全国賃貸住宅新聞

公開日:2024年2月12日

第175回 「人口減」という不都合な真実

第175回 「人口減」という不都合な真実
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2070年に14歳以下の人口が半減

育休取得を奨励し少子化対策

深刻な人口問題46年後に4000万人減

人口減というまったく洒落にならない事案を今回は取り上げたい。

このままいくと、ほぼ確定していることは、日本の人口は激減するということだ。

そして、これは、他の先進国のどこも経験したことのない、未知の世界に日本が突き進んでいるということだ。

政府機関である「国立社会保障・人口問題研究所」は5年ごとの国勢調査をもとに人口の将来推計をまとめていて、また区市町村の自治体別の推計も公表している。

直近の国勢調査は2020年だったが、昨年2023年に将来推計が発表された。

それによると、日本全体の人口は2050年には1億400万人台になり、46年後の2070年には4割以上減って8000万人台になるとのこと。

いまから46年間で4,000万人ほどの人がいなくなるのだ。

カナダの人口がそれくらいだから、カナダ一国が消えてなくなると思うとわかりやすいだろうか。

今後は移民をもっと受け入れようという議論もある。

現在、在留外国人は300万人程度だが、いなくなる4000万人分の外国人の受け入れをして、つまり結果的に日本にいる人の3人に1人が外国人になることは誰も賛成するわけにはいかないだろう。

子供(0〜14歳)は2070年にいまの53%と半減する。働いて稼いでくれる世代である生産年齢人口(15〜64歳)は60%になる。

しかし、バランスが悪いのは、65歳以上の高齢者は逆に今より増える時代が続き、2070年でも93%いる。

これは、年金・医療・介護等の社会保障支出の国の予算全体に対する割合が増えることを意味している。

高齢者一人を何人で支えるかという数値は、いまは2.08人だが2070年には1.35人になる。

そして、今のままの労働生産性で、このまま生産年齢人口が減れば、GDPは減り、よって税収が減るので、結果として個人の税金が高くなって可処分所得が減り、健康保険等の個人負担が増えるということになる。

皆が貧しくなるということだ。

地方では国からの補助金は当然減るということになる。

自主財源比率は全国平均で6割ぐらいらしいので(4割は国に頼っている)、各自治体の財政が厳しくなるのは自明だ。

自治体別では、東京都だけは2050年時点で人口が変わらない(2020年対比で102.5%)と予測されている。

その他の都道府県はすべて減少だ。

健康長寿であることは素晴らしいことなのだが、少子化の波を止め、生産年齢人口を維持し、一人当たりの生産性を高めないと大変なことになる。

もっと次世代を担う人のことを考える必要がある。

大人は自分たちの子や孫のことを考えなければいけないのだ。

少子化への対策 企業努力の必要性

少子化対策についてだが、「企業の努力」ももっと必要ではないか。

間近な、またたった1社の当社の事例で申し訳ないが、当社では子供がよく産まれる。

いま現在、産休・育休に入っている女子が13人(全スタッフ220人中)もいる。

そして、今年は男性社員が2人、長期の育休に入る予定だ。

10年ほど前に、会社として育休・産休制度を発表した。

とは言っても国の制度通りに利用してもらって構わないとしただけだ。

そうしたところ、ある女性社員が入社直後に妊娠したと報告があった。

しばらく子供はつくらないと面接で言っていたので、話が違うなあ、と私もスタッフも思ったものだが、そんなことは言えるはずもなく、おめでとう、と言って産休に入るのを受け入れた。

育休利用後、無事会社に復帰したが、ほどなくして会社をあっさり辞めてしまった。

なんだかなあ〜、とモヤモヤしたものだが、特に文句も言わなかった。

それをおそらく女子社員たちはじっと見ていたと思う。

会社は本気かどうかを。建前の制度かどうかを。

会社としては、第一線で働いている女子スタッフがいなくなるということは、替わりの人材を補填しなくてはいけない。

社員でなく派遣さんとかでつとまればいいが、そういつも上手くはいかない。

よって新たに社員を入れるわけだが、1〜2年経つと育休の女性社員が戻ってくる。

すると社員がどんどん増えることになる。

つまり、会社の事業規模を拡大していかないとできないことなのだ。

いまでこそ、200名以上の会社になったから、なんとかやっていけるが、数名ほどの規模であったら、私ははたして産休・育休をとる女子社員を心から受け入れることができるだろうかと正直思う。

育休から復帰する女子社員も最初の頃は、恐る恐るだったと思う。

保育園のお迎え等があるから時短復帰で、10時から16時くらいの勤務で出社するのだ。

短い時間では、やれることも限られてくるし、生産性も低いかもしれない。どうしても他の働いているスタッフに申し訳ないとか思ってしまう。

私はその時スタッフに、時短勤務社員のことで勤務体制に関して絶対に不満や批判を言ってはいけないと言った。

本人は気にしているのだから、傷ついてしまう。

そんな感じでやっているうちに、当社は産休・育休〜時短復帰が当たり前の文化になっていった。

そしていま、13人である。

なぜ、当社はこういうことができたのか。

それは経営陣の意識と姿勢の問題だと思う。

社長やまたその部署のマネージャーが育休を取るスタッフを、また復帰後の時短勤務を、歓迎しない態度を見せたりすれば、

決して浸透はしないだろう。

テレワークなどの働き方の多様性を認めることも大事だ。

また、自分の会社と国全体の問題を別途に考えないことも重要だと思う。

現場は少々大変だが企業努力を重ねていかないといけないのではないか。

合計特殊出生率はいま日本では1.26だ。

2.07ないと人口は維持されないらしい。女性が子供を産むということは国を護ることにつながるのだ。

つまり、ひいては自分のビジネスを護ることでもある。

入居者が減ることになるのだから。

子供を産んだ人はもっと称賛されていいはずだ。

エライって、皆で褒め称えるべきだと思う。

 


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