宅建業法

【宅建業法】手付金における「保全措置」の攻略パターンを徹底解説!

投稿日:2020年8月7日 更新日:




宅建権利関係の出題分野のうち「保全措置」が苦手という人も少なくありません。ややこしいと感じる人が多い分野ですが、実はパターンの理解ができれば得点源にしやすい項目です。

そこで、この記事では8種制限の1つ、手付金などの保全措置と手付金の性質について詳しく解説していきます。

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保全措置は8種制限の1つ

保全措置について見ていく前に「保全措置」は8種制限の1つだという点を抑えておきましょう。

8種制限は「売主が宅建業者」であり「買主が宅建業者でない一般消費者」の「売買契約」の場合にのみ適用されます。

宅建業者同士の取引や、宅建業者が媒介する一般消費者同士の取引には適用されないことを覚えておきましょう。

宅建試験でも「宅建業者同士の取引の際に保全措置を講じなかった、これは宅建業法に違反する。」などのひっかけ問題が出されることもあります。

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手付金などの保全措置について

宅建業者が自ら売主となる場合において、物件の引渡し前に買主が代金を支払い、その後、売主が倒産してしまうと、買主は物件の引渡しを受けられず、支払ったお金も返金されない最悪の事態に陥るおそれがあります。

このような事態にならないよう、売主が手付金の保全措置を講じることで、実際に問題が起きた場合に買主を保護しています。

手付金など

手付金などとは「売買代金の全部または一部として授受される金銭」「手付金、中間金など名称を問わず売買代金に当てられる金銭」かつ、「契約締結の後、引渡し前」に支払われる金銭を指します。

つまり「引渡しと同時に支払う金銭」は、手付金に該当しません。

手付解除とは

先述したように、「手付」とは、主に売買契約を締結した際に買主が売主に渡す金銭のことを指しました。

 

また、手付解除には以下のようなルールが設けられています。

  • 買主から解除する場合は手付金を放棄する
  • 売主から解除する場合は受け取った手付金の2倍の額を買主に渡す

 

上記のように買主も売主も、手付金を利用することによって解除することが可能です。

なお、図解中にも記載しましたが、解除は相手方が履行に着手するまでの間しか認められません。(あくまで相手方が着手したかどうかであり、自分が履行に着手しているかどうかは問題とならないことに注意しましょう。)

手付金額の制限

宅建業者が取引の際に受領できる手付金には上限があります。

具体的には、宅建業者が自ら売主として業を行う場合、手付金が代金の2割を超えてはいけません。

仮に2割を超える手付金を受け取っていたとしても、手付の金額は2割とみなされることに加え、2割を超えて受領した部分は無効となります。

前回お伝えした、「損害賠償額の予定等における制限」 と似たような内容となるため、併せて確認しておきましょう。

手付金等の保全措置について

宅建業者は、自ら売主となる宅地や建物の売買に関して、保全措置を講じたあとでなければ手付金などの金銭を受け取ることができません。

(宅建業者が保全措置を講じない場合、買主は手付金などの支払いを拒否することができます。)

さらに、宅建業者は保全措置を講じたとしても、代金の20%を超える手付金は受領できないことも覚えておきましょう

保全措置の講じ方は「未完成物件」と「完成物件」で異なります。

銀行等との
保証委託契約
保険事業者との
保証保険契約
指定保管機構との
手付金等寄託契約
未完成物件 ×
完成物件

 

図からもわかるように、未完成物件で指定保管機構は利用できないことに注意してください。




表のように、未完成物件の場合「指定保管機構による保全措置」は利用できない点に注意してください。

また、宅建業者は保全措置を講じたあと、保険証券などの書面を買主に交付しなければなりません。(書面の交付義務)

例外【保全措置が不要の場合】

上記の表が保全措置の基本ですが、保全措置が不要となる例外も存在します。宅建の試験では例外も重要となるため、あわせて覚えておきましょう。

  1. 手付金など(中間金も含む)の合計額が少額
    (未完成物件:代金の5%以下かつ1,000万円以下・完成物件:代金の10%以下かつ1,000万円以下)
  2. 「買主が所有権の登記をしたとき」または「買主へ所有権移転登記がされたとき」

たとえば、宅建業者Aが自ら売主となって一般消費者の買主Bと工事完了前の建物を4,000万円で売却する売買契約を締結しました。

この場合、手付金などの保全措置が不要となる金額は、代金の5%以下かつ1,000万円以下)「200万円以下」です。

ちなみに「以下・以上」は、その前の数字を含み、「未満・超」はその前の数字を含みません。宅建では「以上・以下」「未満・超」が頻繁に出てくるため、混同しないように注意しましょう。

保全措置の事例

ここでは保全措置の事例をいくつか紹介するので、事例ごとに保全措置の要・不要を確認しましょう。

「宅建業者Aが自ら売主となって一般消費者の買主Bと工事完了前の建物を5,000万円で売却する売買契約を締結しました。」

この場合の事例を見ていきましょう。

事例1:宅建業者Aは契約締結時に手付金400万円を受領し、その後、中間金として600万円受領したのち、引渡し及び登記の際に残代金4,000万円を受領した。

この場合、手付金400万円を受領する前に保全措置を講じ、中間金600万円を受領前に再度600万円分の保全措置が必要です。

残代金4,000万円は、引渡し及び登記と同時なので保全措置は不要です。

 

事例2:宅建業者Aは契約締結時に手付金200万円を受領し、引渡し及び登記の際に残代金4,800万円を受領した。

この場合、手付金200万円は「代金の5%以下かつ1,000万円以」である250万円を超えていないため、保全措置は不要です。

さらに、残代金4,800万円についても、引渡し及び登記と同時なので保全措置は不要です。

 

事例3:宅建業者Aは契約締結時に手付金200万円を受領し、その後、中間金として800万円受領したのち、引渡し及び登記の際に残代金4,000万円を受領した。

この場合、手付金200万円は保全措置不要で受領できますが、中間金として800万円受領する前に1,000万円分の保全措置が必要です。

800万円分ではない点に注意しましょう。残代金4,000万円は、引渡し及び登記と同時なので保全措置は不要です。

保全措置の過去問

実際の試験ではどのように出題されたのか、過去問を見てみましょう。

問:宅地建物取引業者である売主は、宅地建物取引業者ではない買主との間で、戸建住宅の売買契約を締結した。

当該住宅が建築工事完了前で、売買代金が2,500万円であった場合、売主は、当該住宅を引き渡す前に保全措置を講じず買主から手付金150万円を受領することができる。(平成30年・問38)

答:【×】

建築工事完了前の物件の売買である場合、宅建業者が受領する手付金などの額が「代金の5%以下かつ1,000万円以下」であるときは、宅建業者は保全措置を講じずに手付金などを受領することができます

本肢の場合、代金の5%以下は125万円なので、150万円を受領するには保全措置が必要です。

手付金の性質

手付金とは、簡単に「買主が売主に預けておくお金」のことを指し、特に定めがない場合には解約手付とみなされます。

そのため、買主と売主のどちらかが「契約を止めたい」ときに、この手付金を使って契約を解除することができます。

手付金のルール

  1. 相手方が履行に着手するまでは「買主は手付金を放棄」して「売主は手付金の2倍の額を現実に提供」して解除できる。
  2. 宅建業者が自ら売主として業を行う場合、手付金は代金の20%が上限となり、それ以上は受領できない。
  3. 買主に不利な特約は無効となる。
  4. 手付解除をした場合、損害賠償請求などを行うことはできない。

手付金の上限は「損害賠償額の予定等における制限」と似ているため、あわせて確認しておきましょう。

まとめ

手付金などの保全措置が必要となるパターンは、

「売主が宅建業者」で「買主が宅建業者でない一般消費者」の「売買契約」のときであり

①手付金などの合計額が少額②「買主が所有権の登記をしたとき」または「買主へ所有権移転登記がされたとき」以外の場合です。

あわせて、下記の3点も覚えておきましょう。

  • 「引渡しと同時に支払う金銭」は、手付金に該当しない。
  • 未完成物件の場合「指定保管機構による保全措置」は利用できない。
  • 宅建業者は保全措置を講じたとしても、代金の20%を超える手付金は受領できない。

権利関係の中でも保全措置は、パターンの理解ができれば得点源にしやすい項目です。ぜひ、保全措置のパターンを念頭に過去問を繰り返して得意項目にしてくださいね。

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織瀬ゆり

某信託銀行退職後、フリーライターとして独立。在籍時代は、株式事務を中心に帳票作成や各種資金管理、顧客対応に従事。宅建士およびFPなど複数資格を所持しており、金融や不動産ジャンルを中心に幅広いジャンルで執筆活動を行っています。プライベートでは2児の母として育児に奮闘中。

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