権利関係

「建物区分所有法」はこれで解決!【宅建権利関係】

投稿日:2020年6月9日 更新日:

こんにちは!

前回は宅建士の出題範囲から「借地借家法」についてお伝えしました。

権利関係の第12回目となる今回は、「建物区分所有法」について取り上げていきます。

 

建物区分所有法については、第6回目の「共有」でも少し触れましたが、この記事ではさらに深く解説しています。

では、さっそく一緒に見ていきましょう。

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建物区分所有法とは

いわゆる分譲マンションのことを「区分所有建物」といい、それらに関する法律のことを「建物区分所有法」と呼んでいます。

建物区分所有法の考え方

マンションではなく戸建てに住んでいる場合、基本的には1人(あるいは一家族)で建物を使用することになります。

そのため、戸建てにおいては好きなように建物を使用することができますが、マンションの場合はそうもいきません。

マンションなどの集合住宅に住むうえでは、エレベーターや共用通路、エントランスホールなどの共用部分が存在するため、すべてを思うがままに使用するわけにいきませんよね。

そこで、みんなで仲良く暮らしていくために設けられたルールが「建物区分所有法」ということになります。

用語を覚えよう

建物区分所有法を理解するうえで、以下の用語を覚えておきましょう。

 

各用語についての詳細は、第6回「共有」にて確認してください。

さっそく確認しに行く

共用部分の管理について

各区分所有者は快適に暮らす上で、マンションを綺麗に維持したいと考えています。

 

基本的に、共用部分の管理(保存行為)は各個人ですることが認められていますが、それぞれで好き勝手やってしまうと、いつ誰がやったのか把握が難しくなってしまいますよね。

そこで、「管理者」を選任し、管理行為を一任することにしました。

 

とはいえ、管理行為の中には管理者の一存だけですることができないケースも存在します。

共用部分において、管理者は以下の4つの管理行為をすることができますが、このうち単独で行うことができるのは「保存行為」のみです。

  • 保存行為
  • 管理行為
  • 変更行為・軽微変更
  • 重大変更

なお、各行為における費用は規約に別段の定めがない限り、各区分所有者が持分に応じて負担をすることになります。

 

そして上記の行為によって、特に影響を受けると考えられる区分所有者がいる場合には、その人の承諾を得なければなりません。

管理と規約

管理組合とは

管理組合には集会の決議によって選ばれた「管理者」が置かれますが、区分所有者以外の人が管理者になることも認められています。

また、マンションはみんなで暮らしていくことから「管理組合」といわれる自治組織のようなものが存在し、全区分所有者が自動的に加入します。

「管理組合」は法人化することが認められており、法人化するためには集会の決議を経たのち登記を備えなければならないことに加え、理事と監事を置かなければなりません。

規約とは

「規約」とは、マンションごとに定めた約束のことです。

不特定多数の人が暮らすマンションにおいて、約束事を定めることはマンション運営の円滑化に繋がるだけでなく、住民間トラブルを防ぐことにも繋がります。

規約の設定・変更・廃止をする場合は、区分所有者および議決権の各4分の3以上の集会決議が必要となります。(また、規約の変更や廃止等によって影響を及ぼす所有者には承諾を取らなければなりません)

 

また、規約は書面または電磁的記録によって作成し、建物内の見やすい場所に保管場所を掲示しておかなければなりません。

規約は基本的に管理者が保管し、閲覧したいという申し出があれば正当理由がある場合を除き、閲覧させなければならないことも押さえておきましょう。

集会と決議

集会の招集について

また、集会を開く必要があるのに管理者が開こうとしない場合には、区分所有者の5分の1以上で、議決権の5分の1以上を有する人は管理者に対して集会を開くように請求することが可能です。

管理者が不在の際は、区分所有者および議決権の5分の1以上を有する人が集会を招集することが認められています。(この定数は規約で減ずることができますが、増やすことはできません)

なお、この場合における「議決権」とは、原則として各区分所有者の専有部分の割合を指しています。

招集通知

集会の招集通知は原則、少なくとも開催日の1週間前までに通知しなければなりません。

決議

集会では原則、招集通知であらかじめ示された議題のみ決議をすることができます。

また、決議では原則として過半数の賛成が必要ですが、以下の場合は例外となりますので覚えておきましょう。

上の図において、議決権と区分所有者それぞれの規定数(3/4以上または4/5以上)の賛成が必要ですが、「共用部分の大きな変更」においては区分所有者の定数のみ過半数まで減らすことができます。

ただし、そのほかの項目については規約で別段の定めを設けることはできません。

★補足★

大規模滅失:区分所有建物のうち、建物の価格の1/2を超える部分が地震や火災など予期せぬ事象によって滅失すること

小規模滅失:区分所有建物のうち、建物の価格の1/2以下に該当する部分が地震や火災など予期せぬ事象によって滅失すること

まとめ

今回は、「建物区分所有法」についてお伝えしました。

いずれもとても大切な内容ですので、前回の範囲と併せてしっかり復習をし、過去問演習も繰り返し行いましょう。

次回は「債務不履行(損害賠償および解除)」についてお伝えします。

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