こんにちは!
前回は宅建士の出題分野のうち、開発行為と開発許可についてお伝えしました。
法令上の制限の第2回目となる今回は、「 宅地造成等規制法 」について取り上げていきます。
では、さっそく一緒に見ていきましょう。
[stken1]この記事で学べること
宅地造成等規制法とは
宅地造成等規制法とは、宅地を造成する際に発生する恐れのある崖崩れや、土砂の流出による災害を防止することを目的として制定された法律のことを指します。
崖崩れや土砂の流出が起これやすい区域を「宅地造成工事規制区域」と定め、その区域内で宅地の造成工事をしようとしている人に対して許可や届け出を求めることにしました。
また、許可は工事着手前に造成主が都道府県知事から得る必要があり、所定の手続きを守らなかった場合には監督処分が下されます。
なお、造成主とは宅地造成工事に関する請負契約の注文者または請負契約によらず自らでその工事を進めようとする者をいいます。
許可制について
先ほど軽くお伝えしたように、宅地造成工事区域内で宅地の造成工事をしようとする場合、工事着手前に造成主は都道府県知事の許可を得なければいけません。
また、知事は許可をする際、災害防止の観点から一定の条件をつけたうえで、許可を出すことが認められています。
なお、宅地造成にかかる許可を得た後でないように変更が生じた場合には、原則として再度都道府県知事の許可を受けなければなりません。とはいえ、工事着手予定日や完了日の変更など、造成にかかる軽微な変更が生じた場合には遅滞なく知事に届け出ればよく、許可までは求められていないことを覚えておきましょう。
宅地造成の意義と規模
宅地造成とは、宅地にするための土地の形質変更のことをいいます。
どういったケースが宅地造成に該当するのか、下図で確認しておきましょう。
また、ここでの宅地とは「農地」「森林」「牧草放牧地」「公共施設用地」以外を指します。
上記に加え、以下のいずれかのケースに該当することが要件となります。
一連の宅地造成工事が完了した際は、知事の検査を受けなければなりません。そして、都道府県知事は完了した宅地が要件に適合していると認めた場合は「検査済証」を交付する必要があります。
工事の届出について
宅地造成工事規制区域(がけ崩れなどが生じやすい区域)が指定された後、その区域で一定の行為を行おうとする場合には、都道府県知事に届出をしなければなりません。
そして、その届出には日数制限が設けられています。こちらも表で確認しましょう。
宅地の保全義務・保全勧告・改善命令
ここでは宅地の「保全義務」「保全勧告」「改善命令」について、説明します。
保全義務
宅地造成工事区域内の宅地の所有者、管理者または占有者は、宅地の造成に伴う災害が発生しないように、その宅地を常時安全な状態となるように勤めなければなりません。
保全勧告
都道府県知事は宅地造成工事規制区域内の宅地につき、造成に伴った災害を防止するために必要があると認めた場合において、その宅地の所有者や管理者、占有者、造成主または工事施工者に対して、擁壁をはじめとした必要な措置を講じるように勧告することができます。
改善命令
都道府県知事は、宅地造成工事区域内の宅地または擁壁などの所有者、管理者や占有者に対し、擁壁の設置や改造もしくは盛土の改良のための工事を命ずることができます。
なお、改善命令の対象となるのは、宅地造成に伴う災害防止のために必要となる擁壁等が設置されておらず、災害が発生する恐れが高い宅地となります。
報告の要求
都道府県知事は、宅地造成工事規制区域内における宅地の所有者、管理者または占有者に対し、当該宅地で行われている工事の状況やそれに伴う事象について、報告をするように要求できます。
造成宅地防災区域
都道府県知事は宅地造成工事区域外の土地につき、災害発生の恐れが高い地域を「造成宅地防災区域」として指定することができます。
また、都道府県知事は擁壁の設置等、災害防止のための必要な措置を講じることで、造成宅地防災区域に指定しておく理由がないと認められた場合にその指定を解除できるとされています。
まとめ
今回は、宅地造成等規制法についてお伝えしました。
宅地造成等規制法のうち、「盛土」と「切土」の違いで混乱する人が多いことから、自分でも手を動かして図を書きながら覚えていくようにしましょう。また、高さだけでなく、面積が一定に達した場合にも宅地造成に該当するので注意してください。
次回は「建築基準法」についてお伝えします。
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