宅建業法

宅建業法「8種制限」はこれで解決!【2020年版】

投稿日:2020年8月4日 更新日:

こんにちは!

前回は宅建士の出題分野のうち、自己の所有でない物件の契約締結制限についてお伝えしました。

宅建業法の第12回目となる今回は8種制限「クーリングオフ、割賦販売特約の解除等の制限、損害賠償額の予定」について、取り上げていきます。

では、さっそく一緒に見ていきましょう。

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8種制限とは

「宅地建物取引業者が、自らが宅地建物の売主となって取引をする場合に課せられる8種類の制限」のことを言います。

クーリング・オフとは

クーリング・オフとは、一度契約した後に「やっぱり無かったことにしてください」とキャンセルすることができる制度のことを指します。

クーリング・オフは、不動産に詳しくない消費者がプロである宅建業者に適正な情報なしに契約を結んでしまった場合に、あまり不動産に詳しくない消費者を守るために作られました。

とはいえ、なんでもかんでもキャンセルできるわけではなく、一定の条件を満たした場合にのみキャンセルが可能です。

クーリング・オフの適用要件

前提として、クーリング・オフは売主が宅建業者でかつ、買主が宅建業者以外であるときに適用されます

クーリング・オフが適用されると、締結した売買契約は解除されるか、買受の申し込みがなかったものとして扱われます。

クーリング・オフの適用要件については、クーリング・オフが認められない場合を覚えておき、これから説明する以外のケースはクーリング・オフが認められるのだと考えてください。

クーリング・オフができない場所とは

次の場所で申込みや契約をした場合、クーリング・オフが認められなくなるので注意しましょう。

  1. 事務所
  2. 専任の宅建士設置義務のある案内所
  3. 他の宅建業者に媒介・代理を依頼した場合、その宅建業者の上記「1」「2」の場所
  4. 買主から申し出た場合の買主の自宅や勤務先

上記「2」の専任の宅建士設置義務のある案内所とは、主にモデルルームなどのことを指します。また、テント張りなど、土地に定着していない場所は除かれることも頭に入れておいてください。

なお、申込みの場所と契約の場所が異なった場合、クーリング・オフの適用可否は申込み場所で判断することになります。

たとえば、「喫茶店で申込みをし、後日宅建業者の事務所で契約を締結した」と言う場合において、申込み場所が喫茶店ということになるので、クーリング・オフの適用対象となります。

クーリング・オフが認められない場合

また、以下の場合にはたとえクーリング・オフが認められる場所で契約をしたとしても、クーリング・オフが認められなくなります。

  1. クーリング・オフができる旨・方法を宅建業者から書面で告げられた日から起算して、8日が経過してしまった場合(告げられた日も1日としてカウントします)
  2. 買主が当該宅地建物の引き渡しを受け、かつ代金全額の支払いを済ませた場合

クーリング・オフの仕方

クーリング・オフは口頭では認められず、必ず書面をもって行わなければなりません。

そして、その効力は買主が書面を発したときに生じるものとされます。

そのため、告知日から8日以内に相手のところに書面が届かずとも、それより前にポストへ投函しさえすれば大丈夫です。このポストへ投函した時点で、効力が生じたものとみなされます。

クーリングオフの効果

先にも述べましたが、クーリング・オフは要件を満たせば契約を一方的に契約を解消することができます。

そのため、買主からクーリング・オフの要求があれば宅建業者は受け取った金銭を速やかに返還しなければなりません。また、クーリング・オフによって生じた損害賠償や違約金などを請求することは一切できないので、併せて覚えておきましょう。

クーリング・オフ規定に反し、消費者に不利な影響を与える特約は無効扱いとなりますので注意してください。

割賦販売特約の解除等の制限

割賦販売とは、宅地建物の引き渡し後1年以上の期間に2回以上にわたって代金を支払うこと、つまり「分割払い」のことだと思ってください。

割賦販売において、買主が代金の支払いをしなかった場合、30日以上の相当期間を定めて書面で催告し、その期限内に支払いがない場合でなければ契約の解除や、残りの割賦金の全額請求をすることはできません。

また上記に反する特約は無効となります。

例)「1回でも支払い遅延が生じた時点で、直ちに残代金を一括で請求する」などといった特約は無効となる。

損害賠償額の予定等における制限

ここでは、損害賠償の予定等における制限についてお伝えします。

民法と宅建業法では規定が少々異なるため、まずはその違いをきちんと押さえておきましょう。

また、損害賠償額の予定は次回「手付金」「保全措置」を学習する際の予備知識としておさえておいてください。

民法での規定

民法の規定においては、損害賠償額をあらかじめ定めていなかった場合において、損害を被った側が実際に支払った損害額を証明し、損害賠償請求を行うことができます。

もちろん、損害賠償額を前もって取り決めておくことも可能ですが、その場合には裁判所が予定額を増減することはできません。

宅建業法での規定

損害賠償の予定額や違約金があまりに高額になってしまうと、多くの消費者は困ってしまいますよね。

そこで、宅建業法では買主保護の観点から損害賠償の予定額や違約金について、上限を定めることにしました。

具体的には、損害賠償額の予定と違約金額を合計して、代金の10分の2までとしています。

万が一、10分の2を超える定めをした場合には、超える部分が無効となります。(すべてが無効となるわけではないことに注意)

ただし、こちらもあらかじめ定めがないのであれば、10分の2という規定が適用されないことになるため、損害額を証明してその額を請求することができます。

まとめ

今回は、8種制限「クーリングオフ、割賦販売特約の解除等の制限、損害賠償額の予定」についてお伝えしました。

売主が宅建業者となり、買主が宅建業者以外の場合、様々な制限が設けられます。宅建業者と消費者の関係性を押さえて学習していきましょう。

次回は「手付金」「保全措置」についてお伝えします。

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