しはリスクが高いため、手を出さないようにしましょう。
宅建の名義貸しに手を出してしまう3つの理由
宅建の名義貸しにはこれだけのリスクがありながら、なぜ手を出してしまうのでしょうか。
宅建の名義貸しに手を出してしまう理由は、以下のように立場ごとに分かれます。
- 副業感覚でお金を稼ぎたい【宅建士個人の場合】
- 簡単に専任宅建士を獲得したい【不動産業者の場合】
- 利益を独り占めしたい【一般事業者の場合】
副業感覚でお金を稼ぎたい【宅建士個人の場合】
第一に挙げられるのは、副業感覚で簡単にお金を稼ぎたいと考えている宅建士個人です。
宅建資格を保有していても、宅建士としての登録を受けるためには「常勤性」と「専任性」を満たす必要があるので、学生や主婦が名義貸しをすると違法行為に該当します。
「宅建士の名義を貸してくれるだけで、5万円渡すよ!」「なんのリスクもないし、知り合いの弁護士に話を通しているから大丈夫だよ」などと吹き込まれ、名義貸しに手を出してしまう方は少なくありません。
しかし、名義貸しは違法行為なので、「リスクはないと言われたから貸した」と主張しても通らない可能性が高いです。
甘い話には必ず裏があることに目を背け、安易に名義貸しを行ってしまう宅建士の方は多いです。
簡単に専任宅建士を獲得したい【不動産業者の場合】
法律面に詳しい不動産業者でも、名義貸しに手を出してしまうケースがあります。
不動産会社を運営するにあたって、1つの事務所において5人に1人以上の専任宅建士が必要です。
上記のルールを「必置義務」といい、転職や退職で宅建士が不足した場合には2週間以内に補う必要があります。
しかし、規定期間内に人手が見つからなかったり、金銭的に厳しかったりして宅建士を確保できないケースもあるでしょう。
そのような時に、手っ取り早く専任宅建士を確保するために、名義を借りる違法行為に手を出してしまう業者が存在しています。
利益を独り占めしたい【一般事業者の場合】
不動産会社を営んでいない一般事業者が、利益を独り占めするために名義を借りるケースがあります。
不動産業ではなくとも、不動産業に近い業種の場合には、「不動産契約の仲介案内」が話題に上がることもあるでしょう。
その場合には、知り合いの不動産業者を紹介するのが正解なのですが、「自分たちで媒介すると大きな利益が取れる」と考える会社も存在しています。
お金に目が眩み、名義貸しに手を出してしまうと、多額の損害賠償責任を請求されてしまうリスクがあるので、手を出さないようにしましょう。
宅建の名義貸しで得られる報酬相場
調べてみたところ、宅建の名義貸しで得られる報酬は、月3万円前後であるケースが多いようです。
「名義貸し」とはそのまま記載されていないものの、「週1~3勤務」「完全リモートでOK」などと記載されているケースが多いです。
しかし、週1~3の勤務や完全リモートでは「常勤性」「専任性」を満たせないため、名義貸しに該当します。
知らず知らずのうちに犯罪に手を染めてしまうケースもあるので、正しい知識を身につけましょう。
宅建の名義貸しはバレるの?
「宅建の名義貸しは犯罪でリスクが高いけど、簡単にお金がもらえるならやってみたい」と考えている方もいるかもしれません。
しかし、名義貸しはバレるリスクが高いです。
例えば、不動産業者に名義貸しを行っていた場合、不動産会社に対して不満を抱いていた社員が内部告発を行い、バレるケースが考えられます。
このように、名義貸しはどこからでもバレるリスクがあるため、注意しましょう。
まとめ:宅建の名義貸しは違法行為なので厳禁!
本記事では、宅建の名義貸しのリスクや手を出してしまう理由、名義貸しで得られる報酬相場、名義貸しはバレるのかどうかという部分を解説しました。
名義貸しは違法行為なので、手を出さないようにしましょう。
簡単に手を出せる行為なので、報酬に目が眩んで手を出してしまう方も多いですが、リスクはかなり高いです。
免許剥奪・罰金・懲役・損害賠償責任のリスクを負って、月3万円程度の報酬を手に入れるために行動するのは、あまりにも悪手です。
数ヶ月努力して勉強し、宅建士を獲得したのに、犯罪行為で免許が剥奪されてしまうのは悲しいので、名義貸しには手を出さないようにしましょう。
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